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2008年8月23日 (土)

第139回芥川・直木賞贈呈式

 第139回芥川・直木賞贈呈式が開催された。

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            芥川賞選考委員の池澤夏樹氏     

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直木賞選考委員の林真理子氏          

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芥川賞を受賞した楊逸さん       

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           直木賞を受賞した井上荒野さん

2008年8月22日 (金)

『ワンランク上の問題解決の技術[実践編]』

横田尚哉/ディスカヴァー・トゥエンティーワン/1785

  ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ

 問題解決のカギは「ISSUE分解」にある。

*フェーズ1:問題の認識 Identification

*フェーズ2:改善点の特定 Specification

*フェーズ3:解決手段の選択 Selection

*フェーズ4:解決手段の適用 Utilization

*フェーズ5:改善効果の評価 Evaluation

 とくに重要なのは、「問題の認識」と「改善点の特定」である。たしかに、問題の認識なくして、改善はありえないし、改善点の特定なくして、改善も意味をなさない。

轍理論……人はとかく轍に沿って進もうとしがちであるが、そうしていると、いつしか考えることを止め、自分でつくった轍から抜けられなくなる。人の行動は「偶然⇒習慣⇒当たり前⇒規律⇒拘束」と変わっていく。

*解決手段……問題の「外」にある。

*改善点……問題の「内」にある。

 したがって、ワンランク上の問題解決をするためには、まず改善点に焦点をあてなければいけない。

改善点4つのタイプ

〈顕在的改善点〉

タイプⅠ:現れた改善点……改善点として認識され、改善が可能なもの。すぐに改善すべきである。

タイプ2:掲げられた改善点……改善点として認識されているが、改善が不可能なもの。(時間がない、おカネがない、スキルがない、自信がない)

〈潜在的改善点〉

タイプ3:埋没している改善点……改善点として認識されず、改善も不可能なもの。

タイプ4:見落とされている改善点……改善可能にもかかわらず、認識されていないもの。ここには大きな改善点がたくさん転がっている。

 改善を考えるときに着目すべきは、潜在的改善点である。

 解決手段を知らないために改善ができないのではなく、改善点に気がついていないために改善できないのである。

「なぜ?」vs.「何のため?」

 「なぜ?」という質問は「原因」を追及するイメージが強い。人は「原因」を問われると、意識が過去に向く。

 未来に意識を向けさせたいのであれば、「目的」を問うことが大切である。そして、「手段志向」よりも「目的志向」で行くべきである。

《ファンクショナル・アプローチ》

Step1準備】

*ヒント1:相手の立場で考える(使用者優先の原則)

*ヒント2:機能の視点で考える(機能本位の原則)

*ヒント3:過去ではなく未来で考える(創造による変更の原則)

*ヒント4:メンバーとともに考える(チームデザインの原則)

*ヒント5:価値を高めることを考える(価値向上の原則)

Step2分解】

 目的手段型のロジックで、FAST(Function Analysis System Technique)ダイアグラムと呼ばれるツリー(機能系統図)を作成する。

Step3創造】

Step4洗練】

「魚の煮付け」という笑い話がある。

 本質を見て、本質から考えて、本質から変えようとせよ。

 表現された結果だけを見て、表現された結果から考えて、表現された結果を変えようとすることは、まるで「モグラたたき」のようなものである。

2008年8月16日 (土)

桑原田鶴さん死去

 桑原田鶴さんが死去された。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

桑原田鶴さん死去
仏文学者・故桑原武夫さんの妻

 桑原田鶴さん(くわばら・たづ=仏文学者・故桑原武夫さんの妻)15日午前3時45分、京都市内の病院で老衰のため死去、94歳。自宅は非公開。神戸市出身。葬儀は16日午後2時から京都市北区紫野宮西34、公益社北ブライトホールで。喪主は長男文吉(ぶんきち)氏。 (京都新聞2008.8.15)

2008年8月14日 (木)

『バカ社長論』

山田咲道/日経プレミアシリーズ/893

  バカ社長論 (日経プレミアシリーズ 5) (日経プレミアシリーズ 5)

《「時は金なり」がわからない社長》

《社員が働く会社、サボる会社》

 一つの業務を一人だけに担当させると、当然のこととして「仕事の属人性が高くなる」。そうすると「突然、退職されると、とたんにお手上げ状態」に陥ってしまうだけではない。周りの人からチェックされることもないから、仕事の改善も進まない。「縦割りは絶対に避けなければ」いけないということだ。

 人を育てるにはどうするか。

 まず「チャンスを与える。チャンスを活かして能力が上がったら、どんどんレベルの高い仕事を与えてさらに伸ばす。そして、能力に見合った給与をきちんと支払う――。これが、人を伸ばす基本」である。チャンスを与えなければ、なにも始まらない。

 と同時に、人間には、その人が持っている「器」があることも知らなければならない。しかも、その器は「大きさも、形も、色もさまざまで、すべて違うもの」である。

 「器が合っていない人」については、「転職や異動をさせて、自分の器に合った仕事を見つけるチャンス」を与えるほうが、お互いにとって幸せというものである。

 社長の仕事は何か。

 「名刺や人脈が有効となる営業活動や社外交渉、社内の様子をつぶさに観察しての細かな指示(たとえば「入口の花を枯らさないように」でもよい)など、社員にはできない仕事、気づかない仕事に専心しなければ」いけない。会社の戦略を練るにしても「不断の勉強が必要」である。

 そこで、ともすれば錯覚してしまいがちな、大事な鉄則がある。それは、社長自身が動いてはいけないということだ。「社長自身で水をあげることに夢中になると、会社はおかしな方向に進んで」しまうのだ。

 人間の励みになるのは「評価されること、感謝されること」である。感謝の言葉は「最大のプレゼント」なのだ。それがなかなかできない。分かっているのだが、できない人が多い。「結局、ほめることを常に訓練だと意識して」取り組むくらいでないと、できないのかもしれない。

《ヒット商品の恐怖》

《お金をもうける算数・初級編》

 債権回収のポイントについて。当たり前のことだが、「支払いは溜めないで、一日でも遅れたら督促をするのが貸し倒れのリスクを減らすコツ」である。そして、「督促しても支払わない場合は、その時点で商品・サービスの供給を止めること」。これがなかなかできない。ついつい情にほだされたり、根拠のない期待に流されて、取引を継続してしまうものだ。「とれないお客さんに、どれだけコストをかけても」取れないもである。

 著者の会計事務所では、「月末に売掛金が回収できなかったら、機械的に翌月一日にFAXで連絡するという決まり」をつくったという。あまりコストをかけないで、回収の執念を相手に伝える賢明な方法である。

《もうける社長は、こう考える》

 「戸が笑っている」という表現は面白い。

2008年8月13日 (水)

『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践』

勝間和代/ディスカヴァー・トゥエンティワン/1680

  勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

 勉強法の大ブームである。

 「個人責任の時代」を生きるためのスキルが、幅広いビジネスパーソンに求められているのだ。

 仮説思考するための「論理思考力」、創造的発想を生む「水平思考力」、画像やイメージなどを活用する「視覚化力」、情報共有・コミュニケーションのための「数字力」、ICレコーダーで鍛錬できる「言語力」、心と身体は一体とみて「三毒」を追放し鍛錬する「知的体力」、セレンディピティを呼び寄せる「偶然力」。

 ここに、平易かつ実践的に説くビジネス思考法の基本がある。

             ∴

《『お金は銀行に預けるな』の出版に4PPrice Product Place Promotion)のフレームワークを活用した事例》

  お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

Price……これまでの資産管理本は1000円を超えるものばかりで、「ちょっと興味がある人」には、敷居が高ったので、1000円以下にする。

Product……徹底した初心者対象。ただし、金融以外の教養は高い人向けの、内容が網羅された書籍。

Place……『さおだけ屋は…』『ざっくりわかるファイナンス』などで先行事例がある光文社新書で出す。一番大事なのは、資産管理コーナーや株式コーナーではなく、新書コーナーに置いてもらうこと。

Promotion……分かりやすく、インパクトのある『お金は銀行に預けるな』にすることで、店頭での引きやパブリシティの取りやすさを重視。

《『効率が10倍アップする新・知的生産術』がヒットした理由》

  効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法

 Out of the Box Solution(想定した範囲外から出てきた解)

*本はなるべく、その本の中で情報が完結すべきという方法から離れて、ウェブや他の本などを積極的に参照する方法をとったこと。

*薄い簡単な本でなければ売れないという考え方を離れ、情報量の多い、ビジネス書としては異例の300ページの本にしたこと。

*わかりやすい短いタイトルが売れるという考え方を離れ、インターネットの検索で多く引っかかるようなキーワードをタイトルにふんだんに使ったこと。

2008年8月 4日 (月)

『こころと脳の対話』

河合隼雄・茂木健一郎/潮出版社/1260

  こころと脳の対話

 人に会って凄く疲れるときと、眠くなるときと、脳はもとより、からだ全体が生き生きしてくるときと、経験的にいって3通りあるように思う。

 いちばん記憶に残っているのは、東京外大のポルトガル人の教授と、日本語で話していて、申し訳ないのだが、その教授の日本語を聞いていると、自分の中のリズムがどんどんおかしくなって、気持ちが悪くなったことがある。

 この本で河合氏が述べているのは、それとは違う話かもしれないが、「わりとふつうの話をして帰って行ったのに、気がついてみたらものすごく疲れている場合があるんです。その場合はもう、その人の症状は深い」というのは、分かるような気がする。「それはやっぱり、こちら側が相手と関係をもつために、ものすごく苦労している証拠」なのだ。だから、シンドイものだから「そういう人はかわいそうに、やっぱり人に嫌われる」ことになってしまう。

 眠くなってしまう場合というのは、話がつまらない、クリエイティブでないかだろうと思っていたが、なるほど「一番大事なことを言っていない」ということなのだ。

 生き方として大事な指摘がある。

 茂木氏が「生きるうえで、ある種のしんどさというものがあって、そこを通り過ぎないとやっぱりいけないところって、きっとあるんですよね」と問いかけたのに対して、河合氏はこう答えている。

 「違ういい方をすると、苦しんでいる人がこられたら、苦しみをとるんじゃなくて、苦しみを正面から受け止めるようにしているのが僕らやと思っています。……逃げない。まっすぐに受ける。だいたい、まっすぐに受けてない人が多いんです」

 ほんとうに納得、という感じ。

 しかも「中心をはずさずに」聞くというのは難事だろうな。

 宗教と科学について、興味深い見解が述べられている。

 「宗教的なもの、科学的なものと分かれているのが、相当な接点をもってくるんじゃないか。いちばん僕の関心のあるところがそこなんですよね」

 「宗教と科学が接点をもつときに、僕はいちばん強力なのは仏教やないかと思うんです」

2008年7月24日 (木)

『プルタークの物語』(上)

阿刀田高/潮出版社/1785

     

  プルタークの物語 上 (1)

 本書は、著者の記すところによると、「古代ローマの時代に書かれた著名な古典〈プルターク英雄伝〉の翻案である。ややこしい内容を私なりに平易に綴って紹介する試みである」ということだ。

                      

《第1話 アテネを創ったテセウス》

 *テセウスの宣言により都市国家としてのアテネが誕生し、共和制の第一歩が踏み出された。

 *後にアリストテレスがこう言っている。

 「民衆を愛し、王制を廃したのはテセウスをもって嚆矢とする」と。もってテセウスがアテネの創始者と称される所以である。

《第2話 ローマを創ったロムルス》

 *「私たちは夫も父も失いたくないわ。もちろん子どもは一番大切。もう人殺しはたくさん」……女たちの素直な心と愛情が男たちを反省させ愚かな戦争をやめさせた。

*プルタークはなにかしら伝承された記録をもとにこのくだりを綴ったにちがいない。だとすれば、それは女性たちによるもっとも古い反戦行動の文学だったかもしれない。

*とかく権力を握った者は初心を忘れて傲慢に傾く。

          

《第3話 アテネの立法者ソロン》

 *リュディアの王に告げたソロンの言葉

「現在の幸福、現在の不幸、それに一喜一憂することはありません。さまざまな未来がやって来るでしょう。最後に神が与えてくれるもの、その繁栄こそが大切です。まだ競技の途中にあるのを見て勝利の判定を下すのは愚かであり、当てになりません」

                   

《第4話 栄誉を求めたテミストクレス》

 *水上滝太郎の代表作〈貝殻追放〉というエッセイ集のはしがき

 「厚顔無恥なる野次馬が、その数を頼みて貝殻をなげうつは、敢えてアゼンス(アテネのこと)の昔に限らず、到る処に行はるといへども、殊に今日の日本に於てその甚しきを思はざるを得ず」

                     

 著者はこの言葉に続けて、「現代でも、そういう制度をこそあからさまには存在しないけれど、実際には魔女狩りのような形で見え隠れしている」と警告している。

               

《第5話 尊大な民主主義者ペリクレス》

 *哲学者プラトンの評価

「まこと、ペリクレスは人心操縦術の名人、タイミングよく有効な言葉を発して民衆を導いた」

 *アテネで全ギリシャの平和会議を催そうと誘いかけた。……ペリクレスは平和を重んじ、戦争に関しても穏やかな作戦を旨とした。

 *ペリクレスほどの功績があっても一歩まちがえば弾劾をまぬがれない。健全な民主主義とはそういうものかもしれない。民衆を代表して全権を委ねられているのだから……。

                     

《第6話 先送りの人ファビウス》

《第7話 カメレオン的英雄アルキビアデス》

《第8話 母には弱い猛将コリオラヌス》

《第9話 テーベの英雄ペロピダス》

《第10話 口からジャブを飛ばした大カトー》

《第11話 ママの宝石はグラックス兄弟》

 *「おれたちに逃げ道はない。民衆のために尽くすこと、それだけだ。ただ一つの生き方、ただ一つの死に方しかないのだ」

 この章で、著者はプルタークのグラックス兄弟に対する評価に、厳しく異を唱えているのが注目される。

 「兄弟は壮絶な死を遂げ、直接の後継者こそすぐには現れなかったけれど、その精神はまちがいなくローマに、いやヨーロッパの歴史に深く影響を残したと言ってよい。……私見を述べれば、グラックス兄弟は、その後に空前の発展を示すローマに関わったことにおいて、また明確に民主民生という理念を所持していたことにおいて、軽々に他と比較対照されてよい存在ではあるまい」

 まったく同感である。

《第12話 善悪けた外れのスラ》

 *大きな権力というものは本来的に人間を非道に変え、御しがたいものとする属性を含んでいるのだろうか。それとも大きな権力とともに隠されていた悪しき本性が現れるものなのだろうか。

2008年7月21日 (月)

『翻訳と雑神』

四方田犬彦/人文書院/2100

    

  翻訳と雑神―Dulcinea blanca

《ドゥルシネーア》

& 零落を重ねたセルバンテスが老境にいたって執筆したこの長編小説(『ドン・キホーテ』)は、……はるか過去に実在していた寛容さの喪失を嘆き、それを声低く行間に語らせる作品であるように思われる。その過去とは何か。端的にいってそれは、後ウマイヤ朝のもとにスペインが文化的に殷賑を極めた時代であり、イスラム教徒とユダヤ教徒、キリスト教徒が平然と同じ都市に居住して、信仰の自由を保証されていた時代のことである。

& 『ドン・キホーテ』が刊行された十七世紀初頭のスペインが、もはや過去の宗教的寛容を忘れ、異端審問に明け暮れる、反ユダヤ主義の恐怖国家と化していたことを示している。

& ある側面を強調し、別の側面を排除することによって、翻訳行為はただちに権力に迎合することもできれば、権力に抵抗する力を組織する側に加担することもできる。

《西脇順三郎と完全言語の夢》

《金素雲の朝鮮民謡翻訳》

*岩波文庫『朝鮮民謡集』『朝鮮童謡集』

*自叙伝『天の涯に生くるとも』

*林容澤著『金素雲「朝鮮詩集」の世界』(中公新書)

  

金素雲『朝鮮詩集』の世界―祖国喪失者の詩心 (中公新書) Book 金素雲『朝鮮詩集』の世界―祖国喪失者の詩心 (中公新書)

著者:林 容沢
販売元:中央公論新社
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《金時鐘による金素雲『朝鮮詩集』再訳》

《吉増剛造 発語と彷徨》

《吉増剛造と雑神》

吉増剛造―黄金の象 Book 吉増剛造―黄金の象

著者:国文学編集部
販売元:学灯社
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「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」 Book 「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」

著者:吉増 剛造
販売元:集英社
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盤上の海、詩の宇宙 Book 盤上の海、詩の宇宙

著者:羽生 善治,吉増 剛造
販売元:河出書房新社
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「アジア」の渚で―日韓詩人の対話 Book 「アジア」の渚で―日韓詩人の対話

著者:高 銀,吉増 剛造
販売元:藤原書店
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長篇詩 ごろごろ Book 長篇詩 ごろごろ

著者:吉増 剛造
販売元:毎日新聞社
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天上ノ蛇、紫のハナ Book 天上ノ蛇、紫のハナ

著者:吉増 剛造
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2008年7月18日 (金)

『自分を磨くセオリー』

サミュエル・スマイルズ/本田健・訳/三笠書房/1575円

 スマイルズの名著『自助論』と双璧をなす本書は、幸せになる生き方の指南書である。

      

自助論―人生の師・人生の友・人生の書 Book 自助論―人生の師・人生の友・人生の書

著者:サミュエル スマイルズ
販売元:三笠書房
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何よりもプラトンの説くように「他人の幸せを願うことは、自分の幸せを求めること」であり、哲学者ベンサムの信念でもあった。「強い意志をもった男」と「滝」は、格言のとおり「進むべき道を自分で切り開いていく」ものである。

そのためにも、多くの巨人の生涯を決定づけた『プルターク英雄伝』のように、人生の「手本」をもつことが重要であり、「手本こそすべてである」。

       

プルターク英雄伝 (潮文学ライブラリー) Book プルターク英雄伝 (潮文学ライブラリー)

著者:プルターク
販売元:潮出版社
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しかも、真剣に生きるということは、「精力的に行動するということ」を忘れてはいけないし、「義務を果たすことに憶病であってはならない」のである。換言すれば、「勇敢な人」とは「自分自身の主人」「心の師」となれる人ということである。幸福は私たちの内側にあるのだから、「つまらない恐怖心を克服する力」をもたなければならない。

 災いは姿を変えた幸せにすぎない。うまく生かせば何倍もの幸せを手にすることができるのだから。ペルシャの賢人も「暗闇を恐れてはいけない。それが生命の泉を隠しているかもしれない」と言っているというのだ。だから、「逆境にあわなかった人間ほど不幸な者はいない」という逆説もあるということだ。

 ダンテは亡命中の貧しい暮らしの中で傑作を書いている。ミケランジェロでさえ、彼の才能を理解しない貴族や牧師、あらゆる階層の貪欲な人間たちに妬まれ、ほぼ一生涯にわたって迫害にあっている。

 ルターはワルトブルグ城での獄中生活で聖書の翻訳に励み、ドイツ中で広く読まれた有名な小論文や論説を手掛けている。デフォーはさらし台に三回立たされた後に入れられた牢で、『ロビンソン・クルーソー』をはじめ、数々の政治的な小論説を書いている。

    

ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫) Book ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)

著者:デフォー
販売元:岩波書店
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ロビンソン・クルーソー 下    岩波文庫 赤 208-2 Book ロビンソン・クルーソー 下  岩波文庫 赤 208-2

著者:デフォー
販売元:岩波書店
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2008年7月15日 (火)

ペンクラブ7月例会

 日本ペンクラブの7月例会が開かれ、講談師・神田松鯉氏が講演した。

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講演する神田松鯉氏

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 挨拶する阿刀田会長

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 愛川欽也氏など新会員が紹介され、代表して松本幸四郎氏があいさつした。

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浅田次郎氏の発声で乾杯した

2008年7月14日 (月)

読売・日テレ 広告感謝の会

読売。日テレ広告感謝の会が開催された。

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 渡邉恒雄主筆は挨拶で、石油の高騰は投機筋の動きによるところが大きいが、バブルは必ず崩壊するので、遠からず合理的・妥当な石油価格に落ち着くに違いない、断言されていた。

春ちゃん お別れの会

 歌手・島田歌穂さんの祖母・春ちゃんのお別れの会が開かれ、多くのミュージシャンや関係者がつどった。

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  あいさつする島田歌穂氏

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   献杯の挨拶をする小田島雄志氏

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  ご主人の伴奏で歌う島田歌穂氏

 出席者に記念として『私の祖母は「101歳のお嬢さま」』が贈られた。

私の祖母は「101歳のお嬢さま」 Book 私の祖母は「101歳のお嬢さま」

著者:島田 歌穂
販売元:潮出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2008年7月10日 (木)

桑原武夫学芸賞贈賞式

 第11回桑原武夫学芸賞の贈賞式が京都で開催された。

             *

「長年のテーマ評価、幸運」 桑原武夫学芸賞の四方田氏
2008.07.09 京都新聞 朝刊17版 26頁 対向面 (全342字) 

 第十一回桑原武夫学芸賞(潮出版社主催)の贈賞式が八日、京都市中京区のホテルであり、映画史・比較文化研究者で明治学院大教授の四方田犬彦氏に賞が贈られた。

 受賞作品は「日本のマラーノ文学」と「翻訳と雑神」(いずれも人文書院)の二作。在日韓国・朝鮮人や被差別部落出身者ら出自を隠して生きる表現者たちが文学で何を描いてきたかなどを論じた。

 式では、選考委員の鶴見俊輔氏が選考経過を報告。「比較文学の視点から日本語の特色を解剖した鮮やかな仕事」とたたえた。四方田氏は「出自を隠して生きることに対し、文学は何ができるか。長年取り組みたいと思ってきたテーマを評価してもらえたのは幸運」と喜びを語った。

日本のマラーノ文学 Book 日本のマラーノ文学

著者:四方田 犬彦
販売元:人文書院
Amazon.co.jpで詳細を確認する

翻訳と雑神―Dulcinea blanca Book 翻訳と雑神―Dulcinea blanca

著者:四方田 犬彦
販売元:人文書院
Amazon.co.jpで詳細を確認する

             *

 鶴見俊輔氏は選考経過報告の中で、次のように作品を評価されている。

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《比較文学という私たちの日常から遠い学問の中の区分、概念を持ってきて、いま使っている日本語の特色を解剖して見せ、日本語と日本文学に潜むドラマを見せる。この鮮やかな仕事に、拍手を贈りたいと思います。

比較文学の方法は、西脇順三郎、吉増剛造、寺山修司、中上健次の文学の分析にも鮮やかな新しい方法となって入り口をつくっています。日本文学を世界の隅に孤立する営みとしない新しい見方へと誘います》

 受賞者の四方田 犬彦氏は、受賞作誕生の経緯を披瀝して受賞挨拶をされた。

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《まず、この本をどのようにして構想したかを簡単に申し上げたいと思います。10年ほど前ですが、人文書院の編集者の方が、東京に来た折に私の大学の研究室に立ち寄られました。いずれ四方田の本を出したいのだけれども、どういう本を考えているのかと言われ、私は、次の10年間くらいでこういう本を書きたいという簡単なリストを見せました。「白土三平論」や「ブルース・リーの評伝」とか、「美術論集」とか……題名だけでまだ書いていませんが、こういういろいろなものを十何冊考えていると。

その中で、「とにかくこれは絶対に引き受け手がないだろう」という本を2冊考えていましたが、それを最後に書いておきました。それは、「日本における朝鮮史の翻訳の歴史の考察」と「日本におけるマイノリティのカムアウトと、その告白の問題を文学的に探求する」というテーマでした。この2つのことを漠然と考えていましたが、これは日本の出版社ではまず商売にならないだろうと思い、だめもとと思って、一応書いていたわけです。

売れる本は「ブルース・リーの評伝」とか、「韓国語のタメ口の研究」といった本だろうと。多分、そういうほうが上のほうに書いてありましたが、「では」というのでずっとリストを見て、「一番下の2冊をいただきます」とおっしゃられました。つまり、私が絶対に売れない、本にできないだろうと考えていた2冊を、「これとこれをいただきます」とスラッとおっしゃいました。私は、「それはいいですが、大変ですよ。300部しか売れません。日本語による朝鮮語の翻訳の歴史なんて誰が関心を持つでしょうか。私は書きたいですが、会社としては大変なことになりますよ」と言ったら、「いや」と言ってケラケラと笑っていらっしゃった。そういうわけで、2冊の本を1つのカップリングで作るという構想ができました。その構想自体は私が考えていたことです》

選考委員・梅原猛氏の発声で乾杯し、祝賀パーティがにぎやかに開催された。

    

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東京国際ブックフェア

 第15回東京国際ブックフェアが東京ビッグサイトで開催された。基調講演は「『本』の流通は脳にはじまり、脳に終わる」と題して、茂木健一郎氏が行なった。インターネットの時代に雑誌は危機にあると思うけれど、本はインターネットと相性がいいので、インターネットを活用して、本との偶然の出会いをどう演出するか、もっと考えた方がいいのではないか、というお話は興味深かった。また、脳の楽観回路をもっと活かすべきだと痛感した。

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講演する茂木健一郎氏

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実行委員会を代表して挨拶する小峰紀雄氏

2008年7月 1日 (火)

広告電通賞贈賞式

 第61回広告電通賞贈賞式が開催された。

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セールスプロモーション広告電通賞を受賞した岩波書店・山口社長(中央)

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総合広告電通賞を受賞して挨拶する松下電器・中村会長

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主催者の挨拶をする高嶋・電通社長

2008年6月30日 (月)

『1の力を10倍にするアライアンス仕事術』

平野敦士カール/ゴマブックス/1575

    

  1の力を10倍にする アライアンス仕事術

 ドコモ・ドットコム、ローソン、日本コカコーラ、伊藤忠商事、フジテレビや日本テレビ、ソニー、楽天、JR東日本、コンビニ各社を巻き込み、動かして、「おサイフケータイクレジット」を成功させた人間の仕事術である。

《思考法》

! 「抜きん出る人」でなく「助けてもらえる人」になる。

! 要はボトルネックとは「自分にはできない」というだけのことで、“自分には”の部分さえ崩してしまえば、いくらでも「できない」が「できる」に変わっていく。

! 「交渉する」という感覚ではなく、「相談に乗っていただく」「仲間になってもらう」という感覚で、相手を“ちょっとだけ”でも参加している気分になってもらうことが大切なのだ。

! これまでと同じであることこそ最大のリスクなのだ。

! 「ブルーオーシャン戦略」……「潜在的なニーズ」を見つけるヒントは、人々の「不満」や「不便」にある。

! ギブ・ギブ・ギブ&テイクという発想……メリットを3つ相手に与えて、自分が1つもらうくらいでいい。

《情報整理術》

! 「ひとりでに情報が集まる人」に自分を変える。

! 情報は集めるだけでなく、必要とする人に送ることで、何倍にも価値をもつ。

《人脈術》

! アライアンス交渉術の真髄は「楽しむ」「和む」こと。

! 「また会いたくなる人になる」ための3つの条件……➊「期待できる」というモチベーション➋「楽しい」というモチベーション➌「快適である」というモチベーション。

! 人脈をつくるカギ……「謙虚さ」「素直さ」、そして「相手に感謝する心」

! 「自分中心」ではなく、相手サイドに立った視点こそが、実は“自分を中心とした渦”を広くする力になる。

《勉強術》

! まずはいったん“他人の考えを受け入れて理解してみる。そのうえで自分の考えをつくりだして実行する”……頭の容量を何倍にも広げ、自分自身を大きく飛躍させるきっかけになる。

! 時代は「右脳的な発想を左脳的に実行できる人」を求めている。

! いま、あなたという人間が存在し、生活し、活動しているすべては、生まれてからあなた自身が日々決断し、続けてきた結果である。

《キャリアアップ術》

! 「アライアンス」の基本は、何といっても自分の「固定概念」をなくして“助けてもらえる人になる”ということ……すべてのことを自分で抱え込もうとせず、同時にあらゆる可能性を信じながら、仕事を楽しむことができるようになる。

! 不安もがんばりすぎも、抱え込みすぎると、身動きがとれなくなってしまう……まわりの人を寄せ付けない壁をつくってしまう。

! 大切なのは、自分の枠内だけに納まらず、スピード感をもって、つねに進化させていくこと。

! 想いを行動に変えれば、“新しい何かが動きだす”……結局のところ、「できない」ことの最大の理由は、「やっていないから」だけかもしれない。

! まわりを変えようとするよりも、まずは自分の意識を変えてみてください。

2008年6月28日 (土)

三島由紀夫賞・山本周五郎賞贈呈式

 第21回三島由紀夫賞、第21回山本周五郎賞、第34回川端康成賞贈呈式が開催された。

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『切れた鎖』で三島賞受賞の挨拶をする田中慎弥氏。1972年11月29日、山口県生まれ。2005年、「冷たい水の羊」で新潮新人賞受賞。

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『果断 隠蔽捜査2』で山本賞受賞の挨拶をする今野敏氏。1955年、北海道三笠市生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。東芝EMIを経て、専業作家に。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞、『果断 隠蔽捜査2』で日本推理作家協会賞を受賞。

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『ゴールデンスランバー』で山本賞受賞の挨拶をする伊坂幸太郎氏。1971年5月25日、千葉県松戸市生まれ。2000年、『オーデュポンの祈り』で第5回新潮ミステリー倶楽部賞受賞。2004年に『アヒルと鴨のコインロッカー』で第25回吉川英治文学新人賞、「死神の精度」で第57回日本推理作家協会賞・短編部門、2008年に『ゴールデンスランバー』で第5回本屋大賞を受賞した。

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川端賞の選考経過を発表する秋山駿氏

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「海松(ミル)」で川端賞受賞の挨拶をする稲葉真弓氏

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「蛹」で川端賞受賞の挨拶をする田中慎弥氏

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挨拶する川端康成記念会・川端香男里理事長

2008年6月20日 (金)

『アメリカ人大富豪 世界一の「考え方」』

浜口直太/グラフ社/1300

  

  アメリカ人大富豪世界一の考え方

《ゼロから超一流になったアメリカ人》

 著者がアメリカで出会った富豪たちは錚々たるものだ。

 ウォルマート創業者サム・ウォルトン、デル創業者マイケル・デル、アメリカ半導体の未来を託された男ジェリー・ジャンキンズ、メアリー・ケイ化粧品創業者メアリー・ケイ・アッシュ、クラブ・コーポ・インターナショナル創業者ロバート・デッドマン、トラメル・クロウ創業者トラメル・クロウ、品質管理の世界的権威エドワード・デミング、アメリカを代表するエンジェル(ベンチャービジネスへの個人投資家)ジョージ・コスメスキー、テキサス・コマース銀行元頭取ジョン・アダムス、アメリカン航空元会長&CEOロバート・クランデル、サウスウェスト航空創業者ハーブ・クレハー、スターバック・カンパニー創業者ロジャー・スターバック、副大統領ディック・チェイニー、「アメリカ外食産業の神様」と呼ばれた男ノーマン・ブリンカー、「アウトソーシング」産業におけるパイオニアでペロー・システム創業者ロス・ペロー、クレセント・エクイティ創業者リチャード・レインウォーターが、「なぜ成功できたか」が簡潔に紹介されている。

《なぜ、ほとんどの日本人は成功できないのか?》

! 言うべきことが言えない……言うべきことを言うのは、よりよい結論を導き出そうとする、誠実な行為である。

! 「自分棚卸」の欠如……ビジネスにおいては、自分で何でもやろうとせず、できる人を探し、その人にやってもらう方が効率的で効果的である。

! ビジネス・センスがない……「これだ!」と思ったら、バカになって猪突猛進し、徹底的にやってみること。

! リーダーシップを発揮しない。

! ビジネス・パーソンとしての気配りがない……人に好かれる秘訣は、相手に対して徹底的に気配りをすること。

! 専門家を活用しない。

! 器が小さい……よく言われる「WIN-WIN」の関係を構築せよ。

! 人脈作りが下手……秘訣はこちらから積極的にアプローチすること。それも相手を利用しようとしてではなく、相手のお手伝いをすることで、喜んでもらおうとして。

《圧倒的成果を出す方法》

& 「傾向性」と闘う

& コンフリクトから一歩も逃げない

& 徹底して具体化・数値化する

& 一流の人に会いまくる

& 感謝の達人に……感謝されたら、その人のために何かをしてあげたくなる。

& 「委任力」をつける……本当に仕事ができる人は、全部自分でやろうとはしない。

2008年6月18日 (水)

『コンサル成功物語』

浜口直太/インデックス・コミュニケーションズ/1575

    

  コンサル成功物語

 これは「自伝的小説」である。小説とはいえ、事実に即した小説であろう。荒唐無稽なフィクションではないということだ。

 第8章の《保身を捨てれば思いは通じる》で明かされるのは、アメリカのレストラン・チェーン、サンデー・アフターヌーンの日本進出に際して、優良外食企業カワタのカリスマ企業家・川島太郎が合弁を持ちかけて成功するストーリーである。

 これは恐らく、アメリカのカールソン・レストランツ・ワールドワイド社が、世界57カ国以上で展開する、「古き良きアメリカ」をコンセプトとするカジュアルダイニングレストラン「ティージーアイ・フライデーズ」を、ワタミと提携して日本に進出したときのことではないだろうか。とすれば、著者は相当の辣腕国際経営コンサルタントである。

 《第2章 悩みに悩んだ転職》では、世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社、KPMGピート・マーウィックに勤めて8年目になったころ、同業大手のプライス・ウォーターハウスに、破格の好条件でヘッドハンティングされる話である。

 《第3章 独立前の葛藤》では、プライス・ウォーターハウスで2年を勤め、圧倒的な成果を収めて、統括する国際部門が軌道に乗りかけたころ、独立すると決めていた10年目を迎える。でも、ここで辞めるのは関係者に大きな迷惑をかけることを考えると、なかなか決断できない。思いあぐねて、尊敬する上司ポールに相談する。彼から出てきたのは、まったく予想外の解決策だった。

 あと、《第4章 諦めずに挑戦し続ければ奇跡は起こる》《第5章 人の心を動かす土下座》《第6章 人生何が起きるかわからない》は、著者が国際経営コンサルタントとして、独立してからの手に汗握る成功譚である。

2008年6月16日 (月)

『仕事と人生を熱くする、いい話』

浜口直太/インデックス・コミュニケーションズ/1575

   

  仕事と人生を熱くする、いい話

 この本を手にして初めて、「日本のフォレスト・ガンプ」をめざす著者の生年月日(年齢)、出身地などを知ることができた。若い!凄い!

「不可能を可能にしてきた私の軌跡」から、著者の略年表を抜き書きしておきたい。

196077日 兵庫県伊丹市生まれ

19764月 創価高校入学

19794月 創価大学経営学部経営学科入学

19799月 アラバマ州立ガーズデン短期大学に語学留学

1983年3月 渡米、その後、ローラースケーター時代を送ることになる(詳しくは、本書エピローグ参照)

19838月 ペンシルベニア大学経営大学院(ウォートン・スクール)に入学許可を得る

19845月 国際会計・経営コンサルティング会社KPMGピート・マーウィック(ニューヨーク本社)にプロフェッショナル・スタッフとして採用

19857月 テキサス大学経営大学院(ビジネス・スクール)助手就任。同大学院修士課程入学

19889月 同大学院博士課程へ入学

19909月 国際会計・経営コンサルティング会社プライス・ウォーターハウスへヘッドハンティングされ、日本企業部ディレクターに最年少・最短で就任

19927月 国際経営コンサルティング会社「東京コンサルティング・インターナショナル」を設立し、代表取締役社長に就任

というわけで、著者自身が言うように、「奇跡」にあふれる華麗なる経歴である。

《第1章 仕事にまつわる、いい話》

*「無理したり背伸びしたりしなければ、いい仕事はできません。でも、そうすることで、どんどん実力がつき伸びていくのです」

*「雑用は、すべての仕事の基本中の基本であることを忘れてはいけないぞ」

《第2章 人生にまつわる、いい話》

*「まず、問題が起きた時に、本当に時間とエネルギーを使って悩まなければならないことかどうか、考えてみてください。……重要なことは、あなたが悩んで解決できることなのかどうかを、よくよく考えてみることです」

《第3章 出会いにまつわる、いい話》

*出逢いぐらい一生を左右するものはない。

《第4章 対話にまつわる、いい話》

*「対話に必要なことは、相手を尊重し、一生懸命聞くことです」

《第5章 能力にまつわる、いい話》

*「使命を自覚する時、才能の芽は急速に伸びる」

*「そもそも経験を積むから、能力が生まれるんだよ」

《第6章 成功にまつわる、いい話》

 著者が出会ったアメリカの成功者たちは、錚々たる人物である。

*「ウォルマート」の創業者で、オーナー兼最高経営責任者であるサム・ウォルトン

*米国大手化粧品会社メアリー・ケイの創業者・元CEOである世界的な米国の女性企業家、メアリー・ケイ・アッシュ

*デル・コンピュータの創業者で最高経営責任者、マイケル・デル会長

*全米一の大富豪(当時)で「不動産王」と呼ばれたトラメル・クロウ……この人物の晩餐会で、ジョージ・HWブッシュ元大統領、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時、テキサス州知事)、ディック・チェイニー(当時、大手石油会社社長)、ジェームス・ベーカー元財務長官・国務長官、ローレンス・サマーズ元財務長官・ハーバード大学前学長などのお歴々である。

*感謝されて嫌な気になる人は一人もいない。

*ギブ&ギブ&ギブ

《第7章 人間性にまつわる、いい話》

*「本気が勇気を生み、勇気が行動力を促す」……プライス・ウォーターハウス社時代に仕えた上司、ポール・ウィーバーさんの口癖。

*人間力

  

2008年6月13日 (金)

『MBAでは学べない勝つ経営の本質』

浜口直太/日経BP社/1680

    

  MBAでは学べない 勝つ経営の本質

 この本を読んで、なぜ彼がアメリカで有能さを発揮したのかが分かった。まず、アメリカの大学院で天才扱いを受けたというのだ。それは、日本の偏差値教育のテストでいい点がとれなくても、アメリカで要求されるレポートや論文では、人と違う角度や切り口で物事を把握・分析し主張するのを得意としたのだ。

 だから、「アメリカでは、結論はどうであれ、発想のユニークさを評価されますので、私が書いたレポートや論文は、教授からかなり高い評価を受けました」と。修士課程の学生だったころ、4年に1回開かれる国際的な学会の総会で、自分の書いた論文を発表したこともあるというのだ。

2008年6月11日 (水)

『能率10倍のシンプル仕事術』

浜口直太/PHP研究所/1103

    

  能率10倍のシンプル仕事術

 書類整理や名刺の整理、手帳の活用法など、仕事をするうえで、誰しも遭遇するテーマについて、“浜口流”とも言うべき工夫の数々が披瀝されている。

 なかでも「ああ、同じことをやっている」と思って感動したのは、「TO SAYリスト」である。

「毎週の朝礼のために、私がよくやるのが、事前に社員に言うことをリストアップしておくことです。……思いついたその場ですぐに手帳に」に書き留めておく。

 しかも、朝礼などのタイミングを見て言わなければならないので、「言わなければならないことを、言うべき日の欄に書いて」おけば、言い忘れをすることがなくなるというわけだ。

 私は会議のときに何を言うかを、思いついたその時に、手帳の会議の予定欄の横のメモ欄に記入するように心がけている。記入しておかないで、当日になって思い出そうとしても出てこない。あるいは言い忘れることも少なくない。

 鞄の話も面白かった。私もカバン大好き人間で、衝動買いすることもあるが、なかなかこれはという鞄にお目にかかれない。でも、身銭をはたいて購入し、嬉しくなったり落胆したりという経験が意外と大事なのではないかという気がする。私の場合だけなのかも知れないが、本は別として、自分で買い物をする機会が少ない。それだけに、顧客はどう反応するのかということをわが身で体験することになり、有益なように思える。

 私には「ノートパッドホルダー」を活用した経験はない。便利そうだなと思える代物に出会ったことがないからかもしれない。

 「健康サンダル」はいいのを見つけて使ってみたい。

作家アイトマートフ氏逝く

 ロシア、そしてキルギスの作家チンギス・アイトマートフ氏が逝去された。心からご冥福をお祈りしたい。日本でも翻訳出版された『キルギスの雪豹』が遺作となった。

Book キルギスの雪豹―永遠の花嫁

著者:チンギス・アイトマートフ
販売元:潮出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

カッサンドラの烙印―二十世紀の異端の書 Book カッサンドラの烙印―二十世紀の異端の書

著者:チンギス アイトマートフ,飯田 規和,Tchingis Aitmatow
販売元:潮出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Book 処刑台 (現代のロシア文学)

著者:チンギス アイトマートフ
販売元:群像社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

涙が星に変わるとき Book 涙が星に変わるとき

著者:チンギス アイトマートフ
販売元:花風社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Book 大いなる魂の詩 (下) (聖教文庫 (202))

著者:C・アイトマートフ,池田 大作
販売元:聖教新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Book 大いなる魂の詩 (上) (聖教文庫 (201))

著者:C・アイトマートフ,池田 大作
販売元:聖教新聞社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

Book この星でいちばん美しい愛の物語

著者:チンギス アイトマートフ,浅見 昇吾,Tchingis Aitmatow
販売元:花風社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

2008年6月10日 (火)

『デキる人は皆やっている一流の仕事術』

浜口直太/明日香出版社/1470

    

  デキる人は皆やっている一流の仕事術

 テキサス大学経営大学院MBA取得。同大学院博士課程、さらにウォートン・スクール博士課程で、財務、国際経営を専攻する傍ら、同大学院で教える。米KPMGビート・マーウィック、米プライス・ウォーターハウスを経て、米国で経営・起業コンサルティング会社を設立、という華麗な経歴の人間に、「落ちこぼれだった私」と言われても、にわかには信じがたい。どういう人と比べて、どの程度の落ちこぼれだったのか。失敗談はあまり具体的には書かれていないので、比較の対象が違うのではないかと思ってしまう。でも、とりあえずおっしゃるとおりに受けとめて、「一流の仕事術」を学ばしてもらおう。

 第1章の「仕事でプロを目指す」のなかで、大いに教えられたのは、「新聞や雑誌の記事、また本の内容で気になるテーマがあると、読んだその日のうちに誰かと意見交換をすることにしています。そうすることによって新たな考え方や解釈において発見があり、理解が深まるだけでなく、そのテーマに関しての問題意識を維持し続けられるからです」というくだりである。

 もう一つは、「出来そうもないな」と思ったとき、どうするかでsる。「出来ない理由」をどんどん書き出してみる。そして、それを取り除くためには具体的に何をすればいいのかを考えて書き出す。「ハードルになっていることとその対処法をどんどん明確化する」というのである。そのうえで、あとは「とにかくバカになって愚直にそれを実践していくこと」以外にない。「結果を出すためには、まず行動すること」である。たしかに、「とにかく行動すれば、難しそうなことも意外に容易にできてしまうもの」である。

 ともかく、「良きメンターを持つと仕事が早く覚えられる」のは確かである。メンターとは、ギリシャ神話から来た言葉だそうで、オデッセウスがわが子の教育を託した良き指導者のことである。つまり、「師匠、コーチ、先生など、自分を導いてくれる人のことを意味」している。「人生のメンター」と出会えた人は幸せである。

 第2章の「一流のプロが実践している50の仕事術」では、とくに大事だな、凄いな、知らなかったな、なるほど、などと思って傍線を引いた項目を抜き書きしておきたい。

*できる人ほど、なんでもリストアップする習慣が身についている。その方が、優先順位が分かるうえ、ミスが少なくなることを熟知しているからだ……つまりシンプル化させ効率的に仕事ができる。

*本当に実力をつけたかったら、何事も自ら問題解決する癖をつける。

*本当に聡明な人は、何事もシンプルに考える……本当に解決したいのなら、問題は一つひとつ絞り込んで、集中して対処する。

*整理整頓できない人は、心が乱れている証拠であるから、仕事もできるわけがない……とりあえず仕事の区切りがついたら、関係する資料をきちんとファイリングすること。そして、もういらない資料は遠慮なくすぐに捨てること。

*仕事のできない人は、いらないものが捨てられない。心の整理ができない人だから、仕事の整理もできるわけがない……捨てなければ、周りはいらないものだらけになってしまう。

*一番犯しやすい間違いは、「間違いを間違いと認めない」という間違いである。

*人間関係を良くする特効薬として、惜しみなく「ありがとう!」を言い続けよう。驚くほど、人に評価される。

*具体的にしない目標は、「絵にかいた餅」。だから何も起こらない。

*待っていても誰も来ない。特に先輩や上司は。だから自分から働きかけよう。

*相手を利用するために親しくしてもらうのではなく、相手を応援・お手伝いするために、お付き合いをさせていただく。

2008年6月 9日 (月)

『あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール』

浜口直太/明日香出版社/998

     

  あたりまえだけどなかなかできない仕事のルール (アスカビジネス)

 まさに書名のとおり「仕事のルール」を知らないか、知っていても出来ない社員が少なくない。当たり前のことでも、自らを正し、キチンと「社員教育」をするしかない。

*「できません」「不可能です」「無理です」は禁句

*人に不快感を与えない身だしなみや服装を心がけよう

*使わないものは溜めないでそのつど捨てよう……捨てないとどんどんいらないものがたまって、本当に必要なものがどこのあるか分からなくなる

*アイディアや注意点が浮かんだらすぐ書き留めておこう

*まず、やってみよう……理屈なしでまずバカになって死に物狂いでやってみることです

*職場で甘えたり、甘えた話し方をするのはやめよう

*常にまわりの人に感謝の意を表そう……感謝の意を表すということは、相手に対してそれだけ強力かつポジティブなインパクトを与える「特効薬」なのです

*なんでもいいからわくわくすることをしよう……つねに新しいことにチャレンジすることです

*言葉ではなく行動と結果のみ信用

*メモ魔になろう……「ドキュメンテーション」というのは、誰が読んでも分かるようにしてあるメモのこと

*自然体で背伸びしよう……適度な無理、すなわち自己の限界への挑戦をしなければ、人間性や能力は高まりません

*まず整理整頓から……とりあえず一つの作業から次の作業に移行する時には、きちんとファイリングすること

*まず何のためにやるのか考えよう

*電話に出られない場合は「接客中」と伝えてもらおう……接客なら自分と同等(顧客)とのアポであるため、顧客を大切にしているとの理由から納得できる

*毎日、To Do Listをつくろう……書き出すことによって曖昧だったことがより明確になる

*経済力より信用力を……信用を構築するまでは、見た目で勝負する……お金で信用は買えません。しかし、信用がお金を生むことはよくあること

*ピンチをチャンスに……ピンチを知っている人間は、それだけ通常では出てこない力を使った経験があるということ

*書類のファイリングは即座にしよう

*聞く前にまず自分で答えを出してみよう……考えて導き出した答え、あるいは考えても導き出せなかった経緯を明らかにして、ものを問う

*会議中、相手から書類を渡されたらまず上司に見せよう……決定権を持っていない人が、最初に見る必要はない

*行き詰まったら書いて思いをまとめよう……書いておけば、どこに思考の間違いがあるのか、あるいはほかの思考への枝があるのか、見えてくる

             

 旺盛な著作活動に脱帽!以下、参考までにアフェリエイトをいくつかリストアップしておきたい。

    

あたりまえだけどなかなかわからない組織のルール (アスカビジネス) Book あたりまえだけどなかなかわからない組織のルール (アスカビジネス)

著者:浜口 直太
販売元:明日香出版社
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あなたの人生を劇的に変える 勉強のルール Book あなたの人生を劇的に変える 勉強のルール

著者:浜口 直太
販売元:あさ出版
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コンサル成功物語 Book コンサル成功物語

著者:浜口 直太
販売元:インデックス・コミュニケーションズ
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仕事の法則―ルールには成功の理由がある (リュウ・ブックスアステ新書 43) Book 仕事の法則―ルールには成功の理由がある (リュウ・ブックスアステ新書 43)

著者:浜口 直太
販売元:経済界
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一流の行動力―64のルール Book 一流の行動力―64のルール

著者:浜口 直太
販売元:グラフ社
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仕事が速い人のすごい習慣&仕事術 Book 仕事が速い人のすごい習慣&仕事術

著者:浜口 直太
販売元:PHP研究所
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あたりまえすぎて気がつかない問題解決の法則 Book あたりまえすぎて気がつかない問題解決の法則

著者:浜口 直太
販売元:グラフ社
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まちがいない人間関係のしきたり Book まちがいない人間関係のしきたり

著者:浜口 直太
販売元:グラフ社
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凡人でも上場できる! 起業の黄金ルール Book 凡人でも上場できる! 起業の黄金ルール

著者:浜口 直太
販売元:日本実業出版社
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アメリカ人大富豪世界一の考え方 Book アメリカ人大富豪世界一の考え方

著者:浜口 直太
販売元:グラフ社
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結局、営業に頼ってしまう御社が伸びない本当の理由 Book 結局、営業に頼ってしまう御社が伸びない本当の理由

著者:浜口 直太,澤田 且成
販売元:明日香出版社
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凡人を最短・最速で「できる人」にする方法 Book 凡人を最短・最速で「できる人」にする方法

著者:浜口 直太
販売元:PHP研究所
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幸せになるための10の法則 Book 幸せになるための10の法則

著者:浜口 直太
販売元:グラフ社
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リアルケースに学ぶ完全アメリカ起業マニュアル Book リアルケースに学ぶ完全アメリカ起業マニュアル

著者:浜口 直太
販売元:廣済堂出版
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越えて行け (浜口直太のビジネス金言集 2) Book 越えて行け (浜口直太のビジネス金言集 2)

著者:浜口 直太
販売元:シーアンドアール研究所
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MBAでは学べない 勝つ経営の本質 Book MBAでは学べない 勝つ経営の本質

著者:浜口 直太
販売元:日経BP企画
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2008年6月 5日 (木)

『出逢いの大学 普通のサラリーマンが黄金人脈を作る法則』

千葉智之/東洋経済新報社/1575円

  出逢いの大学

*ミラーの法則……人脈はあなたを映す鏡

*本物の人脈作りにおいて「見返りを期待せずに与えること」は、もっとも重要な心構え……与える力で、自分がよりクリエイティブになれる

*相手の望むことを探すコツ……「何をされたら嫌なのか」を考える

*原因と結果の法則……新しい人たちと出会うためには、昨日までと違うことをしなければいけない

*量稽古……かならず量が質に変化する

*とにかく動くとあなたが魅力的な人間になれる……経験しなければ分からないことがたくさんある

*人と出逢うしくみを作れ……定期的に、かならず、否が応でも、人と出会うようにする……・無理をしない・気軽にできることにする・習慣にする

*情報は発信するところに集まってくる

*フェア・スタンス……相手によって態度を変えない

*マスターキーの法則……好きではないけど、嫌いではないの心構え

*超楽観主義論……どんな状況でも物事のいい面を「見つけ出す」ように心の状態をコントロールする

*初めてのお誘い……仕事を投げ打ってでも行くべきである

*人に頼みごとをされたら勝ち!

*クイック・レスポンスのすすめ

SNS活用術……mixi GREET……あくまでも「ツール」である

*名刺管理術……ウィルコム「W-ZERO3

2008年6月 4日 (水)

故角屋正隆トーハン元会長お別れの会

 故・角屋正隆トーハン元会長のお別れの会が行われた。

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2008年6月 3日 (火)

新渡戸・南原賞授賞式

 第5回新渡戸・南原賞の授賞式が学士会館で開催された。

開会のあいさつをする鴨下重彦・新渡戸・南原基金代表(東京大学名誉教授)

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賞を受ける佐藤全弘・大阪市立大学名誉教授。著書に『新渡戸稲造-生涯と思想』『新渡戸稲造の精神』など。

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受賞者の謝辞を述べる宮田光雄・東北大学名誉教授。著書に『現代日本の民主主義』『政治と宗教倫理』『ナチス・ドイツの精神構造』『宮田光雄思想史論集』など。

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祝辞を述べる渡部満・教文館社長

 受賞者の著書のアフェリエイトをリストアップしておきたい。

権威と服従―近代日本におけるローマ書十三章 Book 権威と服従―近代日本におけるローマ書十三章

著者:宮田 光雄
販売元:新教出版社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

メルヘンの知恵―ただの人として生きる (岩波新書) Book メルヘンの知恵―ただの人として生きる (岩波新書)

著者:宮田 光雄
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ナチ・ドイツと言語―ヒトラー演説から民衆の悪夢まで (岩波新書 新赤版 (792)) Book ナチ・ドイツと言語―ヒトラー演説から民衆の悪夢まで (岩波新書 新赤版 (792))

著者:宮田 光雄
販売元:岩波書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

<荒れ野の40年>以後 (岩波ブックレット (No.652)) Book <荒れ野の40年>以後 (岩波ブックレット (No.652))

著者:宮田 光雄
販売元:岩波書店
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武士道 Book 武士道

著者:新渡戸 稲造
販売元:教文館
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2008年6月 1日 (日)

『視覚マーケティングのススメ』

ウジ トモコ/発行=クロスメディア・パブリッシング/発売=明日香出版社/1575

     

  視覚マーケティングのススメ

*デザインは最初の一手、つまり“見る”という瞬間的な動作だけで、“人の心をつかみ、好感を抱いてもらう”というアドバンテージを確実に手に入れることができる投資である。

*デザインとは、いわば市場の選択であり、市場の拡大である。言い換えれば、あなたの会社の商品が誰にとって価値があるかを伝える手段がデザインであり、ブランディングである。

*デザイン投資をしていない商品というのは、いくら品質が優れていたとしても、肝心なその中身を見てもらえない可能性だってある。

*トーン&マナー……ある企業や商品、あるいはサービスにただよう“世界観”や“雰囲気”と思っていただけると分かりやすい。

*デザインで「売上」を上げる

  デザインでブランディング強化

  デザインでインパクトのあるアドバタイジング(広告戦略)

  デザインで効果的なプロモーション

*デザインセンスを磨く5つのポイント

 ①文字……デザインの「人格」は9割「文字組」で決まる。

 ②レイアウト……整理されて見やすいレイアウトの特長は、ディレクトリの整理がきちんとできている。

 ③配色……色選びは、その人のすでにある「価値観」と密接に繋がっている。

 ④トーン&マナー……人の潜在意識に訴えかけるため、どんな人にも感じてもらうことができる。

 ⑤コピー……コピーとデザインは“かぶらない”のが基本である。(同じことを言わない)

2008年5月27日 (火)

『私塾のすすめ ここから創造が生まれる』

齊藤孝・梅田望夫/ちくま新書/714円

  

  私塾のすすめ ─ここから創造が生まれる (ちくま新書 (723))

 日本人は「ノー」と言われることに弱すぎる。断られると「あたかも人格を全部否定されたかのように思ってしまう」という指摘は的を射ている。「いま、子どもを育てるときの『励まし』が以前より必要になっている」ことと表裏の関係にあるのかもしれない。しかも、日本で受動的にメディアから受けるのは、「気持ちが萎えるような言葉が多い」だけに、「上機嫌」や「喝采体験」がより重要になる。著者の「私塾による戦い」に喊の声をあげたい。

梅田*自分がいいなと思ったことに自信をもったほうがいいと。自信をもつとそこに行動が生まれる。行動すれば情報が新しく生まれる。

梅田*オープンにしながら、雰囲気をよくしていくということに、新しいリーダーシップの要諦がある。

齊藤*突破体験のようなものがあって、自分の限界よりもうすこしできてしまう。……限界を突破した果てにあるものを見せることによって、あこがれとともに、「ああ、このくらいはいけそうだ」という、ある種の構想力を持てる。

齊藤*いま、子どもを育てるときの「励まし」が以前より必要になっている。とにかく子どもたちは励まされたい、存在を承認してほしいという欲求が強い。

 斎藤*僕は、「寒中水泳」と似ているような気がしています。水にちょっと足を入れて、「冷たっ」と言ってまた話して、足を入れては出して、を繰り返していると、なかなか慣れない。入ってしまえば、自分のまわりの水と自分の体温がある程度なじんできて、かえって楽になるという面があります。

 梅田*「ノー」と言われることに対して弱すぎるんだと思いますね。……みんな、「ノー」と言われるのがいやなんだな。というか、断られることに対して弱い。あたかも、人格を全部否定されたかのように思ってしまう。……断られることに対しての免疫が弱すぎる。傷つきやすすぎる。つまらないことで傷ついて終わり。

 斎藤*ある一定量をこなさないと、質的変化がおこらないということを信じて、量をこなすということを、まず最初の課題にしていく。

 斎藤*イチローを見ていたときに、「安打数」に集中したというのが、発想として正しかったんだろうなと思いました。打率だと、下がることがこわい。消極的になる。でも、安打数だったら減ることはないから、積極的に打っていく。

 斎藤*「言葉を味方につける」。人に言われて嬉しかった言葉は、ちゃんと手帳にメモして残しておくとか、人から来たいいメールのみ残しておく、ということをやってみる。

 梅田*ギリギリまでやってだめだった経験、あるいはギリギリまでやってうまくいった経験というのはとても大事で、ギリギリまでやってみると、そこで初めて次のところに行ける。

 斎藤*本当はその手前に、「一面化戦略」みたいなものがある。……結局、深海魚と出会えるくらいに深くもぐらなくては、物事は身につかないという考え方なのです。

 梅田*日本で受動的にメディアから受ける言葉に、どうも気持ちが萎えるような言葉が多いなということなんです。……僕の住んでいるシリコンバレーというところは、大人からの「励ましの言葉」にみちている。……とにかく、どんなことがあっても「Fine」なんですね。「Fine」と言う人のところにしか、人がやってこない。機会が巡ってこない。

2008年5月22日 (木)

日本雑誌広告協会総会

 日本雑誌広告協会通常総会が開催された。

 挨拶する並河理事長

 記念講演では、作家の佐藤優氏が「インテリジェンスと宣伝・広報」について語った。

 佐藤優氏の著作活動は旺盛というほかない。しかも、抜群に面白い。なぜなのだろうか。日本の一般的知識人にはない、本質的な宗教の視点を実感としてもっているからか。キリスト教についての理解も並々ならぬものがある。

国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫 さ 62-1) Book 国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて (新潮文庫 さ 62-1)

著者:佐藤 優
販売元:新潮社
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国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス 1100) Book 国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス 1100)

著者:佐藤 優
販売元:日本放送出版協会
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インテリジェンス人間論 Book インテリジェンス人間論

著者:佐藤 優
販売元:新潮社
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自壊する帝国 Book 自壊する帝国

著者:佐藤 優
販売元:新潮社
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国家の自縛 Book 国家の自縛

著者:佐藤 優
販売元:産経新聞出版
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地球を斬る Book 地球を斬る

著者:佐藤 優
販売元:角川学芸出版
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国家の崩壊 Book 国家の崩壊

著者:佐藤 優
販売元:にんげん出版
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獄中記 Book 獄中記

著者:佐藤 優
販売元:岩波書店
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国家と神とマルクス―「自由主義的保守主義者」かく語りき Book 国家と神とマルクス―「自由主義的保守主義者」かく語りき

著者:佐藤 優
販売元:太陽企画出版
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私のマルクス Book 私のマルクス

著者:佐藤 優
販売元:文藝春秋
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「ザボン」30周年記念パーティ

文壇で知られる「ザボン」30周年の記念パーティが開かれた。

 

2008年5月21日 (水)

日販懇話会

 日販懇話会が開催された。

 挨拶する阿部会長

2008年5月19日 (月)

『仕事に役立つマインドマップ 眠っている脳が目覚めるレッスン』

トニー・ブザン/神田昌典・監修/近田美季子・訳/ダイヤモンド社/1680

    

  仕事に役立つマインドマップ―眠っている脳が目覚めるレッスン

 マインドマップを使った問題解決法、交渉術、事業計画書の作り方、時間管理術、記憶力のアップ術、変化への対応、面接術、ブランドの再構築、コミュニケーション術、顧客管理、リーダーシップ能力の向上、いじめの克服、プレゼンテーション能力のアップ、会議術、ワーク・ライフ・バランスの実現など、ほとんどあらゆることに抜群の威力を発揮する「思考のワークフレーム」ということだが、実際に活用するのはなかなかの難事ではなかろうか。まず、木の枝の伸びたようなあまり好きになれない、しかし「子供じみた」と言いたくなるような絵を描けるかどうかだ。やってみないから、こんなことを思うのかもしれないが。

*交渉を成功させるためのヒント

 ①交渉中に「間」が生じても、それを埋めようとしないことが鉄則だ。

 ②あなたが人の話をきちんと聞けば、相手も好意的な態度で応じる。

TEFCAS成功メカニズム

 Trial試行……試してみなければ始まらない。

    Event実行

    Feedbackフィードバック

    Checkチェック

    Adjust調整

    Success成功

2008年5月18日 (日)

『やる気を引き出す!ほめ言葉ハンドブック』

本間正人・祐川京子/PHP研究所/997

    

  ほめ言葉ハンドブック

《正しいほめ言葉の6原則》

    事実を細かく具体的にほめる

    相手に合わせてほめる……ほめ上手は観察上手

    タイミングよくほめる……すかさずほめる

    先手をとってほめる……先手必勝

    心をこめてほめる……飾らない言葉、シンプルな言い回しで、言葉と声に気持ちを載せて

    おだてず媚びずにほめる

《ほめ上手になるための4つの心がけ》

    ほめ言葉を探す

    ほめ方のレパートリーを増やす

    力加減をコントロールする

    あきらめずに実践する……今までやっていなかったことを始めると、最初は当然違和感があるが、途中で投げ出さず、新しい習慣になるまで続けていくことが大事

《ほめ言葉の実践スキル》

○成績が悪い部下をほめる

 *強み・長所を具体的にほめる

 *もっとも生き生きする瞬間を探す……長所があると気づくだけで、人は元気になり、意欲が湧いてくる

 *ほめようがないときは可能性をほめる

○若手社員をほめる

 *相手を知ることが、ほめるための下地

 *プロセスに注目し、小さな進歩をほめる

 *ほめ上手は叱り上手……「しかるべきビジョン」を伝える

《覚えておきたい「ほめ言葉」》

○知的能力の高さをおめる

・決断力があるね

・判断力があるね

・アイデアが豊富だね

・聴き上手だね……「聴」という字は「耳」と「目」と「心」から成り立つ

・教え上手だね

・話が分かりやすいね

・いいこと言うなあ

・よく考えているね

・勘がいいね

・賢明だね

・頭の回転が速いね

・賢いね

・聡明だね

○優れた人間性、人間関係能力をほめる

・面倒見がいいね

・リーダーシップがあるね

・見習いたい人だね

・人を惹きつけるね

・一緒にいると楽しいよね

・友達多いね

・協調性があるね

・ホスピタリティがあるね

・話題が豊富だね

・運が強いね

・見かけによらないね

・強運のお裾分けをもらったよ

・あの人苦労人だよ

○期待と感謝の気持ちでほめる

・君に任せておけば大丈夫だよ

・将来有望だよ

・頼りがいがあるね

・一緒に仕事ができてうれしい

2008年5月15日 (木)

『案本 「ユニーク」な「アイデア」の「提案」のための「脳内経験」』

山本高史/インプレスジャパン/1680円

  案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」

 どんなに素晴らしいと誇示するアイデアを捻り出しても、選ばれなければ、ないのと同じである。「選ばれるユニーク」を創造する秘訣はあるのか。クリエイティブ・ディレクターである著者はまず、脳に考えるという経験をさせる。そして、「脳内アングル」から、主観という偏見を増やすことで、「偏見の排除」をはかり、「全体像の把握」をせよ、とすすめる。そこから「脳内ツリー」を伸ばせば、「普通」を突き抜けられるというのである。
 「脳内アングル」と「脳内ツリー」のつくりだすものは、やはり「マインドマップ」ではないか。それに通じる方法論ではないか、と思った。
「選ばれるユニーク」については、言われてみて、なるほどと感嘆した。

《選ばれないアイデアは、ないのと同じ》
*自分の意思で経験するのだ。ため込むのだ。実は経験も能力だったのだ。
*「どう言うか」に夢中になっているのが、ユニークの選ばれない原因の一つと思える。
*なにか提案するときは、「なにを言うか」を、優先させましょう。受け手にとってのベネフィットを、約束しましょう。なぜなら受けては、自分のベネフィットという尺度しか持っていないから。
*主観は偏見に過ぎない。
*自分を知らない。世の中を知らない。人間を知らない。知らないから、想像もできない。……知ることは、経験することでしか叶えられない。知りたければ、経験するしかない。つまり、経験することは、知ること。

《経験資本主義 何をするにも経験が資本》
*「経験する」とは、「何かに遭遇して、それをきっかけに脳を動かして、脳に記憶として残すこと、蓄積すること」。

《実経験と疑似経験 リアルとヴァーチャル》
*経験データベースづくりのために大切なことは、意識的に脳を動かすこと。それは、脳に考えるという経験をさせるということと、言えるかもしれない。
*広告にはネガがない。基本的に、ネガを表に出さない。……実経験のほんとうにすごいところは、ネガにある。

《脳内アングルから見つめてみると》
*つまりぼくの主観は、一方向からの見方にすぎない。つまり、偏見だ。主観は偏見である。しかも、ヤバいことに、ぼくらは主観しか持ってない。
*脳内経験とは、「経験をきっかけに、考えた経験」である。
*脳内アングルの目的は、2つある。「全体像の把握」と、「偏見の排除」である。
*偏見を増やせば増やすほど、偏見から遠ざかることができる。面白い逆説。
*課題に向けてアングルを探ってみると、間違いなく(間違いなく!)、「なるほど」と思えるものに出会うその「発見」の喜びが、「脳内経験」の魅力のひとつだ。

《脳内ツリーから、ユニークな提案へ》
*「選ばれるユニーク」とは、だれも考えないことではなくて、だれもが考えはするが、だれも考えつかなかったことなのだ。「普通」を突き抜けるのだ。
*「脳内ツリー」は、「脳内アングル」などの、考えた経験をきっかけとして、木の枝のように伸びていく想像力である。

2008年5月11日 (日)

全出版人大会

 第47回全出版人大会が開催された。

  

2008年5月 6日 (火)

『三国志に学ぶリーダー学』

村上政彦/潮出版社/1200

   

   三国志に学ぶリーダー学(潮出版社)

 三国志は人間学、リーダー学の宝庫である。諸葛孔明を軍師に迎えるため、劉備玄徳が三度、礼を尽くして孔明の庵を訪ねたという「三顧の礼」や、賞罰に私情を挟まず「泣いて馬謖を斬る」などは、人口に膾炙している。

 以下に、本書で取り上げている逸話、すなわち目次を紹介しておきたい。

【三顧の礼】人材獲得への執念とスカウティングの極意を学ぶ

【水魚の交わり】上司・部下の信頼を得る人心掌握術を学ぶ

【関羽の千里行】敵のなかにも優れた人材を求める度量の大きさを学ぶ

【泣いて馬を斬る】賞罰を明快にして組織のモラルを保つ原理を学ぶ

【連環の計】横暴な権力者を反面教師に上にリーダーとしての在り方を学ぶ

園結義】本物の団結の絆をつくりだす大義と誓いの力を学ぶ

【三寸不爛の舌】敵の懐に飛び込んで味方に変える外交戦の駆け引きを学ぶ

【長坂橋の戦い】敵を飲み込むほどの気迫と捨て身の覚悟を学ぶ

【出師の表】名文を味わい、大人物の心の豊かさ繊細さを学ぶ

【孟獲心攻戦】“相手の心を攻めて”従わせるソフトパワーの人格力を学ぶ

維の北伐】師から弟子に継承される精神と生き方の美しさを学ぶ

【呉の建国】多くの優秀な人材を得た三人の名君の人間的魅力を学ぶ

【呉の家臣団】己の長所を活かし組織に勝利をもたらす知恵を学ぶ

【官渡の戦い】時機を逃さず、人の意見に耳を傾ける姿勢の大切さを学ぶ

【徐庶の母】英雄豪傑の活躍を支えた女性たちの偉大さを学ぶ

【孔明の北伐】安逸を選ばず、日毎に自由と生活を戦い取ることの幸福を学ぶ

【孫策の日時計】人を信じ貫く勇気と約束を守る誠実さから生まれる信義を学ぶ

【馬騰と馬超】義に生き抜く道を父みずから子に示した信念を学ぶ

【夷陵の戦い】新しい人材を抜擢し、結果を出させる上役の補佐術を学ぶ

【七歩の詩】相手の急所を突き心を動かす当意即妙の言葉の効果を学ぶ

【世襲と禅譲】リーダーが出処進退を決めるポイントと後継者選びの難しさを学ぶ

2008年5月 2日 (金)

『知識デザイン企業』

紺野登/日本経済新聞出版社/1995円

  知識デザイン企業―ART COMPANY

 カムバックしたスティーブ・ジョブズに率いられるアップルを蘇らせた、新製品「iPod」の裏面が、鏡のように磨かれているのはなぜなのか。じつは、ここに「知識デザイン」の方法論を経営の中核に据えた「アート・カンパニー」の真髄があるという。「品質経営」は終焉を告げ、「創造経営」の世紀を迎えた今、企業経営に求められるのは、顧客との共創である。それを可能ならしめる新たな綜合的能力としての「知識デザイン」を提唱している。

○創造経営における顧客とは、刹那的消費の快楽主義者ではなく、知のパートナーである。たとえば、いかに顧客に価値生産プロセスに参加してもらい、共に考えお互いに理解し合うコミュニティのメンバーにもらえるかが、事業展開の鍵を握っている。

○創造には、一つのことに真摯に一心に取り組む姿勢が不可欠である。それは集中力、持続力である。たとえば偶然によって新たなものを生み出すセレンディピティも、まず一心に求めるものがあって初めて生ずる。

○真摯さは、外面ではなく、内面における実直さである。それは素朴さと追究、求道の精神を意味している。

○システムが複雑になるほど、情報や知識を綜合してみせてくれるようなデザイン力が大事になるからである。……「複雑だからこそ簡単にする」ための「経験デザイン」が求められる。

2008年4月29日 (火)

『ロシア 闇と魂の国家』

亀山郁夫+佐藤優/文春新書/787

    

  ロシア闇と魂の国家 (文春新書 623)

佐藤○ケノーシスをわれわれの言葉で翻訳するなら、むしろ「開き直り」に近いでしょうね。「右の頬を打たれたら左の頬を向けよ」「上着を奪うものには下着も与えよ」という一見謙虚なキリストの言葉も、裏を返せば、「やれるものならやってみろ」という開き直りと解釈した方がわかりやすい。

佐藤○ソルジェニーツィン「どのようにしてわれわれはロシアを再建するか」(『甦れ、わがロシアよ~私なりの改革への提言』1990)……1990年にこの提言を行なった直後にロシアに帰国すれば、ソルジェニーツィンは、政局で大きな影響を与えたと思います。……体制転換による経済、社会的混乱でロシア人にとって最も困難な時期に、ソルジェニーツィンがロシアの地で祖国の人々と苦難を共有しなかったため、帰国後、ソルジェニーツィンは、ロシアの政治エリート、インテリ双方に対する影響力をほとんど失ってしまいました。

亀山○じつは、長期の在外研修として初めてモスクワの科学アカデミー世界文学研究所に留学した際、スパイ容疑でつかまったことがあるんです。1984年の出来事ですから、ゴルバチョフが登場する前の年です。……スパイ容疑で拘束されて以来、国境というのが、じつはトラウマになってしまった。今でも、ロシアを出るときが怖くて仕方ないんです。

佐藤○亀山先生がドストエフスキーを論じるときに「父殺し」にこだわるのも、それと同じところがあるのではないでしょうか。

亀山○たしかに、長い間、父を憎んでいたような気がするんです。父は家で暴君としてふるまい、母とのケンカが絶えず、暗い家庭でした。そこから逃れるために、本や音楽に没頭していました。思い返すとほんとうに笑い出しそうなくらいに文学青年でしたね。

亀山○『カラマーゾフの兄弟』は高校3年生になって読んだんですが、とても苦しかった。……ただ、あのとき、「父殺し」という言葉に、煽情的というか、エロティックというのか、そう、ポルノグラフィックな想像力をかき立てられた記憶があるんです。それくらい「父殺し」というテーマはショッキングだった。

亀山○ドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーの戯曲『群盗』……ドストエフスキーが10歳で『群盗』の劇を観たときに受けたショックの核心について言及していた人はだれもいません。『群盗』に潜む「父殺し」のテーマが、父親との得体の知れない葛藤を抱えるドストエフスキーにいかにショックを与えたか。そして、このテーマがどのような形でドストエフスキーの文学に刻み込まれているのか。ぼくにそれがわかったのは、父に対して屈折した感情を持っていたからでしょうね。

佐藤○キリストの花嫁は「見えない教会」です。そして洗礼を受けようが受けまいが、神の目から見ると、われわれ人間はみな、キリストと教会の子供となります。

 それでは、キリストを殺したのは誰ですか。人間です。子供である人間が、父であるキリストを殺した。つまり、キリスト教には「父親殺し」が埋め込まれているのです。

佐藤○権力者は権力の弱さを分かっているものです。もし民衆や知識人が一丸となってボイコットをすれば、権力はあっという間に瓦解します。

亀山○ゴルバチョフは「弱い父」だったんですね。

佐藤○それで、ゴルバチョフは最終的にみんなから憎まれましたよね。

佐藤○宗教に限らず、人間は「物語」を必要とする動物です。

佐藤○実際の政治も稚拙で乱暴な物語で動くようになってしまった。その結果、日本の国家的、社会的な地位も落っこちてしまいました。一方で、ロシアではプーチンが物語の回復を行なってきた。中国でも胡錦濤国家主席が「科学的発展観」という形で物語の回復を行なっている。

佐藤○モスクワ総主教庁が、1961年から年1回出していた『神学論集』は、一般には「反ソ文献」として、輸入や閲覧が認められない文献で埋め尽くされていました。ところが、チェコのカトリック教会は体制との妥協を拒んだ挙句、いまや無神論者が国民の多数を占めるまでになってしまった。

佐藤○ロシアの反体制派の特徴は、カネに潔癖なことです。権力はカネの問題をきっかけに事件を作ってくることを分かっているから、自前で活動資金をつくる。そうやって社会と妥協し共犯関係を結びながら、ロシアの内部から影響を与えていく。

 一方、チェコの異論派知識人は、価値観を共有する西側の支援者からカネをもらうことについて、特にやましいという感じをもたない。そして、現実に存在する社会主義政権との共犯関係は結ばないという原則で、異論派知識人だけの「きれいな領域」に閉じこもるから、現実に影響を与えない。

佐藤○ロシア人の心理感覚に「中庸」はありません。

亀山○記号学者のロトマンも、ロシアは〇と一の二進法だと言っていますね。

佐藤○ロシアがコンピュータ開発に強いのもうなずけます。

佐藤○ロシアが強大化しているという議論が近年出ていますが、その奥には軍事大国としての「魂」、文化の「魂」、宗教的な「魂」などの復権への自覚と努力があるからです。

佐藤○作家・坂東眞砂子さんの『死国』など、日本語の小説で面白いと思うものがあればすぐにロシア語に訳される。

佐藤○権力というものがくせ者で、そこには魔物が潜んでいるのです。潜んでいるというよりも、自分の内部にこの魔物を飼っていかなくては、政治家にはなれないということなのだと思います。そして、この魔物を飼っている人たちが独自の磁場を作り出すのです。ここでは永遠に戦いが続きます。仏教の用語を借りるならばこれは阿修羅道です。

亀山○旋毛虫の夢……情報もまた、人間を不可逆的に破壊していく恐ろしい旋毛虫だと思っています。ところが、ドストエフスキーは、この病原体に傲慢という名を与えました。

佐藤○カネですべての価値を測る新自由主義を既にロシアは拒否しました。物質に対しては、基本的に精神が勝利したのだと思います。この精神力によって、ロシア経済は回復したのです。

2008年4月24日 (木)

『創造経営の戦略 知識イノベーションとデザイン』

紺野登/ちくま新書/777

   

 創造経営の戦略 (ちくま新書)

○顧客は、たとえ無意識的にせよ、消費の欲望よりも、より高次なレベルにある自己実現の欲求や幸福感や達成感の充足、文化的社会的な経験といったものを求めている。……その際に重要なのが人間的な「アート」の持つ力である。

○二十一世紀はより創造的なもの、より人間的なものを最重視、いわば「アートの時代」になるだろう。

○デザインはイノベーションを促進する。

○創造経営における顧客とは、企業にとっては刹那的消費快楽主義者ではなく、知のパートナーである。たとえば、いかに顧客に生産プロセスの中に入ってきてもらい、ともに考えお互いに理解し合うコミュニティのメンバーになってもらえるかが、価値創造の鍵を握っている。

○人間に対する本質的視点や哲学の視点が非常に重要になっている。

トーハン会全国代表者会議

 トーハンは4月23日、東京・文京区の椿山荘でトーハン会全国代表者会議を開催した。

 第1部で山﨑社長は、VUコンが目標金額の21億1700万円に対して22億4600万円、達成率111%になったと報告。「今年度もさらに拡大した目標に取り組みたい」と述べた。

 また、今年度のトーハン会の課題を、「ひとつは共同販売の拡大。今年度以降は責任販売の取り組みを拡大するが、VUコンも責任販売の施策と融合した形にしたい。また、読書推進運動と店頭を結びつけていく。2つめは、全ては読者のためにということで、トーハン会の研修も書店に求められていることを推進するメニューにしたい。3つめは、e―honブックショップメンバーズを始める」と述べた。

 第2部では、まず山﨑社長が今年度の基本方針として、

 ①注文に対する在庫充足率を現在の60~70%を計画値の75%、さらに引き上げる。

 ②仕入、物流、営業が一貫して欠本をなくし、チャンスロスを撲滅。

 ③書店からのクレームを全ての役職員がみられるようにするなど物流事故の撲滅と、書籍納期の1日短縮―に取り組むと説明。

 そのために、書店と出版社が電子受発注に対応することを求めた。

 商品供給体制では、一部のストックを10日間の店頭実績をもとに追加送品する「新刊完売時即時対応」、高実売率商品を確保して送品する「売行良好書+α配本」、商品別の縦割り組織から全商品を対象にしたMD本部を新設することで、MD・SP・物流の統合で欠品・返品をなくす「一環MD」に取り組んでいることを紹介。これらを「個店それぞれの実情に即した施策を行う」とした。

 また、既存サービスのe―honは、2900店が導入し会員は56万人に達し、今年CRMシステム「ブックショップメンバーズ」を稼働すると報告。「本の特急便」は116%と伸びており、「ざっしの定期便」の配達支援企画を拡充すると述べた。

 責任販売については、昨年度は145企画に取り組み、販売金額は9億2530万円だったとし、事例として、外商企画で実売3部以上は6%、50部以上は10%を還元したケースや、単行本で実売70%以上で5冊以上3%、11冊以上5%、21冊以上7%の報奨還元などを紹介。

 その上で「今年は規模を大幅に増やし、増売施策の最重要課題として実施する。新設したMD企画部が推進し、全ジャンルについて企画1000本、150億円を超えるスケールで展開する。書店に3%以上の新たなマージンが入ることを目指したい」と述べた。

  挨拶する上瀧会長

 第3部懇親会では、上瀧博正会長が責任販売制の拡大について「365日にしても1日3本近い企画を実施することになる。なんとしてもやり抜くことが桶川の目指すところ」と述べ、ポイントシステムについては「決して良いとは思っていない。ただ競争上しょうがない。社内では当社がやる以上書店にプラスになるものでなければと言っている」と述べた。(「文化通信」オンライン版より)

2008年4月23日 (水)

田村治良さんを偲ぶ会

思い出を語る新潮社・佐藤社長

作家の渡辺淳一氏も駆けつけられた

挨拶する田村定良社長と正良氏

2008年4月17日 (木)

日本雑誌協会総会・懇親会

 日本雑誌協会は4月16日、東京・新宿区の日本出版クラブ会館で第53回通常総会を開催し、08年度の事業計画案及び収支予算案を承認した。また理事長は村松邦彦理事長を再選した。

 総会終了後の懇親会で村松理事長は「逡巡したが、やり残したこともあり、もう一期続投する」とし、今年の目標として販売、広告の復活とともに、11月に開催するアジア太平洋デジタル雑誌国際会議の成功をあげ、「今の時代デジタルは無視することができない。雑誌もデジタルと融合・共存していきながら、さらに雑誌の力を発展させていきたい」と述べた。
    挨拶する村松理事長

 さらに、文字・活字文化推進機構について「新聞業界と出版業界が両輪となって文化の礎である読書、文字・活字をしっかりと広げていきたい。読書運動を広げ、文字・活字の力、文化の力を国家の礎として広げていくよう微力ながら努力したい」と述べた。(オンライン版「文化通信」より)

2008年4月14日 (月)

吉川英治賞贈呈式

 吉川英治賞の贈呈式が開催された。

   

 吉川英治文学賞は浅田次郎『中原の虹』、吉川英治文学新人賞は佐藤亜紀『ミノタウロス』が受賞した。

   中原の虹 第一巻ミノタウロス

2008年4月 1日 (火)

『地頭力を鍛える 問題解決に活かすフェルミ推定』

細谷功/東洋経済新報社/1680

    

  地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」

第1章    「地頭力」とは何か

第2章    「フェルミ推定」とは何か

第3章    フェルミ推定でどうやって地頭力を鍛えるか

第4章    フェルミ推定をビジネスにどう応用するか

第5章    「結論から考える」仮説思考力

第6章    「全体から考える」フレームワーク思考力

第7章    「単純に考える」抽象化思考力

第8章    地頭力のベース

第9章    さらに地頭力を鍛えるために

2008年3月27日 (木)

『みる わかる 伝える』

畑村洋太郎/講談社/1260

     

  みる わかる 伝える

○「みる」ことから始まる……3現……現地・現物・現人

○三ナイ……見ない・考えない・歩かない。

○見たくないものは見えない……視点を変えれば危険が見える。

○「わかる」ということ……「要素の一致」「構造の一致」「新たなテンプレートの構築」

○行動と結果、そしてそれを結ぶ理論の三つを理解して、はじめてその人は「わかった」ということができる……「知っている」ことと「わかる」ことはまったく違う……行動を通じてのみ真の理解ができる……「アクティブ学習」(能動的学習)

○人は本当に「この知識が欲しい」と思うようにならなければ、頭が能動的に働かないようにできている……「受け入れの素地」は、その人が本当に必要だと思ったときにできる……受け取る側が知識を「受け取りたい」と思う状態をつくることが大切なのである。

○「独立した個」が考えるというのが最重要なのだ……個で考え集団で共有する。

2008年3月25日 (火)

『扉の法則 希望と幸福に満ちた人生の扉をひらく50の鍵』

ジェームズ・スベンソン/弓場隆訳/ディスカバー/1365

     

  扉の法則 希望と幸せに満ちた人生の扉をひらく50の鍵

《夢をかなえる》

○目標は心の中で鮮明にイメージしてこそ、成功に結びつくのである。

○イギリスの哲学者ウィリアム・オッカム「無用な複雑化を避け、最も単純な理論を採用すべきだ」

○ひたすら没頭しよう。そうすれば、勢いがつく。とにかく取りかかろう。そうすれば、その仕事は完成する。

      

《人とうまくやっていく》

○「キャッチャーミットを持って世間を渡ろうとするな」……何も与えずに、もらうことばかり考えてはいけない。

   

《幸せに働く》

○企業を成長させるためには、そこで働く従業員が成長する必要がある。……従業員が成長するためには、つねに目標を高く設定する必要がある。

      

《逆境を乗り越える》

○彼の成功の秘密は、あきらめなかったことである。

○失敗したときに感じる心の痛みは、うまくいかない方法を二度と使わないようにさせるための天の配剤なのである。

○日ごろ自分に対して語りかけるときに使う言葉の種類と内容が、仕事と人生の成否の鍵を握っている。

○アメリカの思想家ラルフ・ウォルド・エマーソン「すべての壁は扉である」

      

《豊かに生きる》

○創造性を高めるひとつの方法は、さっそうと歩くことである。

○仕事、とくにオフィスワークの場合、机の上の状態が、その人の仕事の状態を映しだす。机の上が整然としている人は、段取りがよく、効率的に仕事を処理する。それに対し、机の上が雑然としている人は、段取りが悪く、効率的に仕事を処理できない。

 逆に、周囲の環境がその人の心の状態を決定づけるとも言える。整然とした環境なら、心の状態も整然とし、仕事も順調に進む。それに対し雑然とした環境なら、心の状態も雑然とし、仕事の質も粗くなる。

○目標は具体的でなければ焦点が定まらない。

2008年3月17日 (月)

『美容院と1,000円カットでは、どちらが儲かるか? できるビジネスパーソンになるための管理会計入門』

林 總/ダイヤモンド社/1575

      

  美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?―できるビジネスパーソンになるための管理会計入門!

 IT時代の会社が装着すべき会計情報の仕組みは、クルマの運転にカーナビが欲しいように、リアルタイム情報を実現する「経営ダッシュボード」である。それを実現するための「ERPシステム」は、じつに便利な「魔法の箱」のように思えるが、その〝罠〟に陥ると、業績低迷に七転八倒することになる。実際に起きた事実にもとづいて、著者の経験をふまえたストーリーは、じつに分かりやすく明快である。

<MEMO>

情報責任は社長にある。

データと情報は食材と料理の関係にある。

売上高から変動費を差し引いた利益を貢献利益(限界利益)という。

ムダはその元から断て。

ムダな活動を管理するほど愚かなことはない。

2008年3月14日 (金)

『ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!』

梅田望夫/文藝春秋/1365

    

  ウェブ時代 5つの定理 この言葉が未来を切り開く!                

 二十世紀は「肉体の拡張」の世紀であり、ウェブ時代の今世紀は「頭脳の拡張」の世紀である。そうした時代に、仕事やビジネスには「守り」と「攻め」の両面があるが、これからの「攻めの仕事」の成功確率を高める黄金則は何か。著者は、シリコンバレーのビジョナリーたちの切れ味の良い言葉――いくつかを次に抜き書きしておく――を纏めて、「5つの定理」を提示している。すなわち、「アントレプレナーシップ」「チーム力」「技術者の眼」「グーグリネス」「大人の流儀」である。

 チームは木のようなもの。コミュニケーションが幹の部分を形成し、根っこの部分には、お互いの尊敬と共通の目標の認識がなくてはならない。(ゴードン・ベル)

 世界を変えるものも、常に小さく始まる。(ビル・ジョイ)

 トップレベルのチームはマネジメント重視でなく、行動重視でなければ駄目だ。(ゴードン・ベル)

 政治的になるな、データを使え。(マリッサ・メイヤー)

 ファクト・ベースの意思決定が一番だ。(ジェフ・ベゾス)

 可能な限り、社員は、仕事を割り当てられるのではなく、自発的にコミットしてほしい。ビジネスの機会が見えるなら、「やってみろ!」。(ショーナ・ブラウン)

 私たちは徹底的に分析する。すべてを測定し、社内で起きているすべての問題を体系化する。(エリック・シュミット)

 会社は答えによってではなく、質問によって運営される。(中略)質問をすることによって会話が刺激される。会話からイノベーションが生まれる。(エリック・シュミット)

 失敗がイノベーションの土台だ。(ポール・サフォー)

 偉大な仕事をする唯一の方法は、あなたがすることを愛することだ。(スティーブ・ジョブス)

  

2008年3月13日 (木)

『チャップリン暗殺 5・15事件で誰よりも狙われた男』

大野裕之/メディアファクトリー/1680

     

  チャップリン暗殺 5.15事件で誰よりも狙われた男

 一読して、まるで小説風の物語かと思いまどうのもいたしかたない。編集者から「事実をもとに小説のような文体で」と望まれて、そのためにチャップリンと周りの人たちとの会話が、まるでその場に著者がいたのかと思うような描写になっているのだから。しかし、著者は手紙のやりとり、裁判調書、新聞、旅行記、手記、関係者の証言などから会話を構成し、「まったく捏造した会話は書いていない」と断言している。

 それにしても、チャップリンの日本初訪問が、まさに515事件に遭遇する時期であった。しかも、東京に着いた夜、犬養毅首相の歓迎会に招かれて、喜んで出席すると答えながら、その後、気まぐれで、相撲が見たいと言い出し、国技館に赴く。そのおかげで、515事件の難を逃れることができたというのも不思議という以外にない。もし、その夜、官邸に赴いていれば、犬養首相とともに、犠牲者になっていたに違いないのだから。

 チャップリンがファシズムと闘った映画『独裁者』について、当時は、正当には評価されなかったのであるが、著者は「歴史は、『たった一人の勇気が正しかった』ことをのちに証明する」と結んでいる。

2008年3月12日 (水)

『パール判事 東京裁判批判と絶対平和主義』

中島岳志/白水社/1890

     

  パール判事―東京裁判批判と絶対平和主義

 パール判事が共鳴したガンジー主義について……「ガンディーの『塩の行進』は特定の宗教的シンボルを使うことなく、大衆の感情を喚起させることに成功した画期的運動だった」、すなわち「特定の宗教の枠組みを超えて、宗教的行為を行うこと。そして、それが政治的正義をもたらし、人々の間に『正しきことを行う勇気』を目覚めさせること」を可能にした傑出した運動である。

 パール判事の次の言葉はとくに日本人は傾聴すべきである。

 「宗教は人間に無畏の精神、すなわち怖れざる、恐怖観念なき、正道を踏みて死すとも悔いなき大勇猛心を涵養する。宗教なき国はほろび、宗教なき人間は怯懦となる。したがって宗教のないところに、ほんとうの力ある平和の実践行動は起きてこない」

2008年3月11日 (火)

『滝山コミューン一九七四』

原武史/講談社/1785

     

  滝山コミューン一九七四

 歴史学者・原武史はいかにして形成されたのかといえば、少々大げさかもしれないが、「織田信長について知っている人」と、全生研「学級集団づくり」の信奉者である社会科の教師から訊かれて、信長の生涯を教科書どおりに淡々と説明した小学6年生の著者は、「それでは説明になっていない」「自分の考えというものがまるで入っていない」と否定されて、大変悔しい思いをする。「そのときに抱いた苦い思いは、三十年あまりたった今日における私の研究に、ほぼそっくり反映されている」と述懐している。

 あるいは、汽車好きであった著者は、予備校に通う途中、新宿駅3番ホームに入線して発車まで時間のある、松本行き普通423列車の中で、母親の作った弁当を食べながら、「あたかも、自分だけがタイムマシンに乗り、戦前から一九七四年という時代を見ているような感覚に陥った」と回想し、「テキストに書かれたものだけが歴史ではないという、現在の私につながる問題意識は、思えばこのときの体験に根差している」と記している。

 NHKの少年ドラマシリーズのなかでも、滝山コミューンの「七小のときの記憶が二重写しになった」という、眉村卓原作「未来からの挑戦」、光瀬龍原作「その町を消せ!」に言及されていて、お二人のSF作家は,私が編集者として駆け出しの頃お付き合いいただいただけに、ほんとうに感無量で懐かしかった。

 慶応中学・高校に進んだものの、「そのブルジョワ的な雰囲気になじむことはついにできなかった」ために、慶応の推薦を断って、他大学に進んだと吐露している著者に、たまたま大学から慶応に行ったものの、ついに慶応に馴染むことのできなかった田舎出の私としては、大いにシンパシーを感じた。

2008年3月 7日 (金)

『日本のマラーノ文学』

四方田犬彦/人文書院/2100

      

  日本のマラーノ文学

 「日本のマラーノ文学」論はとりあえず措いておくとして、「マラーノ」を生み出だした構造に驚愕の思いを禁じえない。

 まずは、著者の『ドン・キホーテ』観である。「厳粛にして抑圧的な現在にあって、はるか過去に実在していた寛容さの喪失を嘆き、それが声低く行間に語らせる作品であるように思われる」というのであるが、その過去とは何か。「端的にいってそれは、後ウマイヤ朝のもとにスペインが文化的に殷賑を極めた時代であり、イスラム教徒とユダヤ教徒、キリスト教徒が平然と同じ都市に居住して、信仰の自由を保証されていた時代のことである」。しかも、そこには「アラビア語によるアリストテレスのみごとな注釈と翻訳を可能にし、ユダヤ人に神秘主義カバラの探求を許した文化的寛容さ」があったとは、まったく知らなかった。

 『ドン・キホーテ』が刊行された17世紀初頭のスペインでは、「もはや過去の宗教的寛容を忘れ、異端審問に明け暮れる、反ユダヤ主義の恐怖国家と化していた」のであり、「カトリック教会の扇動によってしばしば大がかりな大虐殺が実行された」というのである。そうしたなかで「キリスト教徒のなかにイスラム教やユダヤ教の信仰をいまだに保持している改宗者が存在し」、その隠れユダヤ人が「マラーノ」と呼ばれたというのだ。

 イベリア半島からヨーロッパ各地や新大陸に難を逃れたユダヤ人のなかから、哲学者のスピノザ、詩人のハイネ、小説家のカフカなどの知識人と芸術家が生まれている。

 本書には、「李香蘭の喪われた家」「立原正秋という問題」「寺山修司 朝鮮人のふりをすること」「中上健次の詩」「中上健次 路地の映像」「劇作家としての松田優作」「帷子耀」「宋敏鎬のブルックリン体験」「玄月 土地の凋落」「アイドルの終わり 『バッチギー LOVE & PEACE』」「ここで突然、プルースト」など20年間にわたる論考が収録されている。

2008年3月 5日 (水)

『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』

山田真哉/光文社新書/735円

     

  「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い   禁じられた数字〈下〉 (光文社新書)

「三位一体営業とは、『3人の専門家でお客さんを満足させる』という非会計的な要素と、『数的優位で成約率をアップさせる』という会計的な要素の両方をあわせ持つ妙手」という発想はナルホドである。

2008年3月 2日 (日)

『自分の壁を破る人敗れない人 “運を引き寄せる”生き方』

渡辺昇一/三笠書房/560円

        

  自分の壁を破る人破れない人―“運を引き寄せる”生き方 (知的生きかた文庫)

〇理想や目標というのは、それが高かろうが低かろうが、そこへ到達する努力の量はあまり変わらないということだ。そして、大事なことは、その地道な努力を継続できるかどうかにすべてがかかっていることである。(22p)

〇ある事に一生懸命になって自分を沈潜させてみたり、あるいは身も心もくたくたになるくらいに全力投球してみた途端に、面白さが出てくるもの、それが仕事である。(36p)

〇すべての人を一兵卒にする制度よりも、適材適所の制度のほうが優れているから、太平洋戦争ではアメリカが勝ったのである。(79p)

〇プライドというのは、自分を超えたものの価値を認めて、その原則に従って生きているという誇りなのである。それが備わったとき、自然と気品や品格が人間に出てくるのだ。(82p)

〇ある程度以上に精神のボルテージが高まっていないと、見えないものもある。つまり同じ直感力で物を見ても、ボルテージが高い人間と低い人間とでは、見える物がまったく違うのだ。(86P)

〇いい運がやってこないかなと期待する気持ちがないと運はつかめないのだ。この気持ちがないと、せっかく運が向いてきてもそれが幸運なのかどうか、運が強いのかどうかが分からないからである。(235p)

2008年2月29日 (金)

『販売の科学 売りながら調べ調べながら売る』『儲かるようにすれば儲かる 商売成功の秘訣』

販売の科学―売りながら調べ調べながら売る (PHP文庫)唐津一/PHP文庫/510円

〔知恵を出すための4つのステップ〕

事実を知ること……どのようなすばらしい知恵でも、結局はその人がこれまでに知っていたことの、新しい組合わせの発見である。

規則性を発見すること……規則性があるものだけを拾い出し、これを組み合わせるのが知恵である。

組み合わせをつくること。

評価ができること……創造性には精神の集中がいる。そしてそれは目的意識であり、追いつめられることである。太平ムードではなかなか知恵は出てこない。

〇売りながら調べ、調べながら売る……毎日行われている販売活動は、ひとつの大きな実験である。そしてその実験費用は販売経費として、かなりの額が落とされている。これだけ大勢の人と金を使って、日々実験を行ないながら、データをとらないとしたら、実にもったいない話である。

 日常の販売活動を通じて、情報を求めることが、再現性、経済性、機密の確保など、あらゆる点で合理的なやりかたということができよう。

〇情報交換の一番簡単な方法……毎日の昼食を、管理職全員の会食とするのである。

 少なくとも昼休みの1時間は毎日顔が合うわけであって、顔を合わせれば、必ず雑談が出る。しかも食後であるから、お互いに気楽に話ができるということで、知らず知らずのうちに、実に貴重な情報交換がなされるのである。そこでは会議などでは決してでないような話が必ず出るから不思議なものである。    

儲かるようにすれば儲かる―商売成功の秘訣唐津一/PHP文庫/460円

〇現場のデータこそが最強最新のデータ……実際に客が手に触れ、どのようにして買っていくかを観察することこそが、マーケティングの基本である。現場のデータこそが、最強の武器となるのである。

〇骨休めの接待か、どんちゃん騒ぎ接待か……こういったどちらがいいかわからないときには、実験をやるのがいちばんいいのである。

 商売とは、売りながら調べ、調べながら売ることではじめて成功する仕事である。

〇欲しいものが売れる時代……「消費者が欲しがっているもの」を創造していくこと、これこそまさに、日本にこれから求められる商売の基本である。

〇「理屈で説得」は客を敵にまわす……相手を説得するためにたいせつなことは、理屈を言わないことなのだ。

 最後は客が自らすすんでなるほどと納得しなければ商品を買ってはもらえない。

 要は「あなたと私は同じ考えだ」と思わせるのが、説得の最大の鉄則なのだから、まずはお天気のようなたわいのない話から始める。

 説得というのはこちらが客に話をすることではない。客がこちらの思うとおりに話してくれるように仕向けるのが、ほんとうの説得なのだ。

〇お客に〝情報″を与えすぎると〝中毒″をおこす……情報は毒にも薬にもなりうるということだ。お客に与えすぎると、客が拒絶反応を示すこともある。一方では、客がここぞとばかり食らいついてくることもある。

 私たちが客を説得するとき、情報さえ伝えればいいというものではない。情報だけを詰め込んだのでは、客が息苦しくなってしまうのだ。

〇情報戦争を制する者がセールスを制す……人から話を聞くなら、自分の意見を言うまえに、まず相手の意見をよく聞くことである。多くの情報を手に入れようと思ったら、まずは聞き上手になることだ。

2008年2月28日 (木)

『チャンスは貯金できない! 「新しい発想ができる人」「進歩する人」の仕事術』

樋口廣太郎/三笠書房/520円

「病める貝にのみ真珠は宿る」

「新しい世界に生きようとするならば、前の世界のことは死滅させねばならない」(フランスのノーベル文学賞作家、アナトール・フランスの言葉)

損切り……損を切ってしまうと深手を負わなくてすみ、意地になってどんどん損を増やすことがなくなる。そして、相場を冷静な目で見ることができるようになります。

   ⇒捨てるときは、思い切ってすべて捨

  ててしまうことが大事です。

○「は深く蔵して虚しきがごとし」

『だいじょうぶ!必ず流れは変わる』

樋口広太郎/講談社/1575円

    

 だいじょうぶ!必ず流れは変わる―勇気と知恵がわき上がる40章

〇ビジネスを成功に導くためには、……人の持っている「勢い」のようなものに目配りすることが必要でしょう。人を活かすには「適材適所」が不可欠なのと同じように、その人が調子のいい時期に、それに相応しい仕事をしてもらうことも忘れてはなりません。

〇ベターではなくベストを目指す。

・世界一おいしいビールを作ろう。

・ビッグカンパニーではなく、グッドカンパニーを目指そう。

・ナンバーワン企業ではなく、オンリーワン企業になろう。

〇順調に見えるときでも、どこかに必ず「痛んだ部分」が隠れているはずです。その患部をあえて探し出してくるのも、経営者の仕事だと思います。

そっとしておけば自覚症状のでない傷も、見つけ出して叩けば痛みが走るでしょう。その痛みこそ、さらに会社を発展させるチャンスなのです。

〇感謝を形にして相手に伝えるときに大事なのは、そこにキチンと気持ちを込めること。……私は銀行員時代、アサヒビールの山本為三郎社長にお目にかかる機会が何度もありました。その山本社長に、あるとき「お祝いを贈るとき、二千円の予算だったら君は何を選ぶかね」ときかれたことがあります。私が考え込んでいると、山本社長は「二千円で買える最高のものを贈りなさい」とおっしゃいました。

〇金を使わなければ、生きた時間は得られません。自腹を切って遊ぶのは、時間を生かすための投資のようなものなのです。

『樋口広太郎の元気と勇気が出る仕事術 創造型ビジネスマンをつくる仕事十則・管理職十訓』

樋口広太郎/オーエス出版/1529円

    

   樋口広太郎の元気と勇気が出る仕事術―創造型ビジネスマンをつくる仕事十則・管理職十訓

〇「売上数量、売上高は無理して伸ばしてはいかん」

〇攻めるときは一気呵成にやる。小出しはいけない。

〇「チャンスは貯金できない。やるべきときにやることを決断するのが経営トップの仕事だ仕事だ」

〇仕事は前に投げ出すことが肝要である。

〇相手の話をじっくりと聞きながら集中力を高めていって結論を出すというタイプであった。

〇管理職は部下を使っているのではない。部下の力を使わせてもらっているのである。

〇やはり礼節をもってきちんと接することから人間関係は始まるのだ。

〇松下幸之助……「ああせい」「こうせい」とはおっしゃらずに何度でも考えさせ、そして一つの結論が出るまで根気よく、何回も質問を繰り返される。

〇「NO」をいう場合には必ず上司が承知していて、それで何か問題が起こったら上司がすぐに対応する体制ができていることが必要なのである。

〇交渉事は「NO」からではなく、「YES」から入るという発想の転換が必要だと思う。そして、「YES  BUT…」で交渉を展開していけばよいのである。

2008年2月25日 (月)

『8月17日、ソ連軍上陸す 最果ての要衝・占守島攻防記』

 著者から頂戴した。

8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記 Book 8月17日、ソ連軍上陸す―最果ての要衝・占守島攻防記

著者:大野 芳
販売元:新潮社
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2008年2月24日 (日)

『昭和十年代の陸軍と政治 軍部大臣現役武官制の虚像と実像』

筒井清忠/岩波書店/2730

     

 昭和十年代の陸軍と政治―軍部大臣現役武官制の虚像と実像

 昭和10年代、軍部大臣現役武官制が陸軍の暴走を可能にしたという、昭和史の定説を、あらためて資料を渉猟・読破することによって、根底から覆す研究である。

 著者は「あとがき」で「調べ、考えて、旧来の説と異なる新しい見解を出していく知的醍醐味にまさるものはない」「その至福の時を得られた」と記しているが、読者もまた読み進むなかで「知的醍醐味」を堪能する「至福の時」を堪能することになる。

   

 「この時期の政治過程における宮中関係者(特に近衛)やマスコミの役割の重要性であるが、軍部大臣現役武官制原因説はこれらの責任を相対化する役割を強く果たしてきた可能性が高い」という指摘は鋭い。今日の政治状況についても似たようなことがあるのではなかろうか。

第138回芥川賞・直木賞贈呈式

 第138回芥川賞・直木賞贈呈式は、大変な盛況であった。

 芥川賞は川上未映子「乳と卵」、直木賞は桜庭一樹「私の男」が受賞した。写真はあいさつする桜庭氏(中央)

   

   

乳と卵 Book 乳と卵

著者:川上 未映子
販売元:文藝春秋
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私の男 Book 私の男

著者:桜庭 一樹
販売元:文芸春秋
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2008年2月22日 (金)

世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」前夜祭

世界P.E.N.フォーラム「災害と文化」の前夜祭(2月21日)が開催された。

  

  阿刀田会長のあいさつに続いて、木遣りの声が会場に響き渡り、世界各国から来日したメンバーが紹介された。

 

『人生を変える80対20の法則』

リチャード・コッチ/阪急コミュニケーションズ/1680円

         

   人生を変える80対20の法則

○大きな「黒字」を生み出す数少ない分野をみつけだし、「黒字」を最大化すること、同時に、「赤字」を出している分野をみつけだし、そこから撤退すること――それがゲームのすべてである。(70P

○「8020分析」は、ある時点の“ストップモーション”であり、収益性に変化を及ぼすトレンドをとらえることはできない。(88P

○複雑化ほど収益性を圧迫するものはない。事業を単純化するほど、収益性は高まる。(97P

○収益性の低い顧客や製品のことは放っておく。サポートをどんどん打ち切り、販促の予算を減らし、価格を引き上げる。そうすれば、売り上げが減っていく間も、儲かって笑いが止まらない。(104P)

○単純なメッセージほど、人の心をとらえ、深い真実を含んでいる。構造とプロセスが単純なほど、魅力があり、同時にコストもかからない。(105p)

○仕事のやり方を変え、仕事を少なくすれば、飛躍的な改善がつねに可能である。(110P

○コストをもっとも大幅に削減できそうな分野をつきとめる。そして、コスト削減努力の80%をそこに集中する。(110p)

○前に進むには、ものごとを単純化する必要があり、単純化するには冷酷さが必要になる。単純は美しいが、その美しさにめったにお目にかかれないの理由の一つはここにある。(113P

○核になる顧客には特別なサービス、場合によっては「常軌を逸した」サービスを提供する必要がある。(124p)

〔意志決定の5つの法則〕 (137p)

①原則その1:きわめて重要な決定はそれほど多くはない。

②原則その2:重要な決定というのは、自分が知らないうちに方向が決まっていることが多い。

③原則その3:80%のデータを集め、使える時間の最初の20%で80%の分析を行い、残りの時間を100%使って決断を下す。そして、下した決定が100%正しいと信じて、果敢に行動する。

④原則その4:下した決定が間違っていたとわかったら、すぐに考えを変える。

⑤原則その5:事態が思いどおりに進んでいたら、賭け金を倍々に増やしていく。なぜうまくいっているのかわからなくても、追い風が吹いている間に全力で突っ走る。

○簡単にできそうなことに力を集中することが大切である。…通常、失敗は失敗の裏側にある。そして、成功は失敗のすぐ近くにある。 8020の法則は単純明快である。衆に抜きんでていること、自分がいちばん楽しいと思うことに全力をあげろ。それが8020の教えである。(210p)

○すべての人に名前をよく知られているトップランナーと、消息通にだけ名前をよく知られたトップに近いランナーとの間には、まさに雲泥の差がつく。(228p)

○起こってしまったことはどうしようもないが、それをどう受け止めるかは、われわれの意思の問題である。(266p)

○自分の意思は自分で決められるはずだ。幸せになるために、意思の力を総動員せよ。自分の将来に明るい夢を描き、自分の力を信じろ。(270p)

〔幸福になる7つの習慣〕(273p)

①運動をする。

②頭の体操をする。

③こころを刺激する。

④他人に親切にする。

⑤友人と楽しいひとときを過ごす。

⑥自分をもてなす。

⑦自分を祝福する。

2008年2月21日 (木)

『問題解決プロフェッショナル「思考と技術」』

斎藤嘉則/ダイヤモンド社/2447円

      

  問題解決プロフェッショナル「思考と技術」

<ゼロベース思考>

自分の狭い枠の中で否定に走らない。

顧客にとっての価値を考える……顧客の立場から考えてはいても、実行段階で既成のタガをはずせないことが多い。ビジネスの現場では、実行して初めて問題が解決する。

<仮説思考>

 限られた時間、限られた情報しかなくとも、必ずその時点での結論を持ち、実行に移すということである。

アクションに結びつく結論を常に持つ〔結論の仮説〕

結論に導く背後の理由やメカニズムを考える〔理由の仮説〕

「ベスト」を考えるよりも「ベター」を実行する〔スピードを重視〕

 ベターな解決策を見つけたらすぐに実行すればよいのである。そして、どんどん軌道修正すればよい。

 ベターな解決策でも現場を動かし始めると、じっくりとベスト案を求めて分析するよりも、精度の高い、すぐに役立つ情報が自動的に入ってくるのだ。

(ショットガン・アプローチvsスナイパー・アプローチ)

MECE

 モレはないかダブリはないかをチェックする。

モレによって的を外していないか?

ダブリによって効率を阻害していないか?

<MECE>でとらえ、最後に優先順位をつけているか?

<ロジックツリー>

 限られた時間のなかで広がりと深さを押さえる。

モレやダブリを未然にチェックできる。

原因・解決策を具体的に落とし込める。

各内容の因果関係を明らかにできる。

 作り方とコツ

ⅰ各レベルができるだけ<MECE>か。

ⅱツリーの右側が具体的な原因や解決策になっているか。

ⅲ具体的な原因や解決策がロジックの因果関係で主要課題にリンクしているか。

<ソリューション・システム>

ステップ1:課題の設定

ステップ2:解決策の仮説

ステップ3:解決策の検証・評価

 新しいことを始めるときのビジネスの鉄則は、とにかく強みを「テコ」にすること以外にない。

2008年2月20日 (水)

『「見えない問題」解決法』

滝谷敬一郎/日本経済新聞社/1680円

     

  「見えない問題」解決法 (スーパー・プロブレム・ソルバー)

ステートメント化せよ……とにかく書き出すのだ!

 心にとどめておかないでとにかく文章に書き出すこと。

なぜを問え。

すべてを疑え。

もう少し何とかならないのか……不満を持て。

マトリクスシートで考えよ……組み合わせは発想の宝庫だ!

目標を具体化せよ。

儲かりまっか(収益性)

お客さんは喜びまっか(顧客満足度)

社員は自信をもって売りまっか(社員満足度)

目標は具体化せよ。

プロジェクト化せよ。

重要度と緊急度をつけよ……MustWantNo Need

必要な情報は絞り込め……それにはブランクチャートだ!

KFSを発見せよ。

指標を合意せよ……合意はすべての原点だ!

 行動を支持する人でなく、実行する人たちが自ら指標を作成し合意することが、指標が成功する条件である。

指標を数値化せよ……どんな目標も数値化できる。

 指標を測定せよ……数値化された目標は、必ず達成できる。

⑭人に報いる……管理で経営ができる時代ではない。

2008年2月19日 (火)

『街場の中国論』

内田樹/ミシマ社/1680円

  街場の中国論

 あの反日デモの中核をなしていたのは「中国でもっとも収奪されている農村部の人々ではなく、中産階級の人々だった」ということは、日本ではあまり報道されていない。「中産階級が反政府的になるとしたら、それはもう『飯の問題』ではなく、『制度の問題』」である。すなわち、「パイの大きさについての不満ではなく、パイの分配方法についての不満」であるというのだ。

 「アングロ=アメリカンの極東政策の基本は『分断統治』ですから、東アジアの二大国である日中接近はアメリカにとって決して好ましい展開ではない」とすれば、「田中角栄が政治的に没落するのはロッキード事件がきっかけです。この疑獄事件のきっかけはアメリカの上院での証言でした。水面下で何があったかわかりませんが、日本の親中国勢力を牽制することは、おそらくホワイトハウスの政策に合致していたのでしょう」という推論も成り立つわけだ。かなりのインテリジェンスが機能したということか。
 「田中の訪中計画を知ったとき、キッシンジャーは『裏切り者』と言って、激怒した」というのは本当だろうか。情報の出所を知りたい。

 「アメリカン・グローバリズムは日本人には合いません」という根拠として、著者は「グローバリズムのような『タフ』な思想でアメリカ人がやっていけるのは、キリスト教福音主義が『神』のサポートを担保しているから」であると言う。「信仰の支えのないグローバリストなんて神経が持ちません」というのは、なかなか実感として理解するのは難しい。

 「個人的な信頼関係や敬意というのは一国の運命を決めるかなり重要なファクター」であることを証明する事例として、成島柳北の識見の高さは、フランスから派遣されたシャノワース大尉を驚倒させたし、西郷隆盛や木戸孝允などと親交を結んだアーネスト・サトウが切り開いた英国の親日的な姿勢が、後に日英同盟に結実したことをあげている。

 文化大革命の考察も興味深い。「毛沢東を抜きにした成功体験というものを中国近現代史は持っていない」し、その成功体験は「いずれも『敵と戦う』というかたちで遂行された」ということも忘れてはいけない。

 「モンゴル帝国は史上最大の帝国でしたし、科学技術における先進性においても中国は明代までは多くの点でヨーロッパにまさっていた」にもかかわらず、ヨーロッパから見て「アジア的停滞」といわれるような事態になったのはなぜなのか。著者は「キリスト教を排除したことが一因になっている」のではないかとしている。この論点はもう少し詳しく論じてもらいたいところだ。

2008年2月18日 (月)

『問題解決の思考技術』『実践・問題解決の技法』『決断の法則』

飯久保廣嗣

            

問題解決力―仕事の鬼ほど失敗ばかりする理由 (日経ビジネス人文庫 ブルー い 5-3) Book 問題解決力―仕事の鬼ほど失敗ばかりする理由 (日経ビジネス人文庫 ブルー い 5-3)

著者:飯久保 廣嗣
販売元:日本経済新聞出版社
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【あらゆる思考業務は4つの領域に分類】

諸問題を把握すべき状況

原因究明すべき状況

選択・決定すべき状況

リスクへの対応が求められる状況

【プロブレム・ソルバーの条件】

さばく管理職(⇔こなす管理職)

問題の本質を押さえられる。

目的と手段を混同しない。

質問力が身についている⇒情報は質問によって収集する……「こなす質問」「さばく質問」

チャレンジ精神に裏づけがある。

【的確な状況把握のフロー】

関心事の列挙

関心事の具体化と分離・分解

課題化⇒ステートメント化……「ひとことで言うとどうなるのか」

優先順位の設定……「重要度」と「緊急度」

対策・処理方法の選定    

全体像の把握      ⑦課題別管理の実施

【客観的な原因究明のフロー】

原因究明の対象と現象⇒問題の課題化……トラブルの対象をできるだけ分解・細分化して、より具体的な分析課題として表現。

情報の収集・整理……「(1)何が」「(2)どこで」「(3)いつ」「(4)どの程度」という、4つの次元で情報を収集する。

違いの発見⇒特異性・変化の抽出……情報を比較するというアプローチは、原因究明に欠かせない考え方である。

原因の推定

原因の消去・絞り込み……「何か変化はないか」というアプローチで、変化を列挙することから、原因を絞り込むこともある。

対策の策定

実行管理

【説得力ある意思決定のフロー】

問題の課題化

目標の列挙……目標と手段を分ける。

目標の分類とウエート付け……絶対目標(MUST)と相対目標(WANT)を分けて考える。

選択肢の起案

選択肢の評価……選定基準。

マイナス要因とその対策の検討

実行管理

       

【リスク分析のフロー】

問題の課題化

危険領域の設定

将来問題の想定・評価

原因の想定

予防対策の設定

発生時対策の設定

最終実施計画の策定

2008年2月15日 (金)

『脳を活かす勉強法 奇跡の「強化学習」』

茂木健一郎/PHP研究所/1155円

      

  脳を活かす勉強法

 脳の働きの本質が「自発性」にあることを忘れてはいけない。やる気は「ほめられた経験」や「人から認められた」などポジティブなものから生まれる。脳科学から言っても、何かに挑戦して大きな苦しさを「突き抜ける」と、ドーパミンが大量に放出され、喜びはより大きくなる。一回性の体験が人生を豊かにしてくれ、セキュアとチャレンジングの混在する「偶有性」が、人生の「喜び」をもたらしてくれる。本書は「人生の勉強法」でもある。

2008年2月14日 (木)

『明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法』

佐藤尚之/アスキー新書/780

      

  明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法 (アスキー新書 045) (アスキー新書 45)

            

 広告は消費者へのラブレターに喩えられる。そのラブレターが最近は、相手に届きにくいし、信じてもらえない。この〝もてない広告〟という現実を直視すると、「友達・好きな人・信頼できる人」という強力メディアの登場もあり、消費者の発信が世の中を変え始めたという潮流の変化が浮かび上がってくる。井上雄彦の大ヒット漫画『スラムダンク』の「一億冊感謝キャンペーン」の大成功は、徹して消費者本位の重要性を教えてくれる。

2008年2月13日 (水)

『人を動かす』

デール・カネギー/山口博/創元社/1575円

     

  人を動かす 新装版

〔人を動かす三原則〕

盗人にも五分の理を認める……批判も非難もしない。苦情も言わない。

②重要感を持たせる……率直で、誠実な評価を与える。

③人の立場に身を置く……強い欲求を起こさせる。

「人間の行動は、心のなかの欲求から生まれる…だから、人を動かす最善の方法は、まず、相手の心のなかに強い欲求を起こさせることである」

〔人に好かれる六原則〕

①誠実な関心を寄せる……友を得るには、相手の関心を引こうとするよりも、相手に純粋な関心を寄せることだ。

「作者が人間を好まないなら、世間の人もまたその人の作品を好まない」

②笑顔を忘れない……すべての物事は願望から生まれ、心からの願いはすべてかなえられる。

「およそ、人は、幸福になろうとする決心の強さに応じて幸福になれるものだ」(リンカーン)

③名前を覚える……名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つことばであることを忘れない。

「良い習慣は、わずかな犠牲を積み重ねることによって作られる」(エマーソン)

④聞き手にまわる……相手が喜んで答えるような質問をすることだ。

「どんなほめことばにも惑わされない人間でも、自分の話に心を奪われた聞き手には惑わされる」

「商談には特に秘訣などというものはない…ただ、相手の話に耳を傾けることが大切だ。どんなお世辞にも、これほどの効果はない」

⑤関心のありかを見抜く……相手の関心を見抜いて話題にする。

⑥心からほめる……重要感を与える―誠意を込めて。

「人と話をする時は、その人自身のことを話題にせよ。そうすれば、相手は何時間でもこちらの話を聞いてくれる」(ディズレリー)

       

〔人を説得する十二原則〕

①議論はさける……議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける。

「議論したり反駁したりしているうちには、相手に勝つようなこともあるだろう。しかし、それは空しい勝利だ―相手の好意は絶対にかち得られないのだから」(ベンジャミン・フランクリン)

②誤りを指摘しない……相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない。

③誤りを認める……自分の誤りをただちにこころよく認める。

④おだやかに話す……1ガロンの苦汁よりも一滴の蜂蜜を用いたほうが多くの蝿を取れる(リンカーンの名言)

⑤“イエス”と答えられる問題を選ぶ……人と話をする時、意見の異なる問題を初めに取り上げてはならない。まず、意見が一致している問題から始め、それを絶えず強調しながら話を進める。

⑥しゃべらせる

「敵をつくりたければ、友に勝つがいい。味方をつくりたければ、友に勝たせるがいい」(ロシュフーコー)

⑦思いつかせる……人から押しつけられた意見よりも、自分で思いついた意見のほうを、われわれは、はるかに大切にするものである。

「河や海が数知れぬ渓流のそそぐところとなるのは、身を低きに置くからである。その故に、河や海はもろもろの渓流に君臨することができる。同様に、賢者は、人の上に立たんと欲すれば、人の下に身を置き、人の前に立たんと欲すれば、人の後ろに身を置く。かくして、賢者は人の上に立てども、人はその重みを感じることなく、人の前に立てども、人の心は傷つくことがない」

⑧人の身になる。

⑨同情を持つ……相手の考えや希望に対して同情を持つ。

⑩美しい心情に呼びかける。

⑪演出を考える……現代は演出の時代である。単に事実を述べるだけでは十分ではない。事実に動きを与え、興味を添えて演出しなければならない。

⑫対抗意識を刺激する。

「人間であるかぎり、だれにも、恐怖心はある。だが、勇者は、恐怖心を抑えて前進し、ときに死に至ることもあるが、必ず最後の勝利をかち取る」(古代ギリシアの国王親衛隊のモットー)

〔人を変える九原則〕

①まずほめる。

②遠まわしに注意を与える。

③自分のあやまちを話す。

④命令をしない……命令を質問のかたちに変えると、気持ちよく受け入れられるばかりか、相手に創造性を発揮させることもある。

⑤顔をつぶさない。

⑥わずかなことでもほめる……批判によって、人間の能力はしぼみ、励ましによって、花開く。

「ほめことばは、人間に降りそそぐ日光のようなものだ。それなしには、花開くことも成長することもできない」

⑦期待をかける。

⑧激励する……激励して、能力に自信を持たせ

⑨喜んで協力させる。

2008年2月12日 (火)

『戦う勇気、退く勇気』

フランチェスコ・アルベローニ/草思社/1575円      

   戦う勇気、退く勇気      

つねに攻めよ……行く手をさえぎるものにぶつかったら、それがどんなものであれ、もてる力を結集し、そのとき、その場で、一気に使いきらなければならない。莫大なエネルギーを一瞬にして放出し、相手をたじろがせなければならない。

負けてもまた立ちあがれ……降参したら自由がなくなる。自由はだれかから与えられるものではなくて、勝ちとるものだ。お金で買えるものでもない。情熱と意志でしぶとく頑固に熱烈に追求してこそ得られるものだ。ところが失うには、一瞬の弱さで足りる。

不安と危険から逃げるな……管理職につく人の多くが、能力にくらべて高すぎる地位に昇ってしまうと、不信感でことにあたろうとする。新しい企画には、それがどんなものでも疑いの目を向け、形式主義や官僚主義の甲羅をつけて邪魔をする。組織がしだいに官僚化してしまうのはこのためだ。不安と危険から逃れようとするのである。

路線変更を恐れるな……ものごとが存在するのは、日々新しくなっているからなのだ。市場にとどまっていられるのは、製品の生産と販売の方法、経営陣、われわれ自身の中身について、たえず問い直しているからだ。

起業家の才能を認めよ……創立者には、ほかのメンバーにない資質がそなわっていたということだ。好機をつかみ、人心を読み、懐疑的な人たちを納得させ、落とし穴を直感することもできた。人の話に耳を傾けて学ぶ謙虚さをもちながら、決断になると思いがけないほどすばやかった。大勢を把握するのも早かったし、将来についてのかすかなサインもすかさず読みとった。ほかのメンバーにはできない技だった。

努力し創造せよ……親は、子どもを上手に教育しようと思ったら、あらゆる困難から守ってやってはいけない。試練に遭わせ、それに立ち向かえる手段を与えるのだ。手段というのは教育だけではない。勇気であり、精神力である。生きるということは、自分を社会に適合させていくことであるいっぽう、努力して創造していくことでもある。生きるというのは、生きるに値するということなのだ。

使命を見いだすまで辛抱強く待て……暗い闇のなかから一条の光が射してくるまで、辛抱強く待つことだ。光は必ず射してくる。それは思いがけない出会いであったり、新たなチャンスであったり、われわれに助けを求めるだれかであったりする。日ごろから意志を鍛練しておかなければならない。目標を見定め、弱気や疑念や失望を払いのけるには、意志に頼るしかないのだ。

ほんとうの願望を呼び起こせ……われわれの奥底に眠っている、本物の願望や欲求や使命を揺りおこすのだ。創造活動というのは、反乱であり違反であり、覚醒であり再生であるはずだ。底にひそんだエネルギーを汲みあげると、全身に力があふれてくる。われわれにのしかかって心を枯らしていたのは、本来のおきてではなく、根っこを失った規則だった。

横暴と壮大さを混同するな……「静かに暮らしたいから」と言って横暴な人の要求にしたがったら、とんだことになる。相手はますます図に乗ってしまうのだ。それをはばむには、断固としてノーと言うしかない。どうしてもだめだ、将来も同じことだ、とわからせるのである。

心をひらいて幸福をつかめ……幸福は、何よりも大事なことに力を尽くせば手に入るが、たいした意味のない、つまらないものに気をとられていると、手からすり抜けてしまう。幸福になりたかったら、何よりもまず、大事なものとそうでないものを区別することだ。それから、どうでもいいことには無関心になることだ。

高いモラルを人にも自分にも課せ……経営陣は競争心に富んだ勇猛なメンバーでかためるのがよいといわれるが、実際は、何よりもまず、誠実で、公平で、忍耐力があり、平衡感覚にも恵まれた人を起用すべきではないだろうか。

  

2008年2月11日 (月)

『いらないヤツは、一人もいない』

高橋俊介/祥伝社/1365円

   

 いらないヤツは、一人もいない―45歳で「含み損社員」にならないための10カ条 (ノン・ブック・ビジネス)

〔第1条〕“地アタマ”を鍛える。

 理由の背後に理由がある(リーズンズ・ビハインド・リーズン)……なるほどそうだったのかと、本当に腑に落ちるまで調べ、勉強し、あるいは考えつづける人でないと、ものごとの本質は見えてこない。

 なんでもいいから一つないし二つのことを徹底的にハマって、頭をフル回転させて考え抜く。すると、気がついたときには、地アタマが鍛えられている。

       

〔第2条〕「問題を解く力」より「問題を設定する力」を養う。

      

〔第3条〕“これだけは譲れない”ものにこだわる―「自己管理」を徹底すれば、成果はついてくる。

       

〔第4条〕実戦で求められている「コミュニケーション能力」

 万国共通の言葉とは「ロジック」です。

         

〔第5条〕己を知り、上司を知れば百戦危うからず。

 日本人というのは、選択するのが下手です。“選択”と“願望”の違いが分かっていない人が多いのではないか。

 自分の力を知り、上司を知り、自分に向いている仕事を選ぶことが、ビジネスマンにとっての“勝てる場”となります。

 そこへ行って勝てるかどうか。そこに行ってあなたは成果を出せるのか、ということを考えれば、そこへ行ってビリになるような選択はしないほうがいい。

         

〔第6条〕得意なことは2つ以上つくる。

 少なくとも30半ばくらいまでの間に一回、思いきりキャリアの幅を振っていただきたい。若いうちなら、その振り幅の分だけ自分のキャリアの柔軟性は上がります。

         

〔第7条〕「やりたいか、やりたくないか」で決める。

 世の中、チャンスというのは変化しているところにあります。一般的に言うと、変化のないところにチャンスはない。

         

〔第8条〕「会社人間」ではなく、「仕事人間」になる。

       

〔第9条〕生活費を再点検する―「使用価値」にもっとお金を使いなさい。

         

〔第10条〕「幸せ相対論」から抜け出す。

2008年2月 8日 (金)

『人材マネジメント論 儲かる仕組みの崩壊で変わる人材マネジメント』

高橋俊介/東洋経済新報社/2520円

   

   人材マネジメント論―儲かる仕組みの崩壊で変わる人材マネジメント (BEST SOLUTION)

○継続率や生涯収益の高い顧客をロイヤル顧客と呼ぶ。

既存顧客を取り込み、ロイヤル顧客化を図るには、当然、顧客満足度(CS=カスタマーズ・サティスファクション)を高めなければならない。

情報通信技術(IT=インフォメーション・テクノロジー)により、顧客データーベースを整備し、それぞれの購買状況をもとに、ターゲット顧客の絞込みと、それに対応してサービスを提供する方法がある。

市場が成熟化してきたとすれば、新規顧客獲得件数よりも、ロイヤル顧客の獲得率を示す顧客リピート率のほうが重要になる。

〔人材を特徴づける三層構造〕

①第1層:ベーシックトラスト……自分が相手に対してこれだけのことをすれば、相手も必ず自分に対してこれだけの事をしてくれると信じる信頼の感情である。

そのほとんどが乳児期から幼児期の体験によって決まるといわれる。

②第2層:思考特性や行動特性にかかわる部分である。

発想がリスクテイキングで、新しいことにすぐ飛びついて面白がることができるタイプか、反対にリスクをとらず保守的で決められたことを決められたとおりに行うタイプか。外向きか内向きか。地位や序列への志向が強いか、仕事の成果への志向が強いか。精神論を振りかざすタイプか、合目的的に判断するタイプか、等々。

3035歳ころまでのビジネスマンとしての最初の10年前後の間にほぼ固まって、それ以降は抜本的に変えることは非常に難しいといわれる。

好奇心-チャレンジ-認知のサイクルに一度はまると、自律的な思考特性や行動特性がおのずと固まっていく。

③第3層:経験や学習によって蓄積されていく、特定分野の具体的な能力知識やノウハウなどである。

○ピッチが進むのが定昇であり、それぞれの号俸給の金額が上がるのがベアであって、一般的にベアと定昇の分離が明確になっている。

2008年2月 7日 (木)

『人材マネジメント革命 ポスト終身雇用 自由と自己責任の新人事戦略』

高橋俊介/プレジデント社/1886円

コア……CORE(核)

CRITICAL

OPERATIONAL RESPONSIBILITY

(高度な組織運営上の責任)

ポートフォリオ……紙挟み 折り鞄

ビジネス用語で使った場合、いろいろな性格のものを縦軸と横軸の二つの座標軸によってマッピング(分ける)し、カテゴリー分けをすることである。

プロフェッショナル人材vsスペシャリスト人材……スペシャリストはよく勉強する。それに対し、プロフェッショナルはよく行動する。いくら勉強しても行動しなければ価値に結びつかないからである。

〔営業職のプロフェッショナル化〕

新人営業マン……商品説明しかできない。

ベテラン営業マン……過去の事例を活用し、自分の知識、経験を切り売りしながら営業ができるようになる段階。

顧客の問題解決の手助けができる営業……ソフトかの時代に入り、商品そのものではなく、商品を使いこなす手法に価値が求められるようになってくる。

新たな価値の分野を確立する営業……顧客が気づいていない問題の本質を理解させ、相手が想定していた最低要件以上の価値を生み出す。これが新のプロフェッショナルである。

⇒単なる問題解決ではなく、相手の気づかなかった問題の本質を発見する。それによって、新たな価値を生み出す分野を確立し、マーケットを創出するのである。

〔HRM=ヒューマン・リソース・マネジメント〕

○段階的絶対額管理の例(その1)

単純な定型事務業務しか行なわない社員については、年額450万円で頭打ちにする。

実際には、事務職の女子社員の多くがこの段階に相当する。

女子社員の場合、よく一般職と総合職の区別が問題になるが、給与の絶対額管理を導入すれば、一般職であるとか総合職であるというレッテルを貼って、別の給与テーブルで管理する必要はなくなる。仕事の内容がレベルアップしなければ、給与も頭打ちにすればよいからである。

上限650万……営業職のような裁量判断業務、経理や人事などの専門事務業務、単純事務を行なう社員を監督する定型事務監督業務などの段階。

900万程度を上限とする……営業課長のような管理型マネージャー、単純な専門事務よりも高度な専門知識や判断を求められる専門裁量業務、そして、半分プロフェッショナル化した営業職のようなプロフェッショナル要素のある単独裁量業務といった段階。

上限1200万円程度を設定……自らその分野でポイント・オブ・ビューを持ったプロフェッショナルや企業家型マネージャー(課長クラス)の段階。

1600万円程度が上限になる……新たなマーケットや差別性のある新規事業などを創造できる企業家や、新しいプラクティス(分野)を創造できるプロフェッショナルの段階。

○段階的絶対額管理の例(その2)

一つの給与レンジの中に、S、A、B、Cの4段階の評価ごとに、給与の上限を設ける。

S評価の上限……その給与レンジの100%レベル。

A評価の上限……75%レベル。

B評価の上限……50%レベルで、これが標準レベル。

C評価の上限……25%レベルに設定する。

それぞれの給与ラインは8年目ぐらいにそれぞれの上限に達するようにする。上限に達すれば、給与は天井にぶつかり頭打ちになる。

いったん頭打ちになっても、評価が上がれば、一つ上の天井に向けて昇給を続けることができるようにする。

イエローカード……問題点をいつまでに、どこまで、どのように改善すればよいのか理解させる。この作業を一定期間ごとに繰り返す。そして、1年経っても改善されない場合には、これ以上昇格することがなく、しかも30歳前半で頭打ちなることをメッセージとして伝える。

「アイ・トウルド・ユー」(言っただろ)を言えるようにしておく。

ポスト終身雇用を生き残るサラリーマンの五つの原則〕

会社に貸し借りを作らない。

会社の関係を超えた独自の外部人脈・外部情報網をもつ。

常に市場における価値を冷静に意識する。

自分の履歴書は自分で作る。

自分の業績・貢献ははっきり会社に伝える……相手が分かってくれることを期待するのではなく、相手に分からせるためにどれだけ努力をするかが個人の責任として問われる時代なのである。

2008年2月 6日 (水)

『部下がついてくる人 体験で語るリーダーシップ』

福原義春/日本経済新聞社/1260円

    

  部下がついてくる人―体験で語るリーダーシップ

○言葉は力……私が言いたいのは、人間が人間に会って言葉を送ることは大きな力を伝えるということです。しかし、もし会うことができなくても、人間らしい手段でメッセージを伝えることは、人間を動かす上でとても大きな力になるのではないでしょうか。

結局リーダーとは、自分が動くものであると同時に、人を動かす力のある人に与えられる称号なのですから。

〇撤退の心得……企業の活動は平衡状態の持続とか、ましてや縮小均衡というのは理論的にはあり得ても、実際にはかなり困難な仕事なのです。平衡状態が持続しているのは、多くの場合、拡大均衡を狙っても、それが果たせなかった結果に過ぎないというのが実態ではないでしょうか。まして、縮小均衡は「総崩れ」の危険と紙一重で、だからこそ負け戦をいつのまにか勝ち戦に状況を一変させてしまえるような、大きなリーダーシップが要求されることになるのですが…。

〇想いを伝える……ある出版社が女性雑誌を創刊するとき、

「難しいことを判りよく」

「判りやすいことを面白く」

「面白いことを奥深く」

というコンセプトで成功したという話を聞いたことがあります。まさにリーダーのコミュニケーションもこうありたいものです。

〇マックス・デュプリーのリーダーの条件

(1)事実を掌握すること。

(2)その仕事に当たる人への奉仕者であるべきこと。

(3)最後に感謝の言葉を述べること。

――リーダーの心からの尊敬、心からの感謝はいかなる金銭的報酬にも比較できないようなリーダーの力になるというのです。

〇エンパワーメントの魔術……エンパワーメントを単なる権限委譲と考えては行けません。……権限も責任もともに与えてこそ、マネージャーはまかされたのだという意識を持つのではありませんか。任せても失敗がこわいので、何かあるとついそこにまたリーダーが口を出す。すると、すべてが壊れてしまうのです。

○組織を壊す……リーダーが組織に変化を起こそうと思った場合、たとえ一人ひとりは心中賛成であっても「組織」が反対し、抵抗し、ひどいときにはリーダーを引きずり下ろすことさえあるのです。

  あるべきリーダーは、見えざる組織と戦って勝つものだ、と私は思っています。それには組織を形づくる個々の成員を各個撃破し、説得し、味方につけなければならない。そうすると、組織の幻影はもろくも崩れるものです――もともと実体はないのですから。

〇私は社員に、どうぞ上のほうばかり見ないでください、その見方を九十度水平に倒して、社会とお客さまを見て下さいと言いました。…もしお客さまのためになるなら、電話もファクシミリも出張もちっとも構いませんが、お客さまのためにならないような電話や会議はどうぞやめて下さいと言いました。

○褒めるか励ますか……成果に報いることが、次の挑戦を励ますことになるでしょう。励ますことと褒めることの違いを知り、それを適宜に使う――そこまで細かく気を配れる人間でありたいものです。

〔リチャード・ファースン『パラドックス系』早川書房〕

○我慢の潮時……ひとつには、現場の実力者に任せてその持てる力を発揮してもらえることの可能性。もうひとつには、ことが起きたときに敏感に小さな手当てをするのではなく、持ちこたえられるだけ持ちこたえて、そこで大きなアクションをとることの有効性です。

○先見力を磨くための着眼点

第一に、いま現在、何かがおかしい、現在の状況は間違っていると考えてみたらどうでしょうか。いまのままの状況が、いまのままの社会が、いつまでもつづくわけがありません。何かが変わるのです。

第二に、作用があれば反作用があります。

「メガトレンドには、一見反対にみえるマイナートレンドがついてくる」

第三に、世の中の転換期には思いもかけない動きが起きます。それは、いままでのがっちりと組み込まれた秩序が崩れるためです。そこに、ニュービジネスをはじめとする新しい機会が生じます。

第四に、主体と客体を入れ替えて考えてみましょう。いわゆる逆転発想の一種です。

第五に、長い目で見れば、歴史は繰り返す必然があるはずです。

○君子豹変すべし……君子豹変という言葉は、もともと「君子豹変大人虎変」の略です。俗に解釈されている意味とは違い、本当は「豹は夏毛と冬毛が抜け変わって、年をとってそれを繰り返すうちに、得も言われぬ精緻な斑紋ができる」ことを意味し、さらに「君子は時とともに成長する」ことなのだそうです。

○リーダーとマネージャー……フランスの国際経営大学院(INSEAD)のM・ケッツ・ド・ブリース教授は『会社の中の「困った人たち」』(創元社)という本で、リーダーは「なぜ」と問い、マネージャーは「どうやって」と問う人だと考えます。

  私の考えでは、マネージャーは現状のコントロールに才能のある人であり、リーダーは現実の事態の先を読める人、読もうと努めて手を打てる人でなければなりません。

○リーダーの心からの尊敬、心からの感謝はいかなる金銭的報酬にも比較できないようなリーダーの力になるというのです。

○情報の5W1H……最新のデータはいろいろな兆候を示すものですから、見る人にとってはずいぶん役に立つものです。しかし、それがインフォーメーションにならないと、戦略や方針を決めるための知を生むことができません。私はこれを4WHが揃ったものと定義しています。つまり、誰が、いつ、どこで、どうやって、何をしたのか、ということです。そうでないものはただのデータにすぎません。

2008年2月 5日 (火)

『リーダーシップの真髄 リーダーにとって最も大切なこと』

マックス・デプリー/福原義春監修訳/経済界/1470円

リーダーが最初になすべきことは、現実を見極めること。そして最後になすべきことは、ありがとうと言うこと。その間のさまざまな責任を果たすにあたり、リーダーは奉仕する人となり、責務を負う人となる。

リーダーシップをはかる尺度は、頭のよさではなく、体全体からにじみ出る品格です。

社内のすべての人々の行動の指針となる原理原則、スタンダードを確立するためには、まず価値観――会社は何に価値を置くのか――を明確にしなければなりません。

効果的にリーダーシップをとるには、反対意見が出やすいような環境を整えてあげることです。それが組織を活性化します。

リーダーは人々の居場所を確保しなければなりません。ここで言う居場所とは、自由という意味です。天与の才能を生かすために必要な自由を与え、彼らの居場所をつくることです。

リーダーは勢いを生み出し、保っていかなければなりません。

能力のあるリーダーと経営陣が、前向きにチャンスをとらえ、会社の発展のために全力を尽くすところから勢いは生まれます。経営陣の仕事は、会社全体の勢いが一つの流れに集まってくるような環境づくりを行なうことです。

誓約に基づく関係を求める権利……誓約、誓いに基づく関係は、もっと奥深いもので、働くことに意義を見出し、充実感を与えるものです。

実務的にも技術的にも、私たちは思い入れを持つことを心にかけなければなりません。

リーダーが注意を集中して組織に一貫性と勢いを与えようとしなければ、思い入れは生まれてきません。単純なことをわざわざ複雑にしてしまえば思い入れは阻まれます。

2008年2月 4日 (月)

『すぐれた組織の意思決定』

印南一路/中央公論新社/1995円

       

  すぐれた組織の意思決定―組織をいかす戦略と政策

        

すぐれた意思決定をするには

世界モデルを改善する……意思決定者がどれほど現実の本質を捉えた「よい」モデルをもっているかがポイントになる。

好みに忠実な意思決定をする。

目的にそった意思決定をする。

すぐれた選択肢をつくる

(1)もっとも重要なことは、選択肢は「つくる」ものであるということである。

(2)次に、重要なことは、選択肢は「複数」つくるということである。

(3)第三番目は、選択肢をつくるさいの限界は、客観的な情勢でなく、われわれの本質的問題把握の力や想像力にもあるということを知ることである。

⇒想像できないものは創造できないのである。

(4)簡単に手に入る選択肢(解決策)を受け入れ、選択肢のほうから問題を定義していないかチェックすることである。

(5)プロセスに留意した意思決定をする。

エントラップメントの原因

見えにくいコスト……便益のほうは明確に見えるが、損失のほうは実感しにくいものがある。

サンクコスト理論……すでに投資した時間、エネルギー、金銭など、回復不可能なコストは「沈んでしまった(sunk)コスト」なので、現在ないし将来の意思決定には考慮に入れるべきでないというものである。

損失に関してはリスクを取りやすい(フレーミング効果)……人間は損失フレームでは、よりリスクを取る方向で判断する。

願望思考……予測判断と自分の選好が混同されてしまう現象である。

ひとつの判断が次の判断を拘束する……結果を否定的に捉える場合にコミットを継続しやすい。

組織的社会的理由……無能と言われるよりは、コミットし続けることによって、自己の面子を保つことを選ぶ場合もある。

競争の不合理性。

変容メカニズム

一般・特殊進化による漸進的変容。

組織診断による洞察を通じた自律的変容。

組織内の文化的ハイブリッド者の昇進による変容……具体的には、組織内で新しい環境に適した文化をもっていると思われる人物を昇進させ、組織文化全体を少しずつ変容させていく。内部昇進者であるため、「やり方は好きじゃないけど、少なくとも彼(彼女)は我われの一員である」という形で、内部の抵抗を吸収することができる。

特定の下位文化者の昇進による変容。

組織開発プロジェクトと並行学習構造の創造による変容。

技術的誘因による文化の解凍と変容。

外部人材の投入による変容。

スキャンダルと神話の崩壊による解凍。

強制的方法による変容。

方向転換による変容。

組織の破壊と再生。

組織衰退のメカニズム

過剰拡張戦略(overextension)……「衝動的な運営をする企業」へと転落するケースである。

意思決定の休眠。

過度の分権化による不統合(disintegration)……「指揮に欠けた巨大企業」に移行するケースである。

【組織変革の障害と対策】

変革の必要性を認識できない……「ゆでガエル」シンドローム。

⇒カエルは熱湯の入った桶に入れられると、死にたくないから、桶から飛び出してしまう。しかし、水の入った桶に入れられ、それをストーブにかけてゆっくりと温めてやる。そうするとカエルはいつの間にか、ゆでられて死んでしまう。(ペインの寓話)

【コンフリクト・マネジメント】

実際にはコンフリクトは組織慣性を打ちこわすという意味で組織変革の源泉となる。逆にいうと、環境変化に組織が適応しようとしているから、コンフリクトが生じるともいえる。

⇒コンフリクトが生じると、組織の各層のマネジャーは、自分たちの世界観(組織の真理モデル)を見直したり、新しい解決方法を考えざるをえなくなる。

2008年2月 1日 (金)

『意思決定12の心得 仕事を成長の糧とするために』

田坂広志/PHP文庫/600円

  意思決定12の心得―仕事を成長の糧とするために (PHP文庫)

衆知を集めて、独りで決める。

どのような貴重な「経験」も、事前に何らかの仮説を持って臨まなければ、単なる「経験」に終わってしまいます。しかし、逆に、いかに平凡に見える「経験」も、明確な仮説を持って臨み、その仮説の「反省」を行うならば、その平凡な「経験」は貴重な「体験」へと高まっていくからです。

「反省」という方法を通じて、言語化できることをすべて言語化する努力を尽くすのです。そのとき、言語化できない部分が、徐々に深層意識の領域で明確化されていくのです。そして、それらが、あるとき、直感の閃きとして意識の表層に浮かび上がってくるのです。

真に直感力を引き出すためには、敢えて自らの「退路を断つ」ということが不可欠です。逆に言えば、どこかに「退路」がある状況のもとでは、本当の直感力は発揮できないのです。

「論理」を語るのではなく、「心理」に語りかけることです。自分の「論理」を中心に語るのではなく、相手の「心理」が理解しやすいように語ることです。

リスク・リダンダンシー戦略……戦略的な打ち手に敢えて「冗長性」(リダンダンシー)を持たせ、それらの打ち手を重層的に連ねていくことによって、「リスク最小化」を図ろうとする戦略のことです。分かりやすく言えば「二の矢、三の矢を準備しておく」という「重層戦略」のことです。

組織として目標に向かって行動するときに、その行動のための「仮説」をメンバー全員が共有することができ、メンバーの一人ひとりが、それぞれの現実と格闘するなかで、その「仮説」を検証していくことができるのです。

われわれは、「答えのない問い」に直面すると、その問いを問い続けることの苦しさから逃れるため、しばしば無意識に、この「割り切り」に逃げ込み、精神を楽にしようとします。しかし、そうして精神が楽になった瞬間に、われわれの精神の成長は止まります。

「意思決定をする」ということは、決して「割り切る」ということではありません。その「深き矛盾」をこころに把持したまま、みずからの内なる声に導かれて「腹を定める」ということです。

『イントラネット経営 スマート・コーポレーションの創造』

田坂広志/生産性出版/1575円

        

「意思決定」から「合意形成」へのパラダイム転換

 これまでは「その意思決定について権限を有する者が決済承認を行う」というプロセスが中心であったが、これからは「その意思決定について関与する者が意見提出を行う」というプロセスが中心となっていく。

 プロジェクトを中心とする流動的業務の意思決定においては、権限を有した意思決定者を一人に集中することにより迅速な意思決定を可能としつつ、同時に、多くの関連するメンバーへの情報共有を徹底し、これらのメンバーが意思決定に積極的に関与できる仕組みを作ることが重要となってきている。

 ただし、この関与とは、権限にもとづく決済承認ではなく、共有された情報にもとづき、意思決定者に対して明確な意見提出を行うことである。

 企業組織内における意思決定のプロセスは、同時に、合意形成のプロセスとなってきている。

社員全員が「起業家」となる時代

  中間管理職の新しい役割は、「ネット・インキュベータ」である。

  端的に言えば、イントラネットを活用して、社内におけるベンチャー精神や企業家精神を活性化し、業務の革新、企業文化の変革、開発プロジェクトの創出、新事業開発の推進などに取り組む若手社員を支援する役割である。

  これからの時代は、企業内のすべての業務に対して「ベンチャー精神」を持って取り組み、「起業家」としての発想をもって取り組むことが求められている。

エレクトロニック・コマースという「市場の鏡」

望遠鏡……地球の裏側の市場をも子細に覗くことができる。

拡大鏡……消費者の個人ニーズを細やかに観察することができる。

水晶玉……「未来の市場」の姿を映し出してくれる。

走馬灯……「過去の市場」の記憶を伝えてくれる。

 本当に価値のある情報、「差別化」に結びつく情報は、実際の市場と事業の中に存在している。そうした情報を入手したければ、実際に事業を開始してみるしかない。そうした現実と格闘するプロセスを通じてしか、ビジネス・ノウハウや現場の知恵とでも呼ぶべき価値ある情報を入手することはできない。

「テスト・マーケット」としてのエレクトロニック・コマース

 エレクトロニック・コマースは、新しい壮大な「テスト・マーケット」であるともいえる。

 差別化された情報を受信するためには、差別化された情報を発信することである。

 「テスト・ショップ」で新しい商品コンセプトやサービスコンセプトを提案することによって、逆に、消費者からの生の声としてのニーズ情報や、市場からの反応という形でのトレンド情報が、先行的に入手できる。

 「プロシューマ」とは「プロデューサ」(生産者)と「コンシューマ」(消費者)という言葉の合成語であり、商品の開発と生産のプロセスにも関与する消費写像を意味する言葉である。

「消費空間」から「生活創造空間」への進化

情報消費者……「商品」()を消費するまえに、「情報」(物語)を消費する存在となってきている。……「賢明な消費者」と「物語を求める消費者」

開発参加者(プロシューマ)……商品の開発と生産のプロセスにも関与する新しい消費者像である。

生活創造者……こうした時代における企業の役割は、生活者が集う「場」を提供し、生活者が情報や知恵を交換しながら「生活創造」を行っていくことを支援する役割となっていく。

『こころのマネジメント』

田坂広志/東洋経済新報社/1575円

     

  こころのマネジメント―ひとりのメールが職場を変える

やまあらしのジレンマ……哲学者ショーペンハウエルが語った寓話

 個性の格闘や価値観の衝突という「痛み」を通じて、「最適の距離」を見出すことの大切さを教えている。

○科学哲学者ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』……「われわれは、言葉にて語り得るものを語り尽くしたとき、言葉にて語り得ぬものを知ることがあるだろう」

○智恵はひそやかに伝わる……ある人間が他の人間に対してノウハウを伝えるためには、ノウハウの「内容」そのものを伝えようとすることは正しくありません。そうではなく、ノウハウをつかみとった「体験」を伝えることがもっとも正しい方法なのです。腑に落ちる体験談を見出すことです。

○「聞き届け」の大切さ……私たちは、「かたち」を示すことによって、むしろ、自分自身の「安心」を得ようとしてしまいます。「かたち」に表すことによって、「こころ」を示したという安心を得ようとしてしまうのです。

 実は、マネジャーは、本当は、「こころ」が楽になってはいけないのです。

 メンバーのメッセージに耳を傾け、その声を聞き届け、メンバーをこころで支えるためには、それを聞く側に、大きな「こころのエネルギー」が求められるからです。

『創発型ミドルの時代』

田坂広志/日本経済新聞社/1575円

聞き届け……自分の心の奥底にまで届くほどに「聞く」という意味である。

 プロデューサーシップにおいては、メンバーの「声」を「聞き届ける」ことが大切である。

「衆知を集め、独りで決断する」

 質問力……これからの「意思決定者」に求められるのは、適切な「人材」に、適切な「質問」を行う能力である。質問の水準が、解答の水準を決める。

『複雑系の経営 「複雑系の知」から経営者への七つのメッセージ』

田坂広志/東洋経済新報社/1470円

【Ⅰ】全体性の知……「分析」はできない、「全体」を洞察せよ。

 *「複雑化」すると「新しい性質」を獲得する。

 *メタファー(隠喩)に富んだ優れた「物語」を紡ぎだし、それを語ることによって、「非言語の知」を伝えることができる。

【Ⅱ】創発性の知……「設計・管理」をするな、「自己組織化」を促せ。

 *「個の自発性」が「全体の秩序」を生み出す。

 *「智本主義の時代」「知識資本主義の時代」……この時代における最大の経営資源は、「智恵」であり「知識」である。

 *新しい時代に向けて、経営者が自己変革するべきは、何よりも自らの「哲学」であり「思想」なのである。

 企業組織の「望ましい構造」をトップダウン的に設計するのではなく、企業の中の「望ましいプロセス」を促進することにより、ボトムアップ的に組織を変えていく智恵であ

2008年1月31日 (木)

『私のマルクス』

佐藤優/文藝春秋/1619

     

  私のマルクス

 佐藤卓己の書評によれば、「思想的自叙伝」であり「知的剛腕のビルドゥングス・ロマン(教養小説)」(読売新聞08127日)である。それにしても、その記憶力は凄まじいものがある。

 「私の記憶は映像方式で、何か鍵になる映像が出てくると、そこから人物が話し始め、二十年前、三十年前の記憶でもかなり正確に復元することができる」というのだ。大宮市(現さいたま市)にかつて住んでいて、大宮駅東口の南銀座通りで焼肉を食べ、老舗学習塾「山田義塾」に通い、浦和の大規模書店「須原屋」の名前が出てくると、身近な人のように思えてくるから不思議である。

 著者は、なぜ神学者フロマートカに惹かれたのだろうか。

 それは「神学が大学の研究室における学問でもなければ、教会の存在を正当化するための道具でもなく、この世で生きていく人間のためのものであることを強調したところにある」という。「神学者が活躍する舞台はこの世界(此岸)なのである」と言うより、「神学者」を「宗教」と読み直してもいいのではないだろうか。

 本書の中で、長く引用される『資本論』や『聖書』は、そのものを読み込んでいない人間にとってなかなか理解が難しい。が、フロマートカの『なぜ私は生きているか』(新教出版社)からの引用は、共感をおぼえるところがあるのはなぜだろうか。

 たとえば、次のような叙述である。

 「むしろ無神論は、いわゆる宗教の名においてすべての不正、文化的後進性、保守的停滞性を伴う古い社会秩序を擁護する特定の社会・政治的形態としての教会に対する反対から発展したのである」

 してみると、日本の仏教も江戸時代、檀家制度のもとで寺院はそうした機能を果たしたのであったが、そのことが日本人の「無神論」的傾向を招来したという側面もあるのではなかろうか。

 フロマートカの論点を敷衍して3つの論点にまとめている。

 なかでも「『人間とは何か』というテーマでキリスト教徒とマルクス主義者の対話が可能になる」という論点と、無神論、世俗化という普遍的現象のなかで、「キリスト教徒」――のみならず「宗教というものは」というべきだろう――が「教会に逃げ込むのではなく、この世(此岸)において、社会建設に積極的に参与し、他者に対して開かれた関係を構築することだ」という論点は、きわめて重要である。

2008年1月30日 (水)

『戦略シナリオ〔思考と技術〕』

斎藤嘉則/東洋経済新報社/2400円

     

  戦略シナリオ 思考と技術 (Best solution)

           

 全経営資源をスーパードライに徹底集中するアサヒビール、発泡酒にも参入して「マルチブランド戦略」を鮮明にするキリンビール、どちらの戦略が勝利をおさめるのか。    

 第1部では戦略思考の本質の理解とトレーニング方法が説かれ、第2部では戦略シナリオを構想するときに、ツボとなるフレームワークを明らかにしている。例えば、「一太郎」で急成長したジャストシステムはなぜ経営悪化したか、そのケーススタディが興味深い。

2008年1月29日 (火)

『考える技術・書く技術』

バーバラ・ミント/山崎康司訳/ダイヤモンド社/2447円

      

 考える技術・書く技術―説得力を高めるピラミッド原則

           

  どうすればよい文章が書けるか。マッキンゼー社のコンサルタント業務のなかから生み出された「ピラミッド・プリンシプル」は、文章スタイルや文例構成というよりも、自分の考えをどう構成すればよいかを解き明かしたものだ。

 伝えるべき明快な自分の考えを持たないで、分かりやすく書くという作業はあり得ない。

              

 「書く技術」「考える技術」に、新版では「問題解決の技術」「表現の技術」が加えられている。

2008年1月28日 (月)

津本陽氏『松風の人 吉田松陰とその門下』を語る

 「週刊読書人」に津本陽氏のインタビューが掲載された。以下、抜粋して紹介したい。

 松風の人―吉田松陰とその門下              

 ――以前からいつか松陰は書いてみたいと思っていらしたのですか。
【津本】そうですね。日本人の柱、それはやっぱり幕末では吉田松陰だろうと前から思っていた。小説にするには、一般の人にわかりにくい、抽象的な存在ですが。

      
 ――思想の人ですからね。
【津本】そういう感じがありました。それであまり手をつけにくいと思っていた。だけどこの歳になってくると、やっぱり松陰を避けて通ることはできないと思って試みたんです。大学を卒業してから大阪の神島化学という藤田財閥の会社へ縁故採用で入れてもらった。そうすると長州の人ばかりで。和田渚という人がいたんですよ。それが無口で、取り付く島もないようなんだけど、近寄ってきて話をして友達になった。さっぱりして、味も素っ気も無いんだけど、こっちを気に入ってくれたんですね。接近してくるんだけど、ちょっと食いつきにくい。そんなタイプの人間が長州藩士の一つのタイプじゃないかと思ったんですね。松陰も寡黙で、そのくせ自分の身辺にものすごく影響を与えるような人間が想像の中にあったんですよ。それで書いてみたらもっと凄かったですね。蛇足を言えば、私の母方の祖父が萩の米屋の息子なんですよ。それで写真をみたら高杉晋作みたいな長い顔ですよ。

     
 ――先生は長州にご縁があったわけですね。
【津本】そうです。私の体にも何十分の一か萩の血が入っているわけです。

    
 ――松陰の講義はあまり流暢では無かったようですが、それでいながら多くの弟子を魅了したわけですね。それは結局何だったのでしょうか。
【津本】それは人柄ですね。二畳の部屋で畳を縦に二畳並べて、そこで弟子と向かい合って話し合い、教えるんですね。松陰と夜を明かして、色々教わるでしょう。そうしたら、体の中に相手の魂が叩き込まれるような、そういう物凄い迫力があったそうですね。それは僕はわかると思います。武道でも武芸でも、宮本武蔵の五輪書でも、これより口伝と書いているところがあるんですよ。要するに口伝と言うけど、しゃべっているだけでは伝えられないんですね。実際に技をやって、相手を叩きつけるでしょう。それを何十回と繰り返しているうちにハッと気がつく。気がつく人が百人に一人ぐらいはいるわけですよ。実際に松陰はこの子は見込みがあると思ったら、自分の思いのたけを直接口伝えに教えた。だから偉くなろうとか、政界の大物になろうとか全然弟子は思ってないでしょう。もったいないような死に方をしていますよね。あれは普通なら無駄になるでしょう。ところが松陰の場合はものすごく大勢の弟子に影響を与えているんですね。三十歳で死んでよくあれだけ、共感力を与えたものだなと思うんですね。

Japan book of the year 2007

 文教堂の新年懇親会で、「Japan book of the year 2007」(実行委員会:くまざわ書店グループ、三洋堂書店、精文館書店、明屋書店、フタバ図書、文教堂グループ、オリコン)が発表された。

  実行委員会の各社代表

【総合】1位:PHP研究所『女性の品格』

女性の品格 (PHP新書) Book 女性の品格 (PHP新書)

著者:坂東 眞理子
販売元:PHP研究所
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【単行本】1位:ワニブックス『ホームレス中学生』

【タレント本】1位:ワニブックス『ホームレス中学生』 

ホームレス中学生 Book ホームレス中学生

著者:麒麟・田村裕
販売元:ワニブックス
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【コミック】1位:集英社『ONE PIECE』46

ONE PIECE (巻48) (ジャンプコミックス) Book ONE PIECE (巻48) (ジャンプコミックス)

著者:尾田 栄一郎
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

【作家別】1位佐伯泰英

『意思決定のための「分析の技術」』

後 正武/ダイヤモンド社/2000円

         

  意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法 (戦略ブレーンBOOKS)

            

 まず「大きさ」を考え、重要度に応じて手をつける。

 次に「分けて考える」ときの鉄則は、「MECE」であることだ。

 「比較して」みることで、法則性や相互作用を発見できる。

 「変化/時系列」を見て、トレンドを読まなければならない。

           

 レバレッジ(梯子)ポイントを見出すためには、「過程/プロセス」を把握する必要がある。

 さらには、「ツリー」と呼ばれる方法を用いると、全体の構造が明瞭になる。

 そうした分析の基本が体系化して明かされている。

2008年1月25日 (金)

『民主党の研究』

塩田潮/平凡社新書/778

         

 民主党の研究 (平凡社新書 401)

 小沢一郎は「躊躇と逡巡の政治家」であるというのは、ちょっと信じ難いことだが、一見豪腕に見える人間性の内部は、やはりそうなのかもしれない。「出処進退の決定的瞬間でためらう」「逃げるリーダー」というのは、この間の、民主党代表辞任宣言とその撤回劇で、いかんなく発揮された。

 田中角栄から小沢が学んだ選挙選の戦い方は、「選挙運動は川上からやれ。つまり、選挙運動はまず個人レベルの戸別訪問、それも人口密度の低い農村部から始めろ。人が集まる都会は後回しでいい。まず足を使って、自分で回れ。組織の支援を頼った選挙はやってはいけない」であるが、まったくそうだと思う。

 「民主党が抱える4つの欠陥」として、次の項目を挙げている。

     寄り合い世帯の団結力と結束力のなさ。

     党の虚弱体質と幼児性……「学芸会と生徒会の党」「コップのなかの権力闘争」

     内部対立と背後に潜む世代戦争。

     「風」と「波」に頼りがちな体質と構造。

 「民主党のリーダーたちの同床異夢」というのが面白い。

     菅直人……「菅首相」

     小沢一郎……「政権交代」

     鳩山由紀夫……「政界再編」

     岡田・野田……「世代交代」

 果たして「ゴール」はどうなるのか。

2008年1月24日 (木)

『作家になるパソコン術』

松本侑子/筑摩書房/1400円

        

 作家になるパソコン術

      

 物書きになって10数年、その間に発表した小説・エッセイ・翻訳は、すべてキーボードで書いたという、ナウい作家の書斎を大公開。

        

 なかでも『赤毛のアン』シリーズの翻訳で、そこに引用されているシェクスピア劇をはじめブラウニング、テニスン、バイロンなどの詩の出典元を、インターネットを駆使して検索するさまは圧巻である。

2008年1月23日 (水)

読売新聞 平成20年新春懇親会

 読売新聞の新春懇親会で、渡邉主筆があいさつした。

 

【渡邉主筆のあいさつ要旨】

 日本のGDPは世界の18位、16%のシェアとかつての半分もない。日本人はかつて知的レベルを上げるために本を読んだ。
 インターネットの影響もあるが、活字離れが生まれ、大学生も本を読まない。ここから知的レベルの低下が始まり、日本の経済力を弱めているのではないか。

 出版界の売り上げは、右肩下がりが続いている。書籍は盛り返したようだが、前年比の絶対額で判断すべき。

 もう一つ、のんきに構えているのが目前の消費税引き上げ問題。線引きするには課題が残るが、教養として必要な書籍は非課税が順当。運動として国会議員に分からせる必要があるが、あまり組織として盛り上がっていないのではないか。

 税制上の優遇措置では相続税の問題がある。小さな出版社、小書店の倒産が多いが、これは相続税が関係している。経済産業省の幹部と話をしたが、資本金で段階を付けるしかないようだ。これは今年中に法律案が出る。これには野党も反対しないのではないか。

 出版界には講談社、小学館のような大企業はあるが、多くは中小零細、特に小売店はそう。相続税を殆ど課税されない状況に持っていくことが絶対に必要、読売新聞も全力を挙げてキャンペーンを展開する。

 活字文化の世界はいろんな意味で国力、人材を輩出する。その根っこを支えるのが出版界。皆さんとともに活字文化を守っていきたい。(「文化通信」オンライン版より)

 来賓を代表して村松・雑誌協会理事長が挨拶。

 

『野蛮人のテーブルマナー ビジネスを勝ち抜く情報戦術』

佐藤優/講談社/1050

     

 野蛮人のテーブルマナー

 面白くて読みやすい本だ。どこまでビジネスに役立つかは分からないが。

 ゴルバチョフ大統領時代からエリチン大統領時代にかけて、何度かモスクワを訪問したことがあるので、ホテルのトイレットペーパーの硬さに閉口したり、ミネラルウォーターを買い損ねて困惑したり、マルボロが通貨より役立ったり、ダーチャの休日を楽しんだり、日本料理店でウォッカ攻勢にあって、ねを上げたりという経験をしたこともあり、ロシアに関する話は大変興味深い。

 「ロシア北部には凍らせた生魚を薄く切って軽く塩をつけて食べる伝統があり、またロシア人は米も好きなので、鮨に対する抵抗はない」40pのは本当だ。日本で一度食べて鮨に目がなくなった人もいた。「ロシアでは他人を殴る前に肩を叩く」51pというのは知らなかった。

   

 「インテリジェンスの記憶術」とは、「録音せず、視覚と音声を結び付けて、脳内記憶せよ」53pという。記憶術を強化するために「夏目漱石の『こころ』や『それから』くらいの長さの小説を全文暗記することだ」56pというが、かなり難しそうである。ただ、会話した場面が映像として記憶されたときは、何年後になっても、そのときの情景のフィルムを映しながら、会話のやり取りをそのまま再現できることはある。でも、それは心に響くことがあったときに限られるように思われるので、何時でもというわけにはいかない。

 「小さな事について露見するような嘘を平気でつく人間は、大きな事では絶対に嘘をつく」71pことは間違いないのだが、意外とすぐ露見するような小さな嘘をつく人間は多いのは困りものだ。しかし、「ウソを言ってはいけないけど、本当のことを全部言う必要はない」105pということも知っていなければいけない。

 それにくわえて、河合洋一郎氏(国際ジャーナリスト)との「インテリジェンス対談」で、著者が披瀝しているマナーもなるほどと思う。

「佐藤――敵といえども約束は守るということ。約束していないことは守らなくていいけど、約束したことは必ず守る。もうひとつは相手が敵でも友達は大切にする」114p

 「ロシア流飲酒術」によれば、「ロシアでは手酌は厳禁」。日本でもそれに近い。「酒を注いでもらうときはグラスを手にとってはならない。かならずテーブルの上に置く」82pというのは、日本人は気をつけなければいけない。ロシアで乾杯がやたらに多いのは、「酒を飲みたくなったら、簡単なテーブルスピーチをして、最後に『ザ~』『ナ~』と言って一気にウオトカを飲み干す」と言うことだったわけだ。初めて納得した。

 プーチン大統領の性格の特徴94p

     人の悪口は言わない。

     物事をキチンと記憶する。

     気配りする。

 次のエピソードには感心した。

 FSB長官をしていたとき、エリツィン大統領から、ソプチャク(元サンクトペテルブルク市長)と縁を切れという命令が何度もなされた。それに対して、プーチンは「私は過去にお世話になった人を裏切るようなことは絶対にできません」と答えて断った。そこでエリツィン大統領は「次はこいつだ」と決めた。94p

「インテリジェンス対談」(つづき)167p

「佐藤――自爆テロの最大の敵は何かと言えば、地元に産業を作られることなんですよ。……対テロに一番効果的なのは、食い物がちゃんとある体制作りです」

「佐藤――さらに、異教徒は出ていかないほうがいい。イスラム教徒の中で処理させる」

 これは大変重要な視点である。日本人は肝に銘じて、対テロ政策を考えるべきである。油を補給すればすむ問題ではない。

 

FBI神話の崩壊 Book FBI神話の崩壊

著者:ジョン・F. ケリー,フィリップ・K. ワーン 翻訳:河合洋一郎
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2008年1月22日 (火)

『効率が10倍アップする新・知的生産術 自分をグーグル化する方法』

勝間和代/ダイヤモンド社/1575

      

 効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法  

 まず、著者の勧めるアプリケーションソフトのなかから、Googleの「グーグルデスクトップ」と「Gmail」を導入してみた。つづいて「やさしく名刺ファイリングPRO」、マインドマップソフト「MindManager」を導入しようとしたが、残念なことにインストール不可で頓挫してしまった。いろいろ試みて分かったことは、わがパソコンにトラブルありということで、パソコンを入れ替えることにした。

 著者の推奨する「生活習慣の技術」のなかでも、「技術①喫煙・飲酒など、知的生産の6大危険因子を極力遠ざける」という訓戒については、わが知的生産の程度の低いのはこのせいかと、ただただ反省するばかりである。

 スポーツ自転車を活用するというのは、ぜひ取り入れて実践したみたい。

 ところで、著者がマッキンゼー時代にコーチングしてもらったという3人の女性、本田桂子、大石佳能子、川本裕子の各氏も大活躍している。

    

 

その死に方は、迷惑です―遺言書と生前三点契約書 (集英社新書 393B) Book その死に方は、迷惑です―遺言書と生前三点契約書 (集英社新書 393B)

著者:本田 桂子
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企業価値評価 第4版 【上】 Book 企業価値評価 第4版 【上】

著者:マッキンゼー・アンド・カンパニー,ティム・コラー,マーク・フーカート,デイビッド・ウェッセルズ
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<書き込みチェックシート付>願いがかなう遺言書のつくり方 Book <書き込みチェックシート付>願いがかなう遺言書のつくり方

著者:本田 桂子
販売元:日本実業出版社
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マッキンゼー 事業再生―ターンアラウンドで企業価値を高める (The McKinsey anthology) Book マッキンゼー 事業再生―ターンアラウンドで企業価値を高める (The McKinsey anthology)

著者:本田 桂子,鷹野 薫
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川本裕子の時間管理革命 Book 川本裕子の時間管理革命

著者:川本 裕子
販売元:東洋経済新報社
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日本を変える―自立した民をめざして Book 日本を変える―自立した民をめざして

著者:川本 裕子
販売元:中央公論新社
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人は自分の知らない間になにかをしている Book 人は自分の知らない間になにかをしている

著者:川本 裕子
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お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書) Book お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

著者:勝間 和代
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無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法 Book 無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法

著者:勝間 和代
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無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法 Book 無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法

著者:勝間 和代
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 「人脈作りの技術」も相当なものである。「ランチミーティングを上手に併用する」という項目では、具体例としてご自身が「ここ数か月の間にランチをご一緒した方で、読者の方もなじみ深い人たちの名前」が列記されている。

 神田昌典、石田淳、土井英司、大橋悦夫、荒井裕樹(以上、ビジネス書著者)、大沢真知子(日本女子大教授)、新井紀子(数学者)、桜沢エリカ(漫画家)、永井美奈子(フリーアナウンサー)、猪口邦子(参議院議員)など。

 

図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める Book 図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める

著者:神田 昌典
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短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント Book 短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント

著者:石田 淳
販売元:ダイヤモンド社
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レバレッジ人脈術 Book レバレッジ人脈術

著者:本田 直之
販売元:ダイヤモンド社
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「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー Book 「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー

著者:土井 英司
販売元:草思社
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スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術 Book スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術

著者:大橋 悦夫,佐々木 正悟
販売元:日本実業出版社
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プロの論理力!―トップ弁護士に学ぶ、相手を納得させる技術 Book プロの論理力!―トップ弁護士に学ぶ、相手を納得させる技術

著者:荒井 裕樹
販売元:祥伝社
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2008年1月21日 (月)

『松風の人 吉田松陰とその門下』

津本陽/潮出版社/1680円

 松風の人―吉田松陰とその門下

 高杉晋作、久坂玄瑞、伊藤博文、山県有朋など、幕末維新を先駆した錚々たる英傑たちを育てた吉田松陰の「獅子の心」「獅子の道」をえがいた渾身の歴史小説である。

 松陰の言葉で、とくに心に響いたのは、次の言葉である。

 「いまの藩内の情勢変革の逆焔は、誰が立てたか。わが輩ではないか。わが輩がなければ、この逆焔は千年たってもおこらない。……忠義というものは、鬼の留守の間に茶にして呑むようなものではない」

 弟子を叱咤して痛烈である。まさに松陰の闘争によって時はつくられているというのに、門下の面々は松陰の身をおもんばかるということで、退いてしまうのである。大原西下策がまさになろうとしたときに、臆病風にとりつかれて裏切ってしまう田原荘四郎と変わるところがない。松陰は続ける。

 「わが輩が息をひそめれば、逆焔も勢いを弱めるだろうが、わが輩がふたたび勃興すれば逆焔も勃興する」。まさに、「獅子の心」である。そのとおりであろう。要するに、「僕は忠義をするつもり、諸友は功業をなすつもりであることだ」。そこから、「獅子の道」を生きるかどうかという分かれ道になる。松陰門下は師の心を継いで、維新回天の闘争に生きたといえよう。

 著者の『勝海舟』などをあわせ読むことをおすすめしたい。

 

勝海舟 私に帰せず〈上〉 Book 勝海舟 私に帰せず〈上〉

著者:津本 陽
販売元:潮出版社
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龍馬 一、青雲篇 (角川文庫) Book 龍馬 一、青雲篇 (角川文庫)

著者:津本 陽
販売元:角川書店
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巨眼の男 西郷隆盛〈上〉 (新潮文庫) Book 巨眼の男 西郷隆盛〈上〉 (新潮文庫)

著者:津本 陽
販売元:新潮社
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2008年1月18日 (金)

『国家論 日本社会をどう強化するか』

佐藤優/NHKブックス/1218円

         

  国家論―日本社会をどう強化するか (NHKブックス 1100)

 国家と社会の現状をふまえ、まずは社会の構造を、マルクスの『資本論』と宇野弘蔵の『資本論』解釈から考察する。

 次に、社会人類学者ゲルナーのナショナリズム論、柄谷行人の世界共和国論にそいながら、「国家」の本質を考える。

      

 さらに、カール・バルト『ローマ書講解』によって「国家と神」について議論をすすめ、著者は「国家と貨幣へのイエスの対応」に基づいて「国家悪」を解き明かす。 その国家悪に対抗しうるのは「強い社会」である。    

 とくに、マルコによる福音書十二章十三節「皇帝の税金」の読み方は面白い。

 人々はイエスの言葉尻をとらえて陥れようと、「皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているのでしょうか、納めてはならないのでしょうか」と問いかけるのに対して、イエスは彼らの下心を見抜いていた。「なぜ、わたしを試そうとするのか。デナリオン銀貨を持ってきて見せなさい」。彼らがそれを持って来ると「これは誰の肖像と銘か」と問う。彼らが「これは皇帝のものです」と答えると、イエスは「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と。

 そもそもこの会話がどこでなされたか。エレサレムの神殿のなかであり、この銀貨の中にすでに偶像崇拝の要素があり、質問者は偶像崇拝というタブーに触れているというのだ。ここに「引っかけには引っかけで返す。ハメてくる者はハメ返す。このようなキリスト教の考えが出ている」と、著者は指摘している。なるほどそういう文化なのかと思わざるを得ない。

 さらに、マタイによる福音書、ルカによる福音書の検証も興味深い。

東京都書店商業組合新年懇親会

 東京都書店商業組合の新年懇親会が開催された。

 

 あいさつする大橋信夫理事長(東京堂書店社長)

 

 出版社代表のあいさつをする大賀昌宏・小学館社長

〔大賀社長あいさつ要旨〕(「文化通信」オンライン版より)
 現在の出版界のシステムは50~60年でできたもので、これが終着点ではなくて、多分これからまだまだ変わると思うが、皆さんはこれがずっと続くと思い込みすぎているのではないか。その想いが強いと新しい動きがあったときにどうしても取り付きにくく、敵視したり、無視したりする。そのうちに今は新古書店、コミックのレンタル店が増え、その中で新しい読者が育っている。

 また、郊外型書店、大型チェーン店、ショッピングモール内の大型チェーン店が3600億円の売り上げで伸びている。他の部分は足踏み状態、1000億円くらいのネット書店が少し伸びている。

 郊外型の読者は10~30代、女性で子連れが多く、そこで売れているリストを見ると色々なキーワードが生まれてくる。我々はそういう市場の変化に対応しながら本を作っていかなければいけないし、そのときに地域型の独立した中小書店にどういう商品を送らなければならないのか。

 読者は必ずある本を読んでいるうちに別な物を見たくなる。その変化の中で書店自らが今までは敵視していたブックオフやレンタル店を自らの中にどうやって取り組むかの時代に来ていて、組合には仲間が揃っているけれども、同時に全く違った人たちとのつきあいも大事になってくると思う。そういう人たちの話を聞きながら、学び、取り込み、勝ち抜いていく時代が来ている。

 今色々な変化を書店も取り組んでいる。東京堂書店も三省堂書店もいろいろとやっている。ところがそういう変化に取り組むと心配する声も強まって、秩序を壊すとか、何でもありの時代になったとの揶揄が出たり、取り組んでいる人たちがいつか失敗すると冷ややかな目で見ている。変化は勇気のいることだと思うが、そういったことを応援する気持ちも一方で持っていなければいけない。

 怪しからんという人たちは、今の体制がずっと続いていればいいと考えているのだろうが、どう見ても今のまま続くとは思われない。今年は厳しいと言うが、変化は厳しいからこそ変えられる。毎日の平凡な生活こそ幸せだが、その中で将来を変えるために一歩踏み出していく、今年はそういうことをやっていきたいし、あるいは孤独な戦いをしている人たちを応援するのがまさにこういう組合であり仲間ではないか。

 もちろん出版社の中にも賛成する人も反対する人もいるが、基本的には何人かが賛成をしながら、危惧をされる方とは話し合って、お互いに一歩踏み込む年になったらいいと思うし、私はどちらかといえば変化する方を応援する側に立ちたいと思っている。

 書店は版元、取次のために生きているわけではない。本来この仕事は、素晴らしい読書環境を日本だけでなく世界中に向かって広げていけるくらいの仕事だと思っている。余り悲観的に考えずに、むしろ大きな夢をどうやって実現するか、そういうことをいつも話し合っていくことが、業界を強くしていく道だと思っている。

2008年1月17日 (木)

『大変化』

伊藤元重/講談社/1575円

         

  大変化      

 日本経済の未来に不安を感じている多くの人にとって、本書は足元を照らしてくれる〝灯火〟である。平易な語り口で、「技術革新」と「グローバル化」という現象を掘り下げ、ピンチのなかに隠されているチャンスの芽に光を当ててくれるからだ。

        

 日本の活力を高めていく方法は、まず「あるものを使う」ことと、「海外の力を取り込んでいく」ことにある。アジアには今や、数千万人の高額所得者がいるのだから。そうした「正しい認識」を教えられることもありがたい。

         

 なるほどと思ったのは、経済学には、「需要(ディマンド)」と「供給(サプライ)」があり、ディマンド側からアクセルを踏む政策だけでは十分ではなく、サプライサイドこそ、経済を本格的に復活させる鍵を握っているということだ。

       

 では、どんな手法があるのか。一つの事例として、「不動産の証券化と流動化」があげられている。事実、これによって東京・首都圏の「都市再生」は、驚くほどの規模とスピードで進められている。東京ミッドタウンはその象徴的存在であろう。地方でも、イオン、ららぽーと、イトーヨーカドーなどの大規模ショッピングモールが次々と建設されている。

        

 日本企業の競争力を高めるにはどうすればいいのか。著者によれば、「日本らしさ」が競争力の原点であるという。たしかに海外の寿司ブームなどはその典型である。「君子、和して同ぜず。小人、同じて和せず」(論語)という精神が大事だ。

        

 IT時代を迎えて、「アンバンドリング」という視点も重要である。また、「補完」なのか「代替」なのかで、局面はまったく違ってくる。

そして、「スマイルカーブ」の上流と下流を狙えということ。真ん中は利益が低い。典型的な例として、繊維アパレル業界が挙げられている。上流の一流ブランドと、下流にあるユニクロが大きく成長している。

2008年1月16日 (水)

『経営がみえる会計』

田中靖浩/日本経済新聞社/1600円

       

  実学入門 経営がみえる会計―目指せ!キャッシュフロー経営 (実学入門)

              

 ルノーとの提携に踏み切った日産の貸借対照表では、関係会社以外の公開株はすべて流動資産の部に計上されている。

 株などの売却益で経常利益をカサ上げし、抜本的な体質改善を先送りしてきたと読める。

 トヨタがすべて固定資産の部に計上しているのと対蹠的である。

            

 経営に「未来を予測する読みと勇気」をもたらす会計が今、求められている。

1年のあいだに行なった投資とリターンを「原因」〔⇒損益計算書 Profit and Loss statement(P/L)⇒フローベースで作成〕として、会社の財産量という「結果」〔⇒貸借対照表Balance Sheet(B/S)⇒ストックベースで作成〕が決まる。

貸借対照表には、「どうやってカネを持ってきて(調達⇒貸方・右側⇒負債・資本の部)、いま何に投資しているか(運用⇒借方・左側⇒資産の部)」が示される。

 右側から流れ込んできたカネが、左側でグルグル回っているイメージ。

会社を滅ぼす本当の危険は「倉庫」に潜んでいる!

モノ(=ハード)を扱う会社〔⇒工業化ビジネス・流通業〕は変動費中心、情報(=ソフト)を扱う会社〔⇒情報ビジネス〕では固定費中心〔⇒ハイリスク・ハイリターン〕といえる。

管理会計の根底には「儲からないことをやってもムダ」という合理主義が存在する。

 これまでの拡大路線が終わりを告げたいま、「いかにして撤退=縮小するか」という選択肢を無視することはできない。

 撤退に必要な最低の条件、それは勇気である。

2008年1月15日 (火)

『インターネット「超」活用法』

野口悠紀雄/講談社/1400円       

           

 インターネット「超」活用法 2001                    

 「世界を覆う蜘蛛の巣」(WWW)と呼ばれるインターネットは、「からっぽの洞窟」どころか、途方もない潜在力をもつ「宝の山」である。

      

 検索エンジンを使いこなせば、地球規模の百科事典にもなっている。自作ホームページは名刺代わりにもなり、自分の意見を全世界に自由に発信もできる。

2008年1月11日 (金)

新春おでんの会

 大阪屋の新春おでんの会が開催された。

  

  経営方針を発表する三好社長

 大阪屋の新春おでんの会が1月10日、関西ブックシティで開かれ、関係者1375人が出席した。主催者の三好勇治社長は3月期見通しに触れ、「3期連続で1200億円台は確実。前年の1257億を超えるべく最終4半期は全力で取り組むが、12月までの売上状況を見ると、なんとかクリアできる」と報告。

 さらに、出版社へのお願いがあるとして「雑誌・書籍の定価アップをして欲しい」と発言。売り上げが低迷している中で物流コストを吸収し、安定した出版流通を実現するには「取次の自助努力にも、おのずと限界がある」とした上で、送品データに基づき仕入れ価格を試算すると1冊当たり4―7円の減収と述べた。

第42回新風賞贈賞式

 新風賞が坂東眞理子著『女性の品格』(PHP研究所)に贈られた。

   

   書店新風会・井之上賢一会長から、賞を受ける著者の坂東眞理子氏(昭和女子大学学長)

   

女性の品格 (PHP新書) Book 女性の品格 (PHP新書)

著者:坂東 眞理子
販売元:PHP研究所
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親の品格 (PHP新書 495) Book 親の品格 (PHP新書 495)

著者:坂東 眞理子
販売元:PHP研究所
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男女共同参画社会へ Book 男女共同参画社会へ

著者:坂東 眞理子
販売元:勁草書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

   

   受賞する江口克彦・PHP総合研究所社長

 書店新風会は1月9日、東京・新宿区のホテルハイアットリージェンシー東京で「第42回新風賞贈呈式・新年懇親会」を開催し、出版社と取次など201社、303人が参加。新風賞を受賞した「女性の品格」の著者・坂東眞理子氏と出版したPHP研究所・江口克彦社長に賞を贈呈した。

 坂東さんは「30年前に最初の本を主婦の友社から出して以来、年に1冊ぐらい出してきた。良い本を書いても売れないと悟りの境地のように思っていたが、どんなに良い本を書いても読んでもらわなければ意味がないと実感した」とあいさつ。江口社長は31年前に松下幸之助氏の「崩れゆく日本をどう救うか」で受賞したときに、喜んだ松下氏が誰彼となく「新風賞をもらったんや」と話していた思い出を紹介して乾杯した。(「文化通信」オンライン版より)

『サプライチェーン経営入門』

藤野直明著/日経文庫/830円

     

 サプライチェーン経営入門 (日経文庫)

               

 サプライチェーンマネジメント(SCM)は、時代の変化が生み出した、新しいマネジメント手法である。

    

 IT(情報技術)の加速的進歩をフルに活用し、不確実性の高い市場の変化に、いかに俊敏に対応して、キャッシュフロー効果をあげるか。資材の調達から最終消費者に届けるまでの業務の流れを、一つの大きな「供給のチェーン」ととらえて、「全体最適化」をはかる。

         

 SCMの基本戦略から、それを支える情報システムまで、明快に解説した入門書。

2008年1月 9日 (水)

2008年トーハン新春の会

 2008年トーハン新春の会が、椿山荘で開催された。特別ゲストとして、作家の佐伯泰英氏が出席され、スピーチされた。

 

 会場超満員の盛況であった

 

 特別ゲストの作家・佐伯泰英氏に、50年ぶりに再会した幼馴染の白石書店・白石会長から花束が贈られた

  

朧夜ノ桜 (双葉文庫 さ 19-25 居眠り磐音江戸双紙 24) Book 朧夜ノ桜 (双葉文庫 さ 19-25 居眠り磐音江戸双紙 24)

著者:佐伯 泰英
販売元:双葉社
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攘夷 (講談社文庫 さ 84-6 交代寄合伊那衆異聞) Book 攘夷 (講談社文庫 さ 84-6 交代寄合伊那衆異聞)

著者:佐伯 泰英
販売元:講談社
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足抜―吉原裏同心〈2〉 (光文社時代小説文庫) Book 足抜―吉原裏同心〈2〉 (光文社時代小説文庫)

著者:佐伯 泰英
販売元:光文社
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烏鷺―密命・飛鳥山黒白巻之16 (祥伝社文庫 さ 6-29) Book 烏鷺―密命・飛鳥山黒白巻之16 (祥伝社文庫 さ 6-29)

著者:佐伯 泰英
販売元:祥伝社
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雄飛!―古着屋総兵衛影始末 (徳間文庫) Book 雄飛!―古着屋総兵衛影始末 (徳間文庫)

著者:佐伯 泰英
販売元:徳間書店
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竜笛嫋々 (幻冬舎文庫 さ 11-8 酔いどれ小籐次留書) Book 竜笛嫋々 (幻冬舎文庫 さ 11-8 酔いどれ小籐次留書)

著者:佐伯 泰英
販売元:幻冬舎
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下駄貫の死―鎌倉河岸捕物控 (時代小説文庫) Book 下駄貫の死―鎌倉河岸捕物控 (時代小説文庫)

著者:佐伯 泰英
販売元:角川春樹事務所
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佐伯泰英!―ロングインタビュー&作品ガイド Book 佐伯泰英!―ロングインタビュー&作品ガイド

販売元:宝島社
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テロルの季節 Book テロルの季節

著者:佐伯 泰英
販売元:ベストセラーズ
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 トーハンは1月9日、東京・文京区の椿山荘で新春の会を開催、3006人が参加した。山﨑厚男社長は、目指すところとして「すべては読者のために」を示し、そのための3項目として①桶川SCMセンターの役割と最終形②書店店頭支援の在り方③競争、読者ニーズへの対応をあげ「08年のトーハンの取り組みに注目を」と述べた。

 3項目の内容について山﨑社長は、桶川は中身を充実させていくとし「物流の品質、在庫の品揃えでは努力の余地があり、最終的には桶川の機能を営業と融合していかなければならない」とした。

 店頭支援では、「顧客の持つ幅広いニーズと明確なウォンツを満たし、書店におけるローコストオペレーションの実現を両立させる提案をすることが試される年になる」とし、桶川のデータを踏まえた提案活動の内容を構築するシステムの4月稼働などにもふれた。

 ニーズへの対応では、顧客との結びつきを強固にしていく仕組みとしてCRMを開発中とし、リアル書店とネット融合の推進、e―hon・ネットを使ってのリアル書店への集客の仕組み作りに加え「新しい商材、新しい事業などにも積極的に取り組む」とした。(「文化通信」オンライン版より)

『成果主義』

高橋俊介/東洋経済新報社/2500円

       

 成果主義―どうすればそれが経営改革につながるのか? (Best solution)

             

 成果主義にもとづく人事制度改革が本格化したのは、1997、8年頃であるから、その成否を問う時期にきているかもしれない。とはいえ、顧客先の幹部を訪問するのに、上役を連れて行っただけで感謝される時代ではない。

           

 価値創造のために自分の貢献度がどの程度なのか、実力の度合いを出し合って、一人ひとりが思い知っていく「ステータス・オークション」が必要な時代を迎えている。そして「ポテンシャルにはチャンスを、成果には報酬を」である。

2008年1月 8日 (火)

08年日販「新春を祝う会」

 日販の2008年「新春を祝う会」が、ザ・プリンス パークタワー東京(コンベンションホール)にて開催された。

壇上で紹介される取締役

挨拶する古屋社長

 日本出版販売は1月8日、東京・港区のザ・プリンスパークタワー東京で「新春を祝う会」を開き、書店、出版社など取引先と日販関係者など2350人が出席。古屋文明社長は「NEXT(中期経営計画)の最後の年となる今年目指す大きなテーマは3つ」とし、王子流通センターリニューアル、HonyaClub、雑誌の店頭活性化策Z―TOPをあげ、「潜在需要はまだあり、三者が力をあわせて売り上げを伸ばすことができると確信を持って取り組む」と述べた。

 古屋社長は年末年始の販売状況を報告したのち、「王子NEXTは8月に建物は完成する。流通の改善を通じて店頭を支援していく。HonyaClubは加盟書店が200、会員数は125万人を超えた。Z―TOPでなんとか書店の利益を取り戻すことを提案していく」と述べた。

 さらに、ケータイ小説がベストの上位に入るなど新たな市場が生まれているほか、昨年は河出書房新社「世界文学全集」、平凡社「世界大百科事典」、新潮社「日本語漢字辞典」、光文社古典新訳文庫「カラマーゾフの兄弟」などが売れ行きを伸ばしたことに触れ、「今年は新年早々に『広辞苑』が発売されるが予約が一杯だといい、7月には『ハリー・ポッター』がでる。潜在的な売り上げを顕在化させたい」と述べた。(「文化通信」オンライン版より)

『意思決定12の心得』

田坂広志/PHP文庫/600円

         

  意思決定12の心得―仕事を成長の糧とするために (PHP文庫)

         

 意思決定には、直感力(勘の鋭さ)・説得力(言葉に力がある)・責任力(腹が坐っている)の三つの能力が必要であると言われても、ご説ごもっともと言うしかない。さらに「衆知を集めて、独りで決める」というスタイルの意思決定が求められる時代であるとすれば、「リスク最小化」の戦略、失敗に学ぶ「学習する組織」の構築などが急務となる。

2008年1月 7日 (月)

『勝者のデータベース経営戦略』

丸山則夫/NTT出版/1800円

               

  勝者のデータベース経営戦略

        

 現今の新しいビジネスのパラダイムに対応するために、経営に求められている喫緊の課題は「情報共有」であろう。

               

 その先端ツールとして、今注目されているODB(オブジェクト・データベース)と、ECデータを記述する次世代標準言語XMLを、「どのように使えるか」という角度から紹介している。

         

  ODBを導入して成果を上げているデルコンピュータ、サウスウエスト航空、花王、ベストフーズなどの事例も興味深い。

2008年1月 5日 (土)

『スピード経営への戦略と情報システムづくり』

和多田作一郎/実務教育出版/2800円

           

 スピード経営への戦略と情報システムづくり―グローバル大競争時代を生き抜く102のポイント

                

 戦国時代の武将・織田信長が、鉄砲という新しい武器を導入して、騎馬武者による槍・刀の戦では無敵を誇った武田勢を長篠の戦いで打ち破ったのは、よく知られた史実である。

       

 では、グローバル化した大競争時代の経営の“鉄砲”は何か。言うまでもなく情報・通信技術(IT)である。本書は、その基礎的な知識、情報、ノウハウ、例えばERP、SCM、データウェアハウスまでを網羅して、分かりやすく解説した、得がたい入門書である。

2008年1月 4日 (金)

『こころのマネジメント』

田坂広志著/東洋経済新報社/1500円

           

 こころのマネジメント―ひとりのメールが職場を変える

     

 オフィスのメンバー全員が、毎週一通書き綴ったエッセイ、「ウィークリー・メッセージ」を他のメンバー全員に月曜日の朝、電子メールに載せて発信する。それは職場の「こころの生態系」を映し出す「鏡」であり、自らのマネジメントを映し出す「鏡」でもあるという。それを長年続けてきた著者の、体験を通しての示唆にとんだ現場報告である。

2007年12月31日 (月)

『リーダーシップの真髄』

マックス・デプリー/福原義春監修訳/経済界/1400円

              

 リーダーは「勢いを生み出し、保って」いかねばならない、というのは、シンプルではあるが、大事な鉄則である。理屈ではなく、勢いがすべてを決することを忘れてはならない。

         

 契約という相互的な関係に対比して、誓約、誓いに基づく関係こそが、「働くことに意義を見出し、充実感を与える」という洞察は深い。だから、仕事に「思い入れ」ももたず、「うわべだけを飾り」「本気で責任をもって仕事に没頭」しないから失敗する、という指摘は痛烈である。

        

          *

ブックレビュー社
企業経営者にとって最も問われる指導力。エクセレント企業になるためリーダーの役割がいかに大切かを教える

     
 この本が,ありきたりの経営哲学的な啓発書でないことは,著者が米国で最も尊敬される会社の一つとされる「ハーマン・ミラー社」のCEO(最高経営責任者)であるからことからも,みて取れるだろう。そして,日本訳での監修に当たったのが,経営者としても企業文化活動でも実績を持つ資生堂会長。これだけで,本書がどんな本であるかは,容易に想像できるであろう。

 ビジネスマンのリーダーはどうあるべきか,リーダーシップに求められることは何か,という誰もが知りたいが誰もが迷うテーマに対して,自らの成功体験をもとに,分かりやすく解明している。

 著者は本書のなかでそのリーダーシップについて明快に「やらなければならないことを,最も効率的で人間的な方法で行えるように,人々を自由にしてあげること」と断じる。また,リーダーとは,よき聞き手であるべきだとも。そのためには,リーダーは自分をよく知ること,リーダーシップには理念がなくてはならないこと,と心構えをつづっている。

 「何かを行うことだけが,リーダーシップではない」「リーダーシップは芸術,信念,心の持ち方である」とのちりばめられた幾多の言葉が,組織のなかでのリーダーシップについて考えている人には,深い示唆を与える本となるはずだ。 (ブックレビュー社)
(Copyright©2000 ブックレビュー社.All rights reserved.)

2007年12月28日 (金)

『富のピラミッド 21世紀の資本主義への展望』

レスター・サロー/山岡洋一訳/TBSブリタニカ/1800円

      

 富のピラミッド―21世紀の資本主義への展望

 1ドル紙幣の裏側には、未完成のピラミッドの図柄があり、その頂点には目玉が輝いている。ピラミッドは経済力とその永続性を、未完成なのはアメリカの富が増加を続けうることを象徴しているというが、まさに今のアメリカは知識主義経済を生み出し、最高の時代を謳歌している。資本主義は創造的破壊の過程との視点から提示する、「富のピラミッド」を築くための13の法則は、著者の面目が躍如としている。

2007年12月27日 (木)

『まず、戦略思考を変えよ』

田坂広志/ダイヤモンド社/1500円

        

 まず、戦略思考を変えよ―戦略マネジャー8つの心得

              

 ワシントン・レイク湖畔の豪邸に暮らすビル・ゲイツは、毎朝目覚めると、湖面を見ながら、業界トップの地位も「今日が最後かもしれない」と考えるという。この挿話は何を物語っているか。

          

 彼は「天才の直観」で、現代の市場のもつ恐ろしい性質を、洞察しているというのだ。すなわち、「徹底的に勝つ」こと、勝ち続けることが、「生き残る」ための唯一の方策であるということだ。そのための「八つの戦略思考」が説かれている。

2007年12月26日 (水)

『デジタルな経済』

伊藤元重/日本経済新聞社/1500円

      

 デジタルな経済―世の中 大変化 小変化

                 

 いま、現在進行形の「デジタル革命」は、日本経済をどう変えるのか。まず、情報化は企業の「アンバンドリング」(束の解体)をもたらし、「中抜き」ならぬ「中ばらし」が行なわれる。

             

 あるいは、クリームのいちばん美味しいところだけをもって行かれる「クリームスキミング」も起きる。

              

 しかも、「バーチャル」と「リアル」の世界は、補完的な関係にある。差異化、専門化、パーソナル化、ネットワーク化がキーワードになる所以もそこにある。

2007年12月25日 (火)

『スピードの経営革命』

F・マキナニー/S・ホワイト/竹中平蔵訳/三笠書房/2200円

       

スピードの経営革命―なぜ、この企業はIT時代に大勝利をおさめているのか

           

 グーテンベルクの活字印刷の発明は、情報コストを劇的に低下させ、ルターの宗教改革を招来した。だが、IT革命によって情報コストの低下するスピードは、その比ではない。コンピュータの性能は18か月ごとに2倍になる――「ムーアの法則」の時代である。

          

 主にシュワブ、ウォルマート、デルコンピュータ、シスコシステムズを実例に、企業が「勝ち組」に入るための鉄則と黄金律を説き、ポスト・パソコン時代を説得的に描き出す。

2007年12月24日 (月)

『インテリジェンス人間論』

佐藤優/新潮社/1575円

  インテリジェンス人間論

 日本の政治家では、鈴木宗男、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗の4名が登場する。鈴木宗男は「阿修羅にも大審問官にもなれない男」とされている。小渕恵三は「人柄の小渕」ではなく「怖い人柄の小渕」という側面が紹介されている。

 ロシアの大統領、エリツィン、プーチンについての観察も興味深い。
 「インテリジェンスで読み解く『ポロニウム210』暗殺事件」にプーチンは関与していたのかどうか。ロシア政治の深層を覗かせてくれる。
 「金日成のレシピ」には、こんなことまで演説しているのかと驚いた。

 さすが神学研究を志した信仰者ならではといえる論考は「21世紀最大の発見『ユダの福音書』」である。

 「ユダの福音書」は、「自己の正しさを他者に押しつけて、敵を殲滅しようとするキリスト教文化圏の政治倫理に対して、根源的な見直しがはかられることになるだろう」というのである。

 すなわち、「キリスト教は本来、他の宗教を含めて、多元的な価値観を受けいれる宗教であった。それを示しているのが『ユダの福音書』なのである」というのだ。「ユダの存在さえ許容する寛容が、キリスト教の中に含まれていることを、『ユダの福音書』は示している」としている。

    
 時間はかかるだろうが、「ユダの福音書」は、「多元的価値観の共存する世界へと欧米社会を転換させる方向に影響を与えるだろう」という展望は重要である。

2007年12月21日 (金)

紀伊國屋書店社員が選んだ本30

 紀伊國屋書店は社員が選んだ07年のお勧め本「キノベス07」30点を発表した。06年10月以降に出版された新刊(文庫化タイトルを除く)から、社員が自分で実際に読んで顧客にオススメしたい本を選定し、POP(推薦)文をつけて応募したものから選ばれた。

http://www.kinokuniya.co.jp/01f/kinobes/2007/

1近藤史恵『サクリファイス』(新潮社)

         サクリファイス

2森見登美彦著『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店)
 本町店・中山文子

3松浦寿輝著『川の光』(中央公論新社)
 クレド岡山店・浜本典子

4内澤旬子著『世界屠畜紀行』(解放出版社)
 高槻店・岡谷亜希子

5よしながこうたく著『給食番長』(長崎出版)
 福岡本店・金子治子

6福岡伸一著『生物と無生物のあいだ』(講談社)
 本町店・高澤敦子

7中野京子著『怖い絵』(朝日出版社)
 福井店・丹羽裕樹

8カート・ヴォネガット著『国のない男』(日本放送出版協会)
 北海道地区業務センター・鈴川智子

9四方田犬彦著『先生とわたし』(新潮社)
 新宿本店・吉田敏恵

10内海慶一著『ピクトさんの本』(BNN)
 クレド岡山店・林久美子

11松岡正剛著『17歳のための世界と日本の見方』(春秋社)

12柴田昌治著『なぜ社員はやる気をなくしているのか』(日本経済新聞出版社)

    なぜ社員はやる気をなくしているのか

13万城目学著『鹿男あをによし』(幻冬舎)

14梅佳代著『男子』(リトル・モア)

15金城一紀著『映画篇』(集英社)

15誉田哲也著『武士道シックスティーン』(文藝春秋)

17米澤穂信著『インシテミル』(文藝春秋)

18上野千鶴子著『おひとりさまの老後』(法研)

        おひとりさまの老後

19西加奈子著『しずく』(光文社)

20岸本佐知子著『ねにもつタイプ』(筑摩書房)

21菅野彰×立花実枝子著『あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します』(新書館)

22最相葉月著『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)

23田村裕著『ホームレス中学生』(ワニブックス)

24森見登美彦著『有頂天家族』(幻冬舎)

25安東みきえ著『頭のうちどころが悪かった熊の話』(理論社)

25R.ドーキンス著『神は妄想である』(早川書房)

25上橋菜穂子著『獣の奏者1 闘蛇編』(講談社)

28内田樹著『街場の中国論』(ミシマ社)

    街場の中国論

29D.タメット著『ぼくには数字が風景に見える』(講談社)

30東直子著『とりつくしま』(筑摩書房)

デジタル雑誌国際会議in Tokyo

 雑協は11月21日に開いた理事会で、「FIPPデジタル雑誌国際会議 in Tokyo」の開催を正式に承認した。

 国際会議は来年11月13,14日の2日間、東京・紀尾井町のホテルニューオータニを主会場に開催。

 テーマは、(1)デジタルマガジンの現状、(2)デジタルと雑誌のコラボレート事例、(3)著作権などの問題点、(4)印刷、編集などの先進事例と技術発展。分科会でそれぞれのテーマを討議する。(「新文化」より)

『ウェブ時代をゆく いかに働き、いかに学ぶか』

梅田望夫/ちくま新書/777

       

  ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)

 抜き書きと読後感をメモしておきたい。

《自然状態のネットのパブリック空間は、善悪、清濁、可能性と危険といった社会的矛盾を含む混沌なのだが、その中核に「不特定多数を信頼する」心を持ち「人生をうずめる」ように「好き」な対象に没頭するリーダーが現れたときに、そのリーダーが作り出すコミュニティは公共性・利他性を帯び始めるのだ》069p

やはり、なにごとも「人生をうずめる」覚悟で打ち込む人物が存在してはじめて成し遂げられるのだ。「利他性」を持ち始めるという着眼はどこから来たのだろうか。

 《Only the Paranoid Survivw096p

 《アントレプレナーシップの真髄とは、「自分の頭で考え続け、どんなことがあっても絶対にあきらめない」ということに尽きるのだ。「勝った者」とは「勝つまでやった者」なのである》097p

 要するに、勝つまでやめないことだ。継続は力である。

 《能動的に働きかければ必ず何かが返ってくる「能力の増幅器」(しかし自分から働きかけなけない限り何も起きない)たるウェブ進化を前にしたとき、「働き者」と「怠け者」の差は大きく増幅される》110p

 働きかけなければ、関係は生まれない。客体と主体の関係のないところに「価値」は生じない。客体のもつ力がいかに大きなものであっても、関係がなければ、その力は存在しないのと同じであるということだ。「能動的に働きかけ」る生き方が大事だ。

 《ロールモデル思考法……これだと思うロールモデルにのめりこんでみる。行動することによって新しい情報が生まれ、新しい人々と結びつき、また新しいロールモデルを発見することになる。ロールモデルを発端に行動し、さまざまな試行錯誤をする中で、意欲や希望の核が生まれ、世界は広がっていくだろう》136p

 確かに「行動」することが大事だ。行動なくして何も生まれない。「行動」することは「能動的に働きかけ」ることでもある。「ロールモデル」(お手本)を見つけて、行動する。「一人を手本として」という生き方のススメである。

 《もっと褒めろよ、心の中でいいなと思ったら口に出せよ、と思うことが多い。「人を褒める能力」とは「ある対象の良いところを探す能力」である》138p

 同感!である。自らももっと実践しなければと自戒する。

 《「組織内のカサンドラを大切にせよ」》(アンディ・グローブ)194p

2007年12月20日 (木)

『国家の謀略』

佐藤優/小学館/1680円

  国家の謀略

 宣伝・広報に携わるものは、「宣伝者が結論を述べてしまい、相手に考えさせようとしないのは、宣伝手法としては稚拙だ」(28p)ということを忘れてはならない。ともすれば、宣伝者は伝えたいことを結論的にメッセージしてしまうものだ。

 プロパガンダ原則(68p)
① 守勢法と構成法……宣伝にも高度の攻撃精神を必要とする。
② 受動法と能動法……敵側の宣伝攻勢に対して弁解したり、説明したりするのは下の下である。また、敵の宣伝の誤謬、食い違い、欠点等を指摘することも決して上策ではない。大局的な宣伝方針についても、個々の宣伝事項にしても、わが方の計画によって敵を引き回さなければならない。……このために受動法を極力排し、能動法を用いる。
③ 1回法と反復法……常に反復し、焼き直して利用することを心がけなくてはならない。
④ 抽象法と具体法……抽象的な議論は宣伝放送に禁物である。
⑤ 理性法と感情法

なるほどそうかと思う。「国家は嫉妬する存在である。従って、自国以外に忠誠を誓いうる可能性をもった宗教に対して、どんな国家も本能的に警戒感をもつ」(311p)ということは、江戸時代の檀家制度や戦中・戦後の創価学会など、日本の宗教の歴史をみてもうなづけることだ。

 日本には優れた宗教学者や政治学者はたくさんいるが、「宗教と国際政治の相互作用がどのような影響を現実政治に与えるかを分析することは不得手」(313p)であるのみならず、関心をもていないように見える。なにしろ宗教とはいかなるものか、観念的にはともかくとして、実感的・体感的には何も知らないというべきだろう。『国家と宗教』を論じた南原繁の系譜をひく、丸山真男などの著名な政治学者たちも、師の真実の継承者にはなりえなかった。

 インテリジェンスのテクニック
*「人間の心理として『貸し・借り』はとても重要だ」(332p)
*「食事を共にすることで心理的に警戒感が取り去られる」(333p)
*「ヒュミント工作では、できるだけ高いレストランで相手を接待するのが作法だ」(334p)

2007年12月19日 (水)

『ITコンサルティング』

松下芳生/PHP/1500円        

       

 ITコンサルティング―これからのビジネスを支えるマインドとスキル         

        

 「e」の時代である。では、ビジネスにITをいかに導入するか。コンサルティングを頼めば、報告書1枚当り10万円かもしれない。そのコンサルティングの現場で培った、IT変革を成し遂げるためのマインドとスキルが、具体的に紹介されていている。

       

 そして、ITに頼らない、正解は自分でつくれ、企画は制約から入らない、ビジネスは金額に置き換えて意思決定せよ、リスク・テイクなくして何も始まらない――これがコンサルタントの究極のアドバイスである。