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書籍・雑誌

2008年8月22日 (金)

『ワンランク上の問題解決の技術[実践編]』

横田尚哉/ディスカヴァー・トゥエンティーワン/1785

  ワンランク上の問題解決の技術《実践編》 視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ

 問題解決のカギは「ISSUE分解」にある。

*フェーズ1:問題の認識 Identification

*フェーズ2:改善点の特定 Specification

*フェーズ3:解決手段の選択 Selection

*フェーズ4:解決手段の適用 Utilization

*フェーズ5:改善効果の評価 Evaluation

 とくに重要なのは、「問題の認識」と「改善点の特定」である。たしかに、問題の認識なくして、改善はありえないし、改善点の特定なくして、改善も意味をなさない。

轍理論……人はとかく轍に沿って進もうとしがちであるが、そうしていると、いつしか考えることを止め、自分でつくった轍から抜けられなくなる。人の行動は「偶然⇒習慣⇒当たり前⇒規律⇒拘束」と変わっていく。

*解決手段……問題の「外」にある。

*改善点……問題の「内」にある。

 したがって、ワンランク上の問題解決をするためには、まず改善点に焦点をあてなければいけない。

改善点4つのタイプ

〈顕在的改善点〉

タイプⅠ:現れた改善点……改善点として認識され、改善が可能なもの。すぐに改善すべきである。

タイプ2:掲げられた改善点……改善点として認識されているが、改善が不可能なもの。(時間がない、おカネがない、スキルがない、自信がない)

〈潜在的改善点〉

タイプ3:埋没している改善点……改善点として認識されず、改善も不可能なもの。

タイプ4:見落とされている改善点……改善可能にもかかわらず、認識されていないもの。ここには大きな改善点がたくさん転がっている。

 改善を考えるときに着目すべきは、潜在的改善点である。

 解決手段を知らないために改善ができないのではなく、改善点に気がついていないために改善できないのである。

「なぜ?」vs.「何のため?」

 「なぜ?」という質問は「原因」を追及するイメージが強い。人は「原因」を問われると、意識が過去に向く。

 未来に意識を向けさせたいのであれば、「目的」を問うことが大切である。そして、「手段志向」よりも「目的志向」で行くべきである。

《ファンクショナル・アプローチ》

Step1準備】

*ヒント1:相手の立場で考える(使用者優先の原則)

*ヒント2:機能の視点で考える(機能本位の原則)

*ヒント3:過去ではなく未来で考える(創造による変更の原則)

*ヒント4:メンバーとともに考える(チームデザインの原則)

*ヒント5:価値を高めることを考える(価値向上の原則)

Step2分解】

 目的手段型のロジックで、FAST(Function Analysis System Technique)ダイアグラムと呼ばれるツリー(機能系統図)を作成する。

Step3創造】

Step4洗練】

「魚の煮付け」という笑い話がある。

 本質を見て、本質から考えて、本質から変えようとせよ。

 表現された結果だけを見て、表現された結果から考えて、表現された結果を変えようとすることは、まるで「モグラたたき」のようなものである。

2008年8月14日 (木)

『バカ社長論』

山田咲道/日経プレミアシリーズ/893

  バカ社長論 (日経プレミアシリーズ 5) (日経プレミアシリーズ 5)

《「時は金なり」がわからない社長》

《社員が働く会社、サボる会社》

 一つの業務を一人だけに担当させると、当然のこととして「仕事の属人性が高くなる」。そうすると「突然、退職されると、とたんにお手上げ状態」に陥ってしまうだけではない。周りの人からチェックされることもないから、仕事の改善も進まない。「縦割りは絶対に避けなければ」いけないということだ。

 人を育てるにはどうするか。

 まず「チャンスを与える。チャンスを活かして能力が上がったら、どんどんレベルの高い仕事を与えてさらに伸ばす。そして、能力に見合った給与をきちんと支払う――。これが、人を伸ばす基本」である。チャンスを与えなければ、なにも始まらない。

 と同時に、人間には、その人が持っている「器」があることも知らなければならない。しかも、その器は「大きさも、形も、色もさまざまで、すべて違うもの」である。

 「器が合っていない人」については、「転職や異動をさせて、自分の器に合った仕事を見つけるチャンス」を与えるほうが、お互いにとって幸せというものである。

 社長の仕事は何か。

 「名刺や人脈が有効となる営業活動や社外交渉、社内の様子をつぶさに観察しての細かな指示(たとえば「入口の花を枯らさないように」でもよい)など、社員にはできない仕事、気づかない仕事に専心しなければ」いけない。会社の戦略を練るにしても「不断の勉強が必要」である。

 そこで、ともすれば錯覚してしまいがちな、大事な鉄則がある。それは、社長自身が動いてはいけないということだ。「社長自身で水をあげることに夢中になると、会社はおかしな方向に進んで」しまうのだ。

 人間の励みになるのは「評価されること、感謝されること」である。感謝の言葉は「最大のプレゼント」なのだ。それがなかなかできない。分かっているのだが、できない人が多い。「結局、ほめることを常に訓練だと意識して」取り組むくらいでないと、できないのかもしれない。

《ヒット商品の恐怖》

《お金をもうける算数・初級編》

 債権回収のポイントについて。当たり前のことだが、「支払いは溜めないで、一日でも遅れたら督促をするのが貸し倒れのリスクを減らすコツ」である。そして、「督促しても支払わない場合は、その時点で商品・サービスの供給を止めること」。これがなかなかできない。ついつい情にほだされたり、根拠のない期待に流されて、取引を継続してしまうものだ。「とれないお客さんに、どれだけコストをかけても」取れないもである。

 著者の会計事務所では、「月末に売掛金が回収できなかったら、機械的に翌月一日にFAXで連絡するという決まり」をつくったという。あまりコストをかけないで、回収の執念を相手に伝える賢明な方法である。

《もうける社長は、こう考える》

 「戸が笑っている」という表現は面白い。

2008年8月13日 (水)

『勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践』

勝間和代/ディスカヴァー・トゥエンティワン/1680

  勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 ビジネス思考法の基本と実践

 勉強法の大ブームである。

 「個人責任の時代」を生きるためのスキルが、幅広いビジネスパーソンに求められているのだ。

 仮説思考するための「論理思考力」、創造的発想を生む「水平思考力」、画像やイメージなどを活用する「視覚化力」、情報共有・コミュニケーションのための「数字力」、ICレコーダーで鍛錬できる「言語力」、心と身体は一体とみて「三毒」を追放し鍛錬する「知的体力」、セレンディピティを呼び寄せる「偶然力」。

 ここに、平易かつ実践的に説くビジネス思考法の基本がある。

             ∴

《『お金は銀行に預けるな』の出版に4PPrice Product Place Promotion)のフレームワークを活用した事例》

  お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

Price……これまでの資産管理本は1000円を超えるものばかりで、「ちょっと興味がある人」には、敷居が高ったので、1000円以下にする。

Product……徹底した初心者対象。ただし、金融以外の教養は高い人向けの、内容が網羅された書籍。

Place……『さおだけ屋は…』『ざっくりわかるファイナンス』などで先行事例がある光文社新書で出す。一番大事なのは、資産管理コーナーや株式コーナーではなく、新書コーナーに置いてもらうこと。

Promotion……分かりやすく、インパクトのある『お金は銀行に預けるな』にすることで、店頭での引きやパブリシティの取りやすさを重視。

《『効率が10倍アップする新・知的生産術』がヒットした理由》

  効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法

 Out of the Box Solution(想定した範囲外から出てきた解)

*本はなるべく、その本の中で情報が完結すべきという方法から離れて、ウェブや他の本などを積極的に参照する方法をとったこと。

*薄い簡単な本でなければ売れないという考え方を離れ、情報量の多い、ビジネス書としては異例の300ページの本にしたこと。

*わかりやすい短いタイトルが売れるという考え方を離れ、インターネットの検索で多く引っかかるようなキーワードをタイトルにふんだんに使ったこと。

2008年8月 4日 (月)

『こころと脳の対話』

河合隼雄・茂木健一郎/潮出版社/1260

  こころと脳の対話

 人に会って凄く疲れるときと、眠くなるときと、脳はもとより、からだ全体が生き生きしてくるときと、経験的にいって3通りあるように思う。

 いちばん記憶に残っているのは、東京外大のポルトガル人の教授と、日本語で話していて、申し訳ないのだが、その教授の日本語を聞いていると、自分の中のリズムがどんどんおかしくなって、気持ちが悪くなったことがある。

 この本で河合氏が述べているのは、それとは違う話かもしれないが、「わりとふつうの話をして帰って行ったのに、気がついてみたらものすごく疲れている場合があるんです。その場合はもう、その人の症状は深い」というのは、分かるような気がする。「それはやっぱり、こちら側が相手と関係をもつために、ものすごく苦労している証拠」なのだ。だから、シンドイものだから「そういう人はかわいそうに、やっぱり人に嫌われる」ことになってしまう。

 眠くなってしまう場合というのは、話がつまらない、クリエイティブでないかだろうと思っていたが、なるほど「一番大事なことを言っていない」ということなのだ。

 生き方として大事な指摘がある。

 茂木氏が「生きるうえで、ある種のしんどさというものがあって、そこを通り過ぎないとやっぱりいけないところって、きっとあるんですよね」と問いかけたのに対して、河合氏はこう答えている。

 「違ういい方をすると、苦しんでいる人がこられたら、苦しみをとるんじゃなくて、苦しみを正面から受け止めるようにしているのが僕らやと思っています。……逃げない。まっすぐに受ける。だいたい、まっすぐに受けてない人が多いんです」

 ほんとうに納得、という感じ。

 しかも「中心をはずさずに」聞くというのは難事だろうな。

 宗教と科学について、興味深い見解が述べられている。

 「宗教的なもの、科学的なものと分かれているのが、相当な接点をもってくるんじゃないか。いちばん僕の関心のあるところがそこなんですよね」

 「宗教と科学が接点をもつときに、僕はいちばん強力なのは仏教やないかと思うんです」

2008年7月24日 (木)

『プルタークの物語』(上)

阿刀田高/潮出版社/1785

     

  プルタークの物語 上 (1)

 本書は、著者の記すところによると、「古代ローマの時代に書かれた著名な古典〈プルターク英雄伝〉の翻案である。ややこしい内容を私なりに平易に綴って紹介する試みである」ということだ。

                      

《第1話 アテネを創ったテセウス》

 *テセウスの宣言により都市国家としてのアテネが誕生し、共和制の第一歩が踏み出された。

 *後にアリストテレスがこう言っている。

 「民衆を愛し、王制を廃したのはテセウスをもって嚆矢とする」と。もってテセウスがアテネの創始者と称される所以である。

《第2話 ローマを創ったロムルス》

 *「私たちは夫も父も失いたくないわ。もちろん子どもは一番大切。もう人殺しはたくさん」……女たちの素直な心と愛情が男たちを反省させ愚かな戦争をやめさせた。

*プルタークはなにかしら伝承された記録をもとにこのくだりを綴ったにちがいない。だとすれば、それは女性たちによるもっとも古い反戦行動の文学だったかもしれない。

*とかく権力を握った者は初心を忘れて傲慢に傾く。

          

《第3話 アテネの立法者ソロン》

 *リュディアの王に告げたソロンの言葉

「現在の幸福、現在の不幸、それに一喜一憂することはありません。さまざまな未来がやって来るでしょう。最後に神が与えてくれるもの、その繁栄こそが大切です。まだ競技の途中にあるのを見て勝利の判定を下すのは愚かであり、当てになりません」

                   

《第4話 栄誉を求めたテミストクレス》

 *水上滝太郎の代表作〈貝殻追放〉というエッセイ集のはしがき

 「厚顔無恥なる野次馬が、その数を頼みて貝殻をなげうつは、敢えてアゼンス(アテネのこと)の昔に限らず、到る処に行はるといへども、殊に今日の日本に於てその甚しきを思はざるを得ず」

                     

 著者はこの言葉に続けて、「現代でも、そういう制度をこそあからさまには存在しないけれど、実際には魔女狩りのような形で見え隠れしている」と警告している。

               

《第5話 尊大な民主主義者ペリクレス》

 *哲学者プラトンの評価

「まこと、ペリクレスは人心操縦術の名人、タイミングよく有効な言葉を発して民衆を導いた」

 *アテネで全ギリシャの平和会議を催そうと誘いかけた。……ペリクレスは平和を重んじ、戦争に関しても穏やかな作戦を旨とした。

 *ペリクレスほどの功績があっても一歩まちがえば弾劾をまぬがれない。健全な民主主義とはそういうものかもしれない。民衆を代表して全権を委ねられているのだから……。

                     

《第6話 先送りの人ファビウス》

《第7話 カメレオン的英雄アルキビアデス》

《第8話 母には弱い猛将コリオラヌス》

《第9話 テーベの英雄ペロピダス》

《第10話 口からジャブを飛ばした大カトー》

《第11話 ママの宝石はグラックス兄弟》

 *「おれたちに逃げ道はない。民衆のために尽くすこと、それだけだ。ただ一つの生き方、ただ一つの死に方しかないのだ」

 この章で、著者はプルタークのグラックス兄弟に対する評価に、厳しく異を唱えているのが注目される。

 「兄弟は壮絶な死を遂げ、直接の後継者こそすぐには現れなかったけれど、その精神はまちがいなくローマに、いやヨーロッパの歴史に深く影響を残したと言ってよい。……私見を述べれば、グラックス兄弟は、その後に空前の発展を示すローマに関わったことにおいて、また明確に民主民生という理念を所持していたことにおいて、軽々に他と比較対照されてよい存在ではあるまい」

 まったく同感である。

《第12話 善悪けた外れのスラ》

 *大きな権力というものは本来的に人間を非道に変え、御しがたいものとする属性を含んでいるのだろうか。それとも大きな権力とともに隠されていた悪しき本性が現れるものなのだろうか。

2008年7月21日 (月)

『翻訳と雑神』

四方田犬彦/人文書院/2100

    

  翻訳と雑神―Dulcinea blanca

《ドゥルシネーア》

& 零落を重ねたセルバンテスが老境にいたって執筆したこの長編小説(『ドン・キホーテ』)は、……はるか過去に実在していた寛容さの喪失を嘆き、それを声低く行間に語らせる作品であるように思われる。その過去とは何か。端的にいってそれは、後ウマイヤ朝のもとにスペインが文化的に殷賑を極めた時代であり、イスラム教徒とユダヤ教徒、キリスト教徒が平然と同じ都市に居住して、信仰の自由を保証されていた時代のことである。

& 『ドン・キホーテ』が刊行された十七世紀初頭のスペインが、もはや過去の宗教的寛容を忘れ、異端審問に明け暮れる、反ユダヤ主義の恐怖国家と化していたことを示している。

& ある側面を強調し、別の側面を排除することによって、翻訳行為はただちに権力に迎合することもできれば、権力に抵抗する力を組織する側に加担することもできる。

《西脇順三郎と完全言語の夢》

《金素雲の朝鮮民謡翻訳》

*岩波文庫『朝鮮民謡集』『朝鮮童謡集』

*自叙伝『天の涯に生くるとも』

*林容澤著『金素雲「朝鮮詩集」の世界』(中公新書)

  

金素雲『朝鮮詩集』の世界―祖国喪失者の詩心 (中公新書) Book 金素雲『朝鮮詩集』の世界―祖国喪失者の詩心 (中公新書)

著者:林 容沢
販売元:中央公論新社
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《金時鐘による金素雲『朝鮮詩集』再訳》

《吉増剛造 発語と彷徨》

《吉増剛造と雑神》

吉増剛造―黄金の象 Book 吉増剛造―黄金の象

著者:国文学編集部
販売元:学灯社
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「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」 Book 「雪の島」あるいは「エミリーの幽霊」

著者:吉増 剛造
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

盤上の海、詩の宇宙 Book 盤上の海、詩の宇宙

著者:羽生 善治,吉増 剛造
販売元:河出書房新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

「アジア」の渚で―日韓詩人の対話 Book 「アジア」の渚で―日韓詩人の対話

著者:高 銀,吉増 剛造
販売元:藤原書店
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長篇詩 ごろごろ Book 長篇詩 ごろごろ

著者:吉増 剛造
販売元:毎日新聞社
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天上ノ蛇、紫のハナ Book 天上ノ蛇、紫のハナ

著者:吉増 剛造
販売元:集英社
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2008年7月18日 (金)

『自分を磨くセオリー』

サミュエル・スマイルズ/本田健・訳/三笠書房/1575円

 スマイルズの名著『自助論』と双璧をなす本書は、幸せになる生き方の指南書である。

      

自助論―人生の師・人生の友・人生の書 Book 自助論―人生の師・人生の友・人生の書

著者:サミュエル スマイルズ
販売元:三笠書房
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何よりもプラトンの説くように「他人の幸せを願うことは、自分の幸せを求めること」であり、哲学者ベンサムの信念でもあった。「強い意志をもった男」と「滝」は、格言のとおり「進むべき道を自分で切り開いていく」ものである。

そのためにも、多くの巨人の生涯を決定づけた『プルターク英雄伝』のように、人生の「手本」をもつことが重要であり、「手本こそすべてである」。

       

プルターク英雄伝 (潮文学ライブラリー) Book プルターク英雄伝 (潮文学ライブラリー)

著者:プルターク
販売元:潮出版社
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しかも、真剣に生きるということは、「精力的に行動するということ」を忘れてはいけないし、「義務を果たすことに憶病であってはならない」のである。換言すれば、「勇敢な人」とは「自分自身の主人」「心の師」となれる人ということである。幸福は私たちの内側にあるのだから、「つまらない恐怖心を克服する力」をもたなければならない。

 災いは姿を変えた幸せにすぎない。うまく生かせば何倍もの幸せを手にすることができるのだから。ペルシャの賢人も「暗闇を恐れてはいけない。それが生命の泉を隠しているかもしれない」と言っているというのだ。だから、「逆境にあわなかった人間ほど不幸な者はいない」という逆説もあるということだ。

 ダンテは亡命中の貧しい暮らしの中で傑作を書いている。ミケランジェロでさえ、彼の才能を理解しない貴族や牧師、あらゆる階層の貪欲な人間たちに妬まれ、ほぼ一生涯にわたって迫害にあっている。

 ルターはワルトブルグ城での獄中生活で聖書の翻訳に励み、ドイツ中で広く読まれた有名な小論文や論説を手掛けている。デフォーはさらし台に三回立たされた後に入れられた牢で、『ロビンソン・クルーソー』をはじめ、数々の政治的な小論説を書いている。

    

ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫) Book ロビンソン・クルーソー〈上〉 (岩波文庫)

著者:デフォー
販売元:岩波書店
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ロビンソン・クルーソー 下    岩波文庫 赤 208-2 Book ロビンソン・クルーソー 下  岩波文庫 赤 208-2

著者:デフォー
販売元:岩波書店
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2008年6月30日 (月)

『1の力を10倍にするアライアンス仕事術』

平野敦士カール/ゴマブックス/1575

    

  1の力を10倍にする アライアンス仕事術

 ドコモ・ドットコム、ローソン、日本コカコーラ、伊藤忠商事、フジテレビや日本テレビ、ソニー、楽天、JR東日本、コンビニ各社を巻き込み、動かして、「おサイフケータイクレジット」を成功させた人間の仕事術である。

《思考法》

! 「抜きん出る人」でなく「助けてもらえる人」になる。

! 要はボトルネックとは「自分にはできない」というだけのことで、“自分には”の部分さえ崩してしまえば、いくらでも「できない」が「できる」に変わっていく。

! 「交渉する」という感覚ではなく、「相談に乗っていただく」「仲間になってもらう」という感覚で、相手を“ちょっとだけ”でも参加している気分になってもらうことが大切なのだ。

! これまでと同じであることこそ最大のリスクなのだ。

! 「ブルーオーシャン戦略」……「潜在的なニーズ」を見つけるヒントは、人々の「不満」や「不便」にある。

! ギブ・ギブ・ギブ&テイクという発想……メリットを3つ相手に与えて、自分が1つもらうくらいでいい。

《情報整理術》

! 「ひとりでに情報が集まる人」に自分を変える。

! 情報は集めるだけでなく、必要とする人に送ることで、何倍にも価値をもつ。

《人脈術》

! アライアンス交渉術の真髄は「楽しむ」「和む」こと。

! 「また会いたくなる人になる」ための3つの条件……➊「期待できる」というモチベーション➋「楽しい」というモチベーション➌「快適である」というモチベーション。

! 人脈をつくるカギ……「謙虚さ」「素直さ」、そして「相手に感謝する心」

! 「自分中心」ではなく、相手サイドに立った視点こそが、実は“自分を中心とした渦”を広くする力になる。

《勉強術》

! まずはいったん“他人の考えを受け入れて理解してみる。そのうえで自分の考えをつくりだして実行する”……頭の容量を何倍にも広げ、自分自身を大きく飛躍させるきっかけになる。

! 時代は「右脳的な発想を左脳的に実行できる人」を求めている。

! いま、あなたという人間が存在し、生活し、活動しているすべては、生まれてからあなた自身が日々決断し、続けてきた結果である。

《キャリアアップ術》

! 「アライアンス」の基本は、何といっても自分の「固定概念」をなくして“助けてもらえる人になる”ということ……すべてのことを自分で抱え込もうとせず、同時にあらゆる可能性を信じながら、仕事を楽しむことができるようになる。

! 不安もがんばりすぎも、抱え込みすぎると、身動きがとれなくなってしまう……まわりの人を寄せ付けない壁をつくってしまう。

! 大切なのは、自分の枠内だけに納まらず、スピード感をもって、つねに進化させていくこと。

! 想いを行動に変えれば、“新しい何かが動きだす”……結局のところ、「できない」ことの最大の理由は、「やっていないから」だけかもしれない。

! まわりを変えようとするよりも、まずは自分の意識を変えてみてください。

2008年6月20日 (金)

『アメリカ人大富豪 世界一の「考え方」』

浜口直太/グラフ社/1300

  

  アメリカ人大富豪世界一の考え方

《ゼロから超一流になったアメリカ人》

 著者がアメリカで出会った富豪たちは錚々たるものだ。

 ウォルマート創業者サム・ウォルトン、デル創業者マイケル・デル、アメリカ半導体の未来を託された男ジェリー・ジャンキンズ、メアリー・ケイ化粧品創業者メアリー・ケイ・アッシュ、クラブ・コーポ・インターナショナル創業者ロバート・デッドマン、トラメル・クロウ創業者トラメル・クロウ、品質管理の世界的権威エドワード・デミング、アメリカを代表するエンジェル(ベンチャービジネスへの個人投資家)ジョージ・コスメスキー、テキサス・コマース銀行元頭取ジョン・アダムス、アメリカン航空元会長&CEOロバート・クランデル、サウスウェスト航空創業者ハーブ・クレハー、スターバック・カンパニー創業者ロジャー・スターバック、副大統領ディック・チェイニー、「アメリカ外食産業の神様」と呼ばれた男ノーマン・ブリンカー、「アウトソーシング」産業におけるパイオニアでペロー・システム創業者ロス・ペロー、クレセント・エクイティ創業者リチャード・レインウォーターが、「なぜ成功できたか」が簡潔に紹介されている。

《なぜ、ほとんどの日本人は成功できないのか?》

! 言うべきことが言えない……言うべきことを言うのは、よりよい結論を導き出そうとする、誠実な行為である。

! 「自分棚卸」の欠如……ビジネスにおいては、自分で何でもやろうとせず、できる人を探し、その人にやってもらう方が効率的で効果的である。

! ビジネス・センスがない……「これだ!」と思ったら、バカになって猪突猛進し、徹底的にやってみること。

! リーダーシップを発揮しない。

! ビジネス・パーソンとしての気配りがない……人に好かれる秘訣は、相手に対して徹底的に気配りをすること。

! 専門家を活用しない。

! 器が小さい……よく言われる「WIN-WIN」の関係を構築せよ。

! 人脈作りが下手……秘訣はこちらから積極的にアプローチすること。それも相手を利用しようとしてではなく、相手のお手伝いをすることで、喜んでもらおうとして。

《圧倒的成果を出す方法》

& 「傾向性」と闘う

& コンフリクトから一歩も逃げない

& 徹底して具体化・数値化する

& 一流の人に会いまくる

& 感謝の達人に……感謝されたら、その人のために何かをしてあげたくなる。

& 「委任力」をつける……本当に仕事ができる人は、全部自分でやろうとはしない。

2008年6月18日 (水)

『コンサル成功物語』

浜口直太/インデックス・コミュニケーションズ/1575

    

  コンサル成功物語

 これは「自伝的小説」である。小説とはいえ、事実に即した小説であろう。荒唐無稽なフィクションではないということだ。

 第8章の《保身を捨てれば思いは通じる》で明かされるのは、アメリカのレストラン・チェーン、サンデー・アフターヌーンの日本進出に際して、優良外食企業カワタのカリスマ企業家・川島太郎が合弁を持ちかけて成功するストーリーである。

 これは恐らく、アメリカのカールソン・レストランツ・ワールドワイド社が、世界57カ国以上で展開する、「古き良きアメリカ」をコンセプトとするカジュアルダイニングレストラン「ティージーアイ・フライデーズ」を、ワタミと提携して日本に進出したときのことではないだろうか。とすれば、著者は相当の辣腕国際経営コンサルタントである。

 《第2章 悩みに悩んだ転職》では、世界最大級の国際会計・経営コンサルティング会社、KPMGピート・マーウィックに勤めて8年目になったころ、同業大手のプライス・ウォーターハウスに、破格の好条件でヘッドハンティングされる話である。

 《第3章 独立前の葛藤》では、プライス・ウォーターハウスで2年を勤め、圧倒的な成果を収めて、統括する国際部門が軌道に乗りかけたころ、独立すると決めていた10年目を迎える。でも、ここで辞めるのは関係者に大きな迷惑をかけることを考えると、なかなか決断できない。思いあぐねて、尊敬する上司ポールに相談する。彼から出てきたのは、まったく予想外の解決策だった。

 あと、《第4章 諦めずに挑戦し続ければ奇跡は起こる》《第5章 人の心を動かす土下座》《第6章 人生何が起きるかわからない》は、著者が国際経営コンサルタントとして、独立してからの手に汗握る成功譚である。

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